150キャップの大記録よりも「もう一度優勝したい」。チームのことだけを考える日野剛志
同志社大学を経て2012年に加入(当時はヤマハ発動機ジュビロ)した日野は、今季、同じく150キャップを達成した大戸裕矢と同期。二人とも日本代表にも選出され、長く静岡BRを支えてきた。
「日野ちゃんがいたらスクラムを押せる、というような安心感がありますし、ラインアウトでも日野ちゃんと阿吽の呼吸みたいなものがあります。僕にとってもすごく支えになっています」と大戸は盟友の頼もしさを語る。
負傷欠場時以外、日野はスタメンの座を守り続けてきた。今節は先発の座を成長著しいルーキー、作田駿介に譲る形になったが、その作田の成長にも日野は大きな影響を与えている。作田は次のように語る。
「日野さんはスクラムでの引き出しがすごく多い。(練習で)相手として組み合っているときに、何か一つ抵抗できても、すぐその上を超えられてプレッシャーを受けるんです。日野さんは8人をまとめ上げてスクラムを組むところがすごく長けている方だと感じます。一つひとつを学びながら、自分のモノにできるように考えながらやっていますし、それがすごく楽しいです」
一方で日野のほうも、作田に良い刺激をもらっていると言う。
「スクラムは良いときも悪いときもあるものです。作田のスクラムを見たり一緒に組んだりすることによって、一つ見直すきっかけになっているというか、一緒に成長していけている感覚があります」
もちろん胸の内には先発を外れる悔しさもあるはずだが、35歳のチーム最年長選手はより価値があることに目を向けている。
「150キャップは、自分に与えられた役割、このチームでフッカーとして必要なことを一所懸命にやり続けてきた結果だと思いますし、大戸と一緒に試合を重ねてこられたのはすごくうれしいことです。ただ、いまはチームとして本当に大事な時期で、プレーオフ(トーナメント進出)も見えてくるときに、記録やリザーブに回ったというような私情で乱れたくないです。あと何年もやれるわけじゃないし、もう一度優勝したいという気持ちが強いので、いまはチームの勝利のために与えられた役割をしっかりと果たすことだけを考えています。いまのレヴズは誰が出てもやれる準備ができているし、その良い流れを生かしていくことが、最年長としても大事な役割だと思っています」
人格者としてもチーム内外から厚い信頼を得ている静岡BRの誇り。その強い覚悟は、今節も後輩たちを勝利へとけん引する強い原動力となるはずだ。
(前島芳雄)
※リンク先は外部サイトの場合があります
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ