10年の継続が生んだ車いすラグビーの金メダル。SHIBUYA CUPが果たした役割とは?
「銅メダルだったリオの後、『金メダルを獲ったら渋谷でパレードを!』という話題が出るようになりました。夢が現実になった。金メダルを持ち帰った選手に久しぶりに会ったら、涙が出てきちゃいました」
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SHIBUYA CUPが盛り上がる理由
とりわけ車いすラグビーはこの地域に根付いている。2022年に新設された国際大会「SHIBUYA CUP」は、2024年も11月に3日間の日程で開催。4年後、ロサンゼルスで開催されるパラリンピックに向けてスタートを切った日本代表を鼓舞するかのように、学校観戦の子どもたちが大会を盛り上げた。
「観客を集めるのはすごく大変だと思うのですが、今大会も学校の子どもたちが観客席をにぎわせてくれました。渋谷区の学校には選手を呼んでいただき、全学校を回っていて、いまも継続中です。その成果なのか、大会では選手の名前を呼んで応援してくれたり、応援グッズを作ってきてくれたり、車いすラグビーを知ってくれている児童・生徒の声援がうれしいですね」
東京パラリンピックの車いすラグビーは、国立代々木競技場第一体育館で行われた。区内で国際大会を実施できる会場は、他に東京体育館と国立代々木競技場第二体育館がある。SHIBUYA CUPは国立代々木競技場第二体育館で開催され、会場使用料を渋谷区が負担している。
同パラスポーツ推進係の小方心緒吏主任は「担当になり、金メダルに向けて努力する選手たちを間近に見させていただいた。若手の登竜門的な大会ということで、今後、SHIBUYA CUPに出場した選手がパラリンピックなど主要大会に出ていくような土台の大会になれば」と笑顔で語る。
渋谷から世界へ
パリでエースの名をものにした橋本勝也も、2022年のSHIBUYA CUPで初めてキャプテンを経験した。
「当時は自分のことで精一杯だったが、(キャプテンになったことで)チームを客観的に見て、どうまとめたらチームがいい方向に行くかをしっかりと考える時間になったし、それがパリパラリンピックの結果につながったと思っています」
2024年大会は日本代表ヘッドコーチとして参戦。「ヘッドコーチとして足りない部分があると思っているので、そういうところを選手からも勉強させてもらっているし、選手とともに戦っている」と国際大会の意義を語った。
「SHIBUYA CUPは、創設前からの目論見の通り、日本が強くなるために重要な大会になりました。そんな大会を支えてくれるのがボランティアさんです。車いすラグビーで激しいプレーをすると床にタイヤの跡が残るため床掃除をするボランティアなどを募りますが、募集人数以上の人が申し込んでくださいます。渋谷で出会ったボランティアさんが他の大会にも来てくれるなど広がりを見せているんです」
選手、スタッフを育てたSHIBUYA CUPは、パリの金メダルを語る上で欠かせない大会になった。
text by Asuka Senaga
photo by X-1
※本記事はパラサポWEBに2025年2月に掲載されたものです。
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