復帰した“ミスター・シーウェイブス”とともに、前回対戦のリベンジを
今季で加入11年目、昨季まで6シーズンにわたってキャプテンを務めていた小野航大だ。“ミスター・シーウェイブス”とも呼ぶべきウイングは、数年前といまを比較してチームの成長を誰よりも実感している。
「数年前までは、ラグビーでほとんどの要素を占めるコンタクトで上回れず、相手のモメンタム(勢い)を止められませんでした。システムどうこう以前に、ぶつかるところで戦えないという時期が続いていました」
一転して今季は、内容的にも接戦の試合が続いていることに進化を感じている。しかし、「とはいえ、勝てていない。一つのプレーチョイスやタックルのミスといった質の部分で勝利を逃している試合が多いので、残りの6試合で修正して粘りながら勝利につなげたい」と振り返るように、今節の相手となる花園Lとの前回対戦でも、残り5分までリードしながら悔しい逆転負けを喫した。しかも、それは奇しくも小野の故郷である福島県いわき市で行われたホストゲーム。悔しさは人一倍だったに違いない。
10月に関節遊離体、いわゆる“ねずみ”の除去手術を行った小野はリハビリを経て2月下旬、練習に合流。前節のホストゲームで今季初出場となった。
「手術前と変わらず、違和感なくプレーできました。メディカルスタッフをはじめ、多くの人のサポートのおかげです」とコンディションは上々の様子だ。
キャプテン時代といまとで「特別やることは変わらない」というが「チームのことが第一だし、けがをしていてもグラウンドに立たなければいけない。そういう意味ではいまは自分にフォーカスできていますね」と、周囲に割いていたリソースを自分のために使えるようになったことで、変化を感じていると言う小野。「(川上)剛右がけがから帰ってくるまではがんばります(笑)」と冗談めかした言葉も残してくれたが、彼の経験とメンタリティーはこれからの戦いでチームに欠かせない武器になる。
クラブの歴史、釜石という土地と風土、そして人を知る小野。体力的にもメンタル的にもキツさが増す後半戦、この男の復帰はチームに勢いと厚みをもたらすはずだ。
(髙橋拓磨)
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