“ウイングはエゴイストであれ”。「自分が一番」と信じるウイングが、復帰戦ですべてをぶつける
正直、ここまでチームにコミットできていない歯がゆさはある。一昨季も、昨季も、今季も、けがに泣かされてきた。ただ、リハビリ期間が長くなればなるほど、歯がゆさとともに、一方にある思いも強くなっている。
「やっぱり、恩返しをしたいという気持ちはあります」
それは、L戸田というチームに積み重なる思いだ。2019年に加入した大卒ルーキーの自分に大城海ら先輩たちが技術などを教え、成長させてくれたことはいまとなっては感謝しかない。リーグワン参入を果たすころのチームは、みんながラグビーが好きで、ラグビーに真摯に向き合い、気付けば、一体感のある集団になっていた。このチームでリーグワンを戦えることはこの上ない喜びだった。そして長い間リハビリを支えてくれるストレングス&コンディショニングコーチやトレーナー陣にはもう頭が上がらない。「一日も早くけがを治して自分のプレーを見せるんだ」との思いが日に日に増していた。
リハビリを重ねながら、髙橋は大事に胸に秘めてきた。試合に出ているメンバーがベストだし、奮闘する仲間たちにはリスペクトしかない。ただ、どこかで自分が一番だという思いはもっておきたい、と。
「自分はキックやパスなどベーシックなスキルはほかのバックスリーの選手たちに劣ると思っています。ただ、何で勝負ができるかといえば、フィジカルだろうと。ディフェンスでの詰めるタックル、オフェンスではトライを奪い切るところ。リーグワンはフィジカル面のレベルも上がる中、そこでアピールしたいんです」
今季のL戸田は相手陣に押し込んだときの、トライを奪い切るプレーに課題を残している。髙橋には、“ウイングはエゴイストであれ”との信念がある。
「自分にボールを回せという気持ちの強さ、フィニッシャーとしてのプライドを大事にしたいんです」
それを復帰戦の舞台で見せる。ここまで積み重ねてきた思いをすべてぶつける。
(鈴木康浩)
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