新しいヒロイン2025《97期生・大久保 柚季》
おおくぼ・ゆずき=2003年10月13日生まれ
たとえ、プロフィールだけでもおろそかにはしない。記すことは覚悟。自己PR欄には、2つの誓いを書き込んだ。
フェアウェイキープには自信がある。それでも、脳裏にはこんな不安があった。「スタートホールで、フェアウェイを外したら、どうしようか。そんなことを今、考えています。もし、それを読んで試合観戦にいらしたギャラリーさんがいらっしゃったら、たいしたことはない。そう感じるかもしれませんね」。何もそこまでとは思ったものの、それがこの人の身上なのだろう。だから、練習を重ねて精度を磨く糧となっている。
そして、元気で、誰にでもフレンドリー、ということも加えた。なるほど、初対面にもかかわらず、笑いながら、一生懸命に自身を語った。おそらく、未来永劫、それは変わらないだろうという-確信のようなものがこちらにも伝わる。
4回目の最終プロテストを突破。過去、3回も最終まで行きながら、涙をのんだ。いったい、何が違っていたのだろう。「ひとことでいえば、メンタルです。今までは2次まで、まだ次の試合がある。そんな気持ちで臨んできた。でも、最終プロテストは何としても合格しなければならない、とプレッシャーをかけすぎでした。心のゆとりなし。ほぼ、自滅でした」といい、「今回は、その反省から目標をプロテストではなく、QTファイナルステージに修正。たった、それだけですけど、明確な違いがあった。もちろん、自分で考えたこと」と説明する。
そうはいっても、最終プロテストは予想外のピンチに直面。最終日、パー5・7番だった。このホール、打球の精度が定まらず、木の上に。ボールは落ちてこない。たったひとつのミスで9を叩くハメに。第3日まで5アンダーの貯金を一気に吐き出してしまった。
「もう、ボギーは叩けない。次の8番では両手の震えが止まらなかった。でも、パーをとれたら、9番ではバーディー。ひと安心できたものの、最後までガマンと忍耐でした」が、貴重な経験に変わる。ピンを狙って攻めて行くことが特性でも、新たなプレースタイルを身に着けたことも大きい。
そんな記憶がたくさん刻まれている。もちろん、スーパープレーも。学生時代の得意科目は社会だ。「歴史と地理がすごく好き。暗記することが得意ですから」と前置きし、「一度、プレーしたコースはすべて覚える。それから、同組でプレーした方の残り距離、使用クラブなども、です」。2025年は、記憶と記録で勝負する。
2歳上の姉・咲季はJLPGAティーチングプロフェッショナル会員として23年から活動中だ。当然ながら、妹の指導も。「身近で、一緒に住んでいる。誰よりも私のことをわかっているから」と、信頼を寄せている。「姉は教えることが大好き。迷いなく、ティーチングの道に進んだ。身内のことですけど、すごく、やさしい。聞き上手だし、そういえば、けんかをしたことなんて一度もありません」と、笑顔で断言した。(青木 政司)
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ