大ベテランから若手へ。受け継がれるチームのDNA
これまでの試合で敗戦からの切り替えの良さを見せてきた相模原DBが、現在首位の強敵に対しても平常心で挑み、自分たちのスタンダードを発揮できるか。ディビジョン1最年長でリーグ戦通算150キャップまであと2試合に迫る百戦錬磨の安江祥光は「チャンスは十分にあると思います。相手を大きく見過ぎる必要はなくて、アタックで抜けなくてもディフェンスを崩されても、自分たちのストラクチャーを信じてやり続けることが大事です」と力を込める。
安江が目を掛けているのが、同じフロントローで2年目のシンクル寛造だ。シーズン序盤は出番が回ってこなかったが、ここ2試合は先発出場してスクラムの立て直しに貢献。埼玉WK戦でも先発メンバーに加わる。
ニュージーランド人の父と日本人の母を持つシンクルはニュージーランドで生まれ、札幌で英語教室を営む家庭で育った。中学時代は再びニュージーランドで過ごしたことで、英語と日本語ともに流暢に使いこなす。ラグビーは「ニュージーランド人の血を引くから」という理由で札幌にいた小学生時代、ラグビースクールに入ったという。恵まれた体格を生かしてフォワード一筋、高校時代には高校日本代表にも選ばれた。
プロの世界に進んだシンクルは「“プレーの一貫性”という点については、かなりできるようになったと思います」と自分の成長を口にする。特に第7節・トヨタヴェルブリッツ戦の勝利は自信につながったようだ。
「うまくいかなかったスクラムをしっかり修正して試合に臨み、安定させることができました。(スクラムを担当するアシスタントコーチの)ベン・フランクスから『自分の体が大きいぶんだけ、一つひとつの動きを堂々とやるように』とアドバイスを受けたことも大きかったです」
シンクルには、コーチや経験豊富な選手からのアドバイスをしっかりと吸収して身に付けようとする前向きな姿勢がある。
安江は「(シンクルは)口数が多いタイプではありませんが、指摘すると自分自身を見つめ直してチャレンジします。努力もあって、ぐっと伸びてきています。持っている体の大きさも才能で、その使い方や経験が積み重なるともっといい選手になると思います。その姿を見ると、自分がここにいる意味も感じます」と目を細める。
埼玉WK戦に向けて、シンクルは気負うことなく、「タックルとスクラムで、やらなければいけないことは明確。しっかりと(頭に)詰めて試合に臨みます」と口にした。
こうしてチームのDNAは次世代に引き継がれ、さらに発展を遂げるだろう。
(宮本隆介)
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