美しき姿勢で組むスクラムは必見。不惑を迎えるベテランが見据える現在と未来
前節の試合前日、プロップの3番に急なメンバー変更があった。今季初めて先発予定だった細野裕一朗に代わり、リザーブメンバーだった北島大が先発メンバーに、メンバー外だった藤野佑磨がリザーブに入った。急遽先発を任された北島は、リーグワンが始まって以降は2022シーズンにリザーブで1試合、昨季に3試合リザーブで出場歴がある。だが、リーグワンでスタートからの出場は、前節が初めてだった。
近年はけがが続いたこともあって出場機会をあまり得られていなかったが、さすがは今年40歳を迎えるベテラン選手だ。急な先発出場にも対応し、北島の強みである「スクラムで良いパフォーマンスを見せてくれた」(松川功ヘッドコーチ)。今節もそのスクラムでの貢献を期待され、先発する。
スクラムも含めたセットピースに関しては、プレシーズンからチームとして意識を高くもって取り組んできており、成果を得ている。北島も「昨季よりも間違いなく向上している」と話す。「メンバー外の選手に気迫がある。メンバー入りしている選手にも、メンバーに選ばれている以上はそれ(メンバー外の選手の気迫)に負けるわけにはいかないというプライドが見える。その相乗効果で、チーム内での競争の質も高まってきた」と感じているという。それもまた、チームとして急なメンバー変更に対応できる一つの要因となっているのだろう。
日野レッドドルフィンズとヤンマースタジアム長居で対戦するのは、2017-2018シーズンのジャパンラグビー トップリーグ入替戦以来となる。北島は、そのときも3番で先発している。敗れたこともあり、あまり良い思い出ではないかもしれないが、その日のことを尋ねると「悔しさはもちろんあったけれど、そのときの因縁みたいなもので試合に臨むつもりはない」という。遠い過去のことよりも、大事なのは未来につながっていく現在だ。「練習試合も含めて、最近はうまく勝てていない。チームとしても、自分としても、大事な試合。その先につなげられるよう、しっかりと役割を果たし、目の前にある試合で勝利をつかみたい」。
北島のスクラムの強さは、姿勢の美しさに由来する。しっかりと低く姿勢を保ち、細やかな角度の調整で、後ろから押される力を最大限に前へ伝えながら、相手からの力を最小限に抑える。長年の経験で培ってきたその高い技術を生かし、北島が「チームの生命線」だと捉えるセットピースで勢いをもたらしたい。
(前田カオリ)
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