ファミリーマンでありチームマン。誰かのために戦う者は強い

【©ジャパンラグビーリーグワン】

「私はファミリーマン(family man)でありたい」とトゥパ フィナウは語る。ファミリーマン。日本語にすると「家族思いの人」「良き父親/夫」といったニュアンスの言葉になる。なぜファミリーマンでありたいのか。それは「両親が私たちをどのように育ててくれたかを見て、私も同じようにしたい」と感じたから。両親がそうしていたので、自分も「人生で一度もタバコを吸ったことないし、お酒も飲んだこともない」という。

2012年にトンガから来日したフィナウがホンダヒート(現・三重ホンダヒート)、キヤノンイーグルス(現・横浜キヤノンイーグルス、[以下、横浜E])を経てクボタスピアーズ(現・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ[以下、S東京ベイ])に入団したのは2019年のことだ。複数あった移籍先の候補の中で、フィナウが強く惹かれたチームがS東京ベイだった。

「当時、クボタスピアーズではコーチ陣が新しいチーム文化を作ろうとしていて、家族のような雰囲気があると聞きました。私にとって家族はとても大切な存在です。最終的には家族の意向で、クボタスピアーズに決めました」

2019年と言えばフラン・ルディケ ヘッドコーチ、立川理道キャプテン体制がスタートして4年目。バーナード・フォーリーやデーヴィッド・ブルブリング、ライアン・クロッティらが加入した年で、チーム全体が光の差す方向に明確に舵を切り、飛躍という帆を大きく張っていた時期である。

しかし2020年、人類はうまく息を吐くことすらままならないような危機的状況に陥る。新型コロナウイルスの影が世界を覆い、その暗い波はラグビー界にも押し寄せた。

「あの年、私と妻は日本に残り、子供たちがトンガに帰ったあと、ロックダウンで離れ離れになってしまったんです。妻はパニックになり、私は練習どころではありませんでしたが、前川さん(前川泰慶・現ゼネラルマネージャー)が『家に帰って奥さんの面倒を見ていい』と言ってくれました。チームの愛とケアは本当に大きかった。家族のために尽くしたい、チームのために命を懸けて戦いたいとあらためて思いました」

いかなる局面でも体を張り続ける不屈のフランカー。今節はかつて自身も所属した横浜Eとの対戦となる。

「古巣だからといって、特別な感情はありません。ほかのチームとの試合と同じように、S東京ベイのために勝利を目指して戦います」

誰かのために戦うとき、人は想像以上の力を発揮する。ファミリーマンでありチームマン、トゥパ フィナウの強さの源がここにある。

(藤本かずまさ)

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