あの日の憧れを重ね合わせて。“ご当地選手”が伝えたいこと
「日程が決まったときはうれしかった」
そう話し、相好を崩すのは今季、バイスキャプテンを務める竹ノ内駿太。長崎市に隣接する時津町出身のいわゆる“ご当地選手”だ。地元での公式戦は長崎南山高校3年生のときに臨んだ全国高校大会県予選の決勝以来とあって気持ちも昂っている。
選手にとってラグビーを始めた原点の地でプレーできるのは大きな喜びだ。V・ファーレン長崎(当時JFL)や三菱重工長崎ラグビー部でスポーツトレーナーを務めていた父の存在もあり、幼少期からスポーツと接する機会は多かった。そんな中で関心が芽生えたのはサッカーよりもラグビーだった。
「ラグビーは仲間のために体を張れて、いろいろな特長がそれぞれにある中で、みんなに輝ける場所がある。それがラグビーの魅力だと子どもながらに思っていました。ラグビーのほうが仲間意識を感じられると思ったのが、ラグビーを始めたきっかけです」
小学校3年生で始めたラグビーは自分の人生に欠かせないものになり、リーグワンの選手として地元に凱旋することになった。昨年12月には長崎県の松浦市立御厨小学校でタグラグビー教室に参加した。九州KVが行っている地域・社会貢献活動の一環だ。
「子どもたちは最初、『ラグビーって何?』という感じでしたけど、最後は『面白かった』『試合を観に行きたい』と言ってくれて(タグラグビー教室を)やって良かったなと思いました」
そう振り返る竹ノ内だったが、かつての自分がそうだった。父親に連れられて行った三菱重工長崎ラグビー部の選手たちを見て「自分もこうなりたい」と憧れを抱いた。そのときの少年は「今度は自分がそういう立場になったのかな」という思いを抱くまでになった。
「今回のゲームをとおして『自分もこうなりたい』『ヴォルテクスに入りたい』と思ってくれる子どもたちが増えてくれたらうれしい」
竹ノ内は仲間のために懸命にプレーする。その姿はきっと子どもたちに“何か”を残すはずだ。
(杉山文宣)
※リンク先は外部サイトの場合があります
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ