「マイナビ仙台レディースの逆襲。新たな仲間を加えて、3月再開のWEリーグへ」
2024-25前期レビュー
エースと攻撃の軸の離脱。重なった予想外のアクシデント
しかし、昨季7ゴールを上げたFW廣澤真穂選手が開幕を控えた練習試合で左膝のじん帯損傷のけがを負った。シーズン初戦のクラシエカップ新潟戦では、今季副キャプテンに就任し、攻撃の中心としても期待されたMF太田萌咲選手が左膝前十字靭帯損傷の大けがを負い、長期離脱を余儀なくされた。守備のユーティリティープレーヤーDF西野朱音選手も左膝のじん帯損傷で戦列を離れ、コンディション不良の選手たちも出るなど、厳しいシーズンスタートとなった。
たくましいベテラン選手の存在とユースの躍動
若い力も躍動した。ユースから多くの選手たちがトップの練習に参加し、試合でもプロ顔負けの活躍を示した。U-17日本代表コンビのFW津田愛乃音選手とMF菊地花奈選手は早速、アシストやゴールで存在感を示した。ホーム開幕戦で先発に抜擢され、アシストもマークした菊地選手は「チームを勝たせられる選手になりたい」と強い決意を持って試合に挑んだ。一方、津田選手は第2節S広島R戦で「WEリーグ最年少ゴール記録」を更新。直後に塗り替えられはしたが、未来の大器は大きな存在感を示した。トップ昇格が内定していたMF佐藤にいな選手も持ち前の高い認知能力を発揮し、先発3試合を含む5試合に出場。MF岩田琳香選手は第4節大宮アルディージャVENTUS戦でWEリーグデビューを果たした。それぞれが練習から強い個性を放ち、トップの戦いに食い込んでいった。
安定を見せ始めた守備。「シュート0本」の試合。課題と向き合う日々にもブレない姿勢
トレーニングの中ではパススピードにもこだわり続ける。「本来は主導権を取りたいと考えてやってきた。その中でパススピードは生命線。パスの練習の時間をしっかりとること。強いパスをしっかり受けられるということは毎日時間をかけてやっている。その成果はすぐには出ないかもしれない。でもそれが将来生命線となって、ゲームをコントロールできる局面が生まれた時に『きっとあれがあったから』と思えることはぶらさずに意識づけていきたい」(須永監督)
全員がゴールに向かう姿勢を示したシーズン初勝利。2勝目は狙い通りの形から2得点。
「みんながゴールに迫っていて、惜しいシーンもたくさんあった。90分間戦ってくれた選手たちが、そこまでつないでくれた。ゴールを自分が決めるんだという強い気持ちで試合に入り、それが結果に結びついて良かった」と雨に濡れながら佐々木選手はチームメートやサポーターと喜びを噛みしめた。「失点してもそこで崩れず、自分たちの積み上げてきたきたことを続けてくれた。そして最後には交代で出た佐々木美和選手がゴールを取ったということ。ホームで苦しい中、勝利できたことが良かった」と須永監督も選手を称えた。
1ゴール1アシストと2得点に絡んだMF石坂咲樹選手は「常に得点に絡んで結果を残すということは意識している。まだまだ足りないことの方が多い中で、最終的には結果で勝利に貢献できたので、プラスに捉えている。試合に出ているからには点を取ること以外でも、自分のプレーを出していかなければいけない」と喜びの中にも表情を引き締めた。
皇后杯で涙の復活。チームの上昇を後期の戦いにつなげたい
続く準々決勝の新潟L戦は序盤に2失点を喫した。セットプレーから長船選手が1点を返すが反撃はそこまで。準決勝進出とはならなかったが、2024年の終盤は、けが人が復活し、徐々にメンバーが揃ってきた。後期の巻き返しへ、上昇の兆しを感じさせる戦いを見せた。
(取材:マイナビ仙台レディースオフィシャルライター・村林いづみ)
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