「アメイジングなスタジアム」、スティーラーズ戦17点差をひっくり返してえどりく20連勝目に!

チーム・協会

これはたしかにエキサイティングシート

2月の透き通った日差しにやや橙色がかかってきた15時半過ぎ。スタジアムの雰囲気が変わった。
会場にいるファンや関係者、その誰もがその流れを肌で感じたはずだ。スタジアムから溢れる歓声のボリュームは、後半から一段階大きくなった。それもスピアーズ一色ではない。
「Go!Go!スピアーズ!」
「Go!Go!スティーラーズ!」
両チームの歓声が交差する。

それに呼応するかのように、選手たちは躍動的なプレーを見せ、まるでバスケットボールのようにボールが互いの陣地を行き来した。
特にこのえどりくの特設席とも言えるエキサイティングシートの目の前では、文字通りエキサイティング極まりないプレーが連続し、会場の雰囲気をより特別なものにした。

後半ファーストトライを決めたゲラード・ファンデンヒーファー選手。エキサイティングシートはピッチレベルから選手を間近で見られる人気席。 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

2月から始まった交流戦期間の第8節、クボタスピアーズ船橋・東京ベイはスピアーズえどりくフィールドで、コベルコ神戸スティーラーズを相手に25対20で勝利した。
この試合は前半と後半で内容が全く違った一戦となった。

前半、スピアーズは精彩を欠く40分を過ごす。キックオフ直後からペナルティによりゴールキックで3点を許す幸先の悪いスタートを切ると、この嫌な流れをずるずると引きずる形となった。

スピアーズはチャンスがあってもミスやペナルティにより取り切れない時間が続く。前半3分の相手のシンビンで一人少ない状況でも、得点には繋げられなかった。前半16分にペナルティゴールで3対3の同点に追いつくが、この後は相手に主導権を譲る。

18分に中盤でのスピアーズアタックからスティーラーズのタックルによりタッチラインの外に押し出されると、相手の速攻から好タッチキックに。この後の相手ボールラインアウトを取られると流れるような連続攻撃でファーストトライを奪われて、相手に7点を勝ち越された。結果的にこのプレーが相手にペースを譲るきっかけとなり、そのあとも28分、38分と連続トライを許してしまう。

自分たちの強みを発揮した相手に対し、スピアーズはタックルやラインアウトといったところで精度が保てず、追加点を奪いきれないまま前半を終えた。

先発として復帰したバーナード・フォーリー選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

後半は前半から優劣が一転する。その要因はいつもより約10分早く投入したインパクトプレイヤーたちの存在だ。

スピアーズは、後半キックオフから加藤選手・マルコム選手・オペティ選手といったフロントローを総入れ替え。この投入理由をフランヘッドコーチは「サイズとパワー、そして勢いが欲しかった」と話すが、この采配が当たる。

きっかけは後半2分のスクラムだった。
後半マイボールでファーストスクラムとなったスピアーズは、ここが勝負所と言わんばかりに時間をかけて押し込むと、バックスに展開。バックス陣は下がった相手ディフェンスに対し、スピーディーかつワイドにパスを繋ぎ立川選手が抜け出すと、最後はファンデンヒーファー選手がライン際をトライエリアまで駆け抜けた。

前半は幾度チャレンジしてもなかなか取れなかった念願の5点を、後半始まって早速の獲得。このスコアボードの小さな動きは、試合の流れを大きく変えた。

続く後半7分にもスピアーズは連続トライを獲得する。きっかけは1本目と同様、フォワードが起点だった。ハーフウェイラインからスピアーズがモールを組んで押し込む。その距離約10m。100mのグラウンドではたったの10mだが、後のビッグゲインを作るには十分な10mだった。
大きなフォワード陣が密度を高めてモールを押し込むと、そのモールにディフェンスが寄って空いたショートサイドにハラトア選手が走り込んだ。
ハラトア選手はボールをもらうと右サイドを駆け抜けて、ブリン・ホール選手繋げる。そしてそのままトライとなり、コンバージョンゴールも決まって、後半開始10分足らずで5点差まで詰め寄った。

後半5分から山田選手の負傷交代によりセンターからウィングにポジションを変えたハラトア選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

そこからの会場のボルテージは一気に上がる。立川選手が同点トライを奪ったのは、そんな会場の雰囲気が温まりきった後半25分のことだった。
ゴール前のスピアーズラインアウトから、モールを警戒する相手ディフェンスの裏をかいて、末永選手がパス。バックスラインからディフェンスのギャップを切り込むように走り込んだ立川選手がそのままトライエリアに飛び込み同点へ。その後のコンバージョンをフォーリー選手が決め、勝ち越し。この日初めてスピアーズが相手をリードした。

32分にはペナルティゴールを決めて点差を5点に広げると、その後も相手の猛攻を凌ぎ切ってスピアーズが今季6勝目をマークした。

トライを決める立川選手。後の相手トライを防いだタックルなど攻守で活躍し、プレイヤー・オブ・ザ・マッチに選出された。 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

南アフリカ代表でもボムスコッドとして活躍するマルコム・マークス選手。その安定感はさすが。 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

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この試合でスピアーズは、勝ち点4を積み上げ8節終了時点で3位と順位は変わらず。だがこのホストスタジアム「えどりく」で無敗の20連勝と、チームにとては記念すべき試合となった。

後半ボルテージがあがったスタジアムからは、この20試合のなかで積み上げてきたスタジアムとチーム、そしてファンの結束が表現され、選手の背中を後押しした。
これについてフランヘッドコーチは
「ファンの方々が作る雰囲気は、本当にアメイジングなスタジアム」
と表現した。

ただ一方で試合内容で課題は残る。今季、スピアーズは8試合中5試合で前半の40分で相手にリードを許してしまっている。
前半は互いに実力も拮抗し難しい時間帯ではあるが、若い先発メンバーたちの成長や実力を見れば、今後の改善は期待できる。なにより先発メンバーの活躍により、試合を終始支配し、80分間隙のない強いスピアーズこそ、このえどりくでファンが見たい景色だろう。

次戦は現在4位につける静岡ブルーレヴズとの対戦。激しいフォワード戦とさらなるアグレッシブな試合展開が予想される次節、このアメイジングなスタジアムで進化したスピアーズに期待したい。

次戦ホストゲームは2月22日(土)静岡ブルーレヴズ戦!カレーマルシェも開催します。イベント情報やチケット情報、見所などは以下のリンクをご確認ください 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

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文:クボタスピアーズ船橋・東京ベイ広報担当 岩爪航
写真:チームフォトグラファー 福島宏治
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著者プロフィール

〈クボタスピアーズ船橋・東京ベイについて〉 1978年創部。1990年、クボタ創業100周年を機にカンパニースポーツと定め、千葉県船橋市のクボタ京葉工場内にグランドとクラブハウスを整備。2003年、ジャパンラグビートップリーグ発足時からトップリーグの常連として戦ってきた。 「Proud Billboard」のビジョンの元、強く、愛されるチームを目指し、ステークホルダーの「誇りの広告塔」となるべくチーム強化を図っている。NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23では、創部以来初の決勝に進出。激戦の末に勝利し、優勝という結果でシーズンを終えた。 また、チーム強化だけでなく、SDGsの推進やラグビーを通じた普及・育成活動などといった社会貢献活動を積極的に推進している。スピアーズではファンのことを「共にオレンジを着て戦う仲間」という意図から「オレンジアーミー」と呼んでいる。

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