新しいヒロイン2025《97期生・都 玲華》

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都 玲華 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 2025シーズンがまもなく開幕する。最終プロテストの難関を突破した97期生が希望を胸にデビューを待つ。2024年の総受験者は695人、合格率はおよそ3.7パーセントだった。今年、羽ばたく26人を紹介する。

みやこ・れいか=2004年2月18日、徳島県徳島市出身

 今年2月で21歳を迎える都玲華。ツアープロを目指したのは意外に遅く、高校3年に進級しようかという時期だった。「高校卒業後の進路を考えたとき、自分にはゴルフしかないかなと」。高校は地元・徳島県の生光学園高校に進学。都が入学した年にゴルフ部が創部された。「自分が教わっていた高橋佳伸プロが監督に就任して、練習場とも提携していたので、ゴルフ環境は良かったと思います」。初年度は1年生3人で臨みながらも、全国大会に出場したことがそれを証明している。

 高校3年生で受験した初めてのプロテストでは最終まで進みながらも、右腰の第4腰椎分離症のため、第3ラウンド開始前に棄権。フルショットしなければラウンドできたかもしれないが、トレーナーや父親など周囲の意見を聞いて大事をとった。その後、3、4カ月はコルセットを巻き、一切クラブを握らない生活が続いた。それでもプロへの道をあきらめる考えは一切浮かばなかったという。「むしろその逆です。いろんな方にお世話になったといいますか、私のケガが1日でも1秒でも早く治るように全力で動いてくださったので、前しか向いていませんでした」。根っからのポジティブ人間だったことも幸いし、翌年のプロテストに照準を合わせた。

 2度目、3度目の受験も最終プロテストまで進んだが、どちらも合格ラインには届かなかった。「2回目はケガ明けだったので仕方がないと思いましたが、3回目は腰も完治して、やれることをやった1年間だっただけにかなり悔しかったですね」。なぜ合格できないのか。自分なりに理由は分かっていた。練習場ではいいショットを打っているのに、それを実戦で活かすことができなかったからだ。

都 玲華 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 昨年2月、恒例のタイ合宿では練習だけでなく、石井忍コーチと徹底的にディスカッションを行い、頭の中を一度整理した。自分にとって最も確率が高い攻め方を選択していくうちに、コースマネジメントが徐々に変わってきたという。「攻めながら安全にいくことを覚えました」。コースセッティングが厳しい場合、わずかな油断が命取りになる。距離が短いホールだからといって強気に攻めるのではなく、ピン位置を考えながら危険なゾーンを避けつつ、チャンスを待つようになった。

 マネジメントを変えた結果、トーナメントでも結果が出るようなる。4月に開催されたステップ・アップ・ツアーの大王海運レディスオープンを通算16アンダーという好スコアで制した。同ツアーでアマチュアが優勝を飾ったのは史上6人目の快挙だった。4度目の挑戦となったプロテストでも堂々の2位タイで合格。QTファイナルステージでは最終日に崩れたものの53位となった。

 今季の前半戦はフル参戦とはいかないが、少ないチャンスをものにできれば、リランキングで上位に入り、後半戦の出場権を得る可能性は十分ある。そのためにもオフはシーズンを乗り切る体力をつけることはもちろん、以前から師事しているパッティングコーチとパターのフィッティングやストロークの数値を見直すという。

都 玲華 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 世代でいえば、竹田麗央や川﨑春花ら過去3年間で21勝を挙げている03年度世代になる。「やっぱり高校時代からいろんな刺激を受けてきたし、負けたくない気持ちはあります。麗央さんのことは本当に尊敬していてすごいと思いますが、いつかは一緒に優勝を争えるぐらいのレベルになるのが目標です」。都も決してこの3年間を無駄に過ごしてきたわけではない。スタートが遅れた分はこれからきっちりと取り戻していく。(山西 英希)
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