「アメイジングなスタジアム」、スティーラーズ戦17点差をひっくり返してえどりく20連勝目に!
これはたしかにエキサイティングシート
会場にいるファンや関係者、その誰もがその流れを肌で感じたはずだ。スタジアムから溢れる歓声のボリュームは、後半から一段階大きくなった。それもスピアーズ一色ではない。
「Go!Go!スピアーズ!」
「Go!Go!スティーラーズ!」
両チームの歓声が交差する。
それに呼応するかのように、選手たちは躍動的なプレーを見せ、まるでバスケットボールのようにボールが互いの陣地を行き来した。
特にこのえどりくの特設席とも言えるエキサイティングシートの目の前では、文字通りエキサイティング極まりないプレーが連続し、会場の雰囲気をより特別なものにした。
この試合は前半と後半で内容が全く違った一戦となった。
前半、スピアーズは精彩を欠く40分を過ごす。キックオフ直後からペナルティによりゴールキックで3点を許す幸先の悪いスタートを切ると、この嫌な流れをずるずると引きずる形となった。
スピアーズはチャンスがあってもミスやペナルティにより取り切れない時間が続く。前半3分の相手のシンビンで一人少ない状況でも、得点には繋げられなかった。前半16分にペナルティゴールで3対3の同点に追いつくが、この後は相手に主導権を譲る。
18分に中盤でのスピアーズアタックからスティーラーズのタックルによりタッチラインの外に押し出されると、相手の速攻から好タッチキックに。この後の相手ボールラインアウトを取られると流れるような連続攻撃でファーストトライを奪われて、相手に7点を勝ち越された。結果的にこのプレーが相手にペースを譲るきっかけとなり、そのあとも28分、38分と連続トライを許してしまう。
自分たちの強みを発揮した相手に対し、スピアーズはタックルやラインアウトといったところで精度が保てず、追加点を奪いきれないまま前半を終えた。
スピアーズは、後半キックオフから加藤選手・マルコム選手・オペティ選手といったフロントローを総入れ替え。この投入理由をフランヘッドコーチは「サイズとパワー、そして勢いが欲しかった」と話すが、この采配が当たる。
きっかけは後半2分のスクラムだった。
後半マイボールでファーストスクラムとなったスピアーズは、ここが勝負所と言わんばかりに時間をかけて押し込むと、バックスに展開。バックス陣は下がった相手ディフェンスに対し、スピーディーかつワイドにパスを繋ぎ立川選手が抜け出すと、最後はファンデンヒーファー選手がライン際をトライエリアまで駆け抜けた。
前半は幾度チャレンジしてもなかなか取れなかった念願の5点を、後半始まって早速の獲得。このスコアボードの小さな動きは、試合の流れを大きく変えた。
続く後半7分にもスピアーズは連続トライを獲得する。きっかけは1本目と同様、フォワードが起点だった。ハーフウェイラインからスピアーズがモールを組んで押し込む。その距離約10m。100mのグラウンドではたったの10mだが、後のビッグゲインを作るには十分な10mだった。
大きなフォワード陣が密度を高めてモールを押し込むと、そのモールにディフェンスが寄って空いたショートサイドにハラトア選手が走り込んだ。
ハラトア選手はボールをもらうと右サイドを駆け抜けて、ブリン・ホール選手繋げる。そしてそのままトライとなり、コンバージョンゴールも決まって、後半開始10分足らずで5点差まで詰め寄った。
ゴール前のスピアーズラインアウトから、モールを警戒する相手ディフェンスの裏をかいて、末永選手がパス。バックスラインからディフェンスのギャップを切り込むように走り込んだ立川選手がそのままトライエリアに飛び込み同点へ。その後のコンバージョンをフォーリー選手が決め、勝ち越し。この日初めてスピアーズが相手をリードした。
32分にはペナルティゴールを決めて点差を5点に広げると、その後も相手の猛攻を凌ぎ切ってスピアーズが今季6勝目をマークした。
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後半ボルテージがあがったスタジアムからは、この20試合のなかで積み上げてきたスタジアムとチーム、そしてファンの結束が表現され、選手の背中を後押しした。
これについてフランヘッドコーチは
「ファンの方々が作る雰囲気は、本当にアメイジングなスタジアム」
と表現した。
ただ一方で試合内容で課題は残る。今季、スピアーズは8試合中5試合で前半の40分で相手にリードを許してしまっている。
前半は互いに実力も拮抗し難しい時間帯ではあるが、若い先発メンバーたちの成長や実力を見れば、今後の改善は期待できる。なにより先発メンバーの活躍により、試合を終始支配し、80分間隙のない強いスピアーズこそ、このえどりくでファンが見たい景色だろう。
次戦は現在4位につける静岡ブルーレヴズとの対戦。激しいフォワード戦とさらなるアグレッシブな試合展開が予想される次節、このアメイジングなスタジアムで進化したスピアーズに期待したい。
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写真:チームフォトグラファー 福島宏治
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