【Road to Rice Bowl 78 富士通編①】「深化」を遂げる選手層 誰もがプレーメーカーになる王者の戦い方

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ライスボウル4連覇を目指す今季の富士通フロンティアーズは、リーグ戦ではまさに盤石という言葉がぴったりとあてはまる戦いぶりを披露した。第3節のノジマ相模原ライズ戦の前半こそ10‐13と劣勢で折り返したが、それ以外の試合は全く危なげなく勝ち進んだ。

エースクオーターバック(QB)高木翼は今季はケガに苦しむこともなく、安定したパスを抜群の判断力でオフェンスの司令塔を務めた。過去2年連続でXリーグのMVPに輝いたランニングバック(RB)トラショーン・ニクソン、今季はキックリターンでも4タッチダウンをマークしたワイドレシーバー(WR)サマジー・グラントらは健在で、圧倒的な強さを見せた。ディフェンスもディフェンスライン(DL)宇田正男、ジョー・マシスを中心に1試合あたりの平均失点が7.3点(リーグ1位)という堅い守備を実現した。

オーバーショルダーによるパスキャッチでTDを決める富士通WR神優成(右) 【X LEAGUE】

富士通を代表する選手として名前が挙がることが多い上記の選手に加え、今季は新たなプレーメーカーが増えた印象だ。例えば、レギュラーシーズンのレシーブ回数のトップ50に名前を連ねた選手は昨年は3人だったが、今季は7人と増えた。その中には坂本アントニーマウネディ、木村和喜、高津佐隼矢、柴田源太らが含まれる。RBでは三宅昂輝や香川将成の活躍が目立った。

こうした選手は昨年までもチームに在籍し、貢献してきたが、今季はこれまで以上に目立った活躍をしている。50傑からは漏れたがWR神優成はダイナミックなオーバーショルダーキャッチを何度も見せた。ディフェンスではブロンソン・ビーティー、二宮政樹の台頭があった。

インターセプトする富士通DBブロンソン・ビーティー(左) 【X LEAGUE】

山本洋ヘッドコーチ(HC)に「今年は選手層が厚くなりましたね」と言うと、「そうですかね。だとすればうれしいです」と答えるにとどまったが、WR小梶恭平(オービックに移籍)、ディフェンスバック(DB)アルリワン・アディヤミ(引退)が抜けた穴を感じさせないだけでなく、新たに中心選手としてプレーメークする存在が増えたことはディフェンディンチャンピオンとしては王座維持に向けて好ましい材料だ。

選手層の厚さは富士通のタッチダウン量産にもつながっている。秋季リーグ戦で1試合8つ以上のタッチダウンをあげた試合は、半数の3試合を数える。山本HCは「もう富士通とは戦いたくない、と思われるようなチームを作るのが理想」と言うが、選手が入替っても得点力が落ちない現在の富士通はその理想形に着実に近づいているのかもしれない。

かくして富士通は3年連続で秋季リーグ戦を全勝で終え、プレーオフ・ライスボウルトーナメントを迎えるのである。
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