早大競走部、箱根駅伝特集! 駅伝主将・エース・“山の名探偵”インタビュー「今年のチームはここが違う」/早稲田ウィークリー

チーム・協会

(左から)山口選手、伊藤選手、工藤選手。所沢キャンパス 織田幹雄記念陸上競技場にて(インタビューは2024年11月24日に行いました) 【早稲田ウィークリー】

【早稲田ウィークリー】取材・文:和田 悟志(2003年第一文学部卒業)撮影:布川 航太

2025年1月2日(木)の往路と3日(金)の復路、計10区間にわたり新春の箱根路を駆ける「第101回東京箱根間往復大学駅伝競走」。 第1回大会から93回もの出場の伝統を持つ早稲田大学競走部は、前回7位の成績を残し、今大会の目標は3位以内。そこで今回は、駅伝主将・伊藤大志選手とエースに成長した山口智規選手、そして前回大会で“山の名探偵”の愛称で一躍有名になった工藤慎作選手の3人にインタビューを行いました。他にも、駅伝選手の1日の様子や、早稲田ウィークリー恒例、知れば駅伝観戦がより楽しめる16人のエントリーメンバー選手名鑑まで、盛りだくさんでお届けします!

駅伝主将、エース、“山の名探偵”インタビュー「今年のチームはここが違う」

普段は下の名前で呼び合う3人。お互いやチームのことをどのように見ているのか、また、箱根駅伝で実際に走る区間はまだ決まらない中、今大会に懸ける意気込みなどを聞きました。

駅伝主将 スポーツ科学部 4年 伊藤 大志(いとう・たいし) 佐久長聖高等学校出身
スポーツ科学部 3年 山口 智規(やまぐち・とものり) 学校法人石川高等学校出身
スポーツ科学部 2年 工藤 慎作(くどう・しんさく) 八千代松陰高等学校出身

(左から)工藤選手、伊藤選手、山口選手 【早稲田ウィークリー】

――お互いの今季の活躍や成長を、どのように見ていますか?

伊藤:(山口)智規はトラックでも活躍して、今年の2月のクロスカントリー日本選手権では優勝、世界クロスカントリーにも出場しています。早稲田が勢いに乗っているのを印象付けた選手だと思っています。智規がトラックなら、(工藤)慎作は、前回の箱根駅伝5区の山登りで結果を残した後は、3月の日本学生ハーフマラソン選手権の3位や10月の出雲駅伝の6区区間2位など、早稲田はロードでも強いぞというところを見せてくれました。

主将・伊藤選手 【早稲田ウィークリー】

2024年10月、出雲駅伝で2区を走る伊藤選手 【©M.Okazaki】

山口:(伊藤)大志さんは、4月に5000mで13分28秒67と早稲田歴代4位の好記録を出してインパクトを残しました。大志さんが常にチームの練習を引っ張ってくれるので、僕と慎作は好きなように練習をさせてもらえました。慎作は1年生の時、新しい環境に慣れるまで時間がかかり、なかなか調子が上がらず悔しい思いをした分、2年生になってからは自分のペースでしっかり練習を積んで、10月の出雲駅伝(6区区間2位)、11月の全日本大学駅伝(8区区間3位)と結果を残しています。他大学の選手からも「工藤、強いね」ってよく言われるので、早稲田のストロングポイントとして頑張ってくれていると感じます。

工藤:自分自身、今年は結構成長できたと思っています。お二人はシーズン前半からコンスタントに活躍し続けていて、それが、チームが勢いづく材料になったと思います。夏合宿でも練習を引っ張るなど存在感を示していましたし、間違いなくチームの核となる方たちです。

――今年のチームが例年とは違う、と感じるのはどんな点でしょうか?

伊藤:後輩の意見から聞きたい!

工藤:昨年は個人の結果を突き詰めていくことができたチームでしたが、一方で、チームでまとまって質の高い練習をすべき時期に調子がバラバラになる部分がありました。その点、今年はチームで戦うことを徹底していると感じています。

山口:ここ数年の早稲田は派手なチームという印象でしたが、今年は泥臭いことに向き合える地味なチーム。たぶん4年生がそういう取り組みができる学年なので、下の学年も泥臭くできるんだと思います。

伊藤:昨年も一昨年もその前も、4年生一人一人にスター性があり、それが早稲田のチームカラーになっていたということだと思います。今年は、良くも悪くも4年生の個性がそこまで強いわけではなく、その分まとまりのあるチームにできた。それが、チームカラーに変化が起きた要因の一つなのかなと思っています。

エース・山口選手 【早稲田ウィークリー】

2024年10月、出雲駅伝で1区を走る山口選手 【©M.Okazaki】

――主将、エース、キーマン…自身の箱根駅伝での役割をどのように考えていますか?

伊藤:駅伝はチームの結果が一番。僕は4年間、そのスタンスは変わりません。自分がチームに貢献できるのであれば、どの区間でも行きます。エース区間で勝負する選手、5区でキーマンになる選手と、二人はある程度役割が定まっていますが、どの区間でもフレキシブルに対応するのが僕の役割だと思っています。チームに追い風を吹かせる走りをしたいです。

工藤:個人としては区間賞、って言いたいところですけど、現実はそんなに甘くない。でも、区間3位ぐらいは確保して、少しでも往路の順位を上げたいと思います。お二人に求めたいのは…。

伊藤:「俺がラクをできる順位で襷(たすき)を持ってこい」とか!?(笑)。

工藤:そうですね(苦笑)。先頭の見えるところ、もしくは、他大学の“山のスター”たちに追い付かれないぐらいのタイムの貯金が欲しいです。

伊藤:慎作が“山のスター”になるんだよ!

工藤:もちろん、先頭で襷をもらえればうれしいです。それでプレッシャーを感じることはないので。単独走ができるのは自分の強み。それに、先頭は中継車を風よけにできるというメリットがあるので、先頭で来てくれると信じています!

山の名探偵・工藤選手 【早稲田ウィークリー】

2024年箱根駅伝で、山登り区間の5区を走る工藤選手。体調不良で欠場した伊藤選手の代わりに出走し、1年生ながら区間6位と好走した 【©M.Okazaki】

――個人のレースとは違う、駅伝ならではの走りとは?

伊藤:僕は当初、その違いに悩んでいました。個人のレース結果は、良くも悪くも自分で受け止めれば良いのですが、駅伝は自分の走りの結果がチームの順位に影響するので、それをプレッシャーに感じていて。でも、大学でいろんな経験を積んだことで、駅伝だからといって気負い過ぎるのではなく、シンプルに自分の走りに集中すればいいんだと思えるようになりました。ただ、駅伝主将になった時の心構えは、当初から、「チーム全員で戦い、みんなで勝ちたいって思えるチームを作ろう」って話をしてここまでやってきました。僕は早稲田のユニフォームで走るのは今回の箱根駅伝が最後なので、自分の走りに集中し、みんなと笑顔で終わりたいですね。

山口:駅伝で必要なのはスマートさですかね。他大学の選手とはスタート位置も違えば、走るペースも力も違います。自分で状況判断して冷静に走れないと、タイムが大きく変わってしまう。相手に惑わされないように、自分を持つことが大事だと思います。

工藤:僕は、スマートさとは逆にタフさが必要かなと思います。野球などと違って駅伝は途中交代ができないので、どんなにペースダウンしても最後まで諦められないし、途中棄権するわけにはいきません。タフさや、最後の最後まで粘り切ることが求められます。

――沿道からはどんな応援をされたいですか?

伊藤:どうしてか、僕はフルネームで呼ばれることが多いんですよね。なので、“伊藤大志”ってフルネームで応援してくれたらうれしいです! やっぱり“早稲田!”っていう声を聞いたり、臙脂(えんじ)の旗を見たりするだけで、おっ! となるんです。

山口:なります、なります。箱根駅伝の2区だと23kmと長いので、最初から最後まで集中力が持たないんです。僕は沿道の応援を楽しむくらいの感覚で半分以上走っています。なので、臙脂を身にまとって応援してほしいですね。

伊藤:慎作は「#山の名探偵」っていう良いハッシュタグ(※)がありますからね。

工藤:ハッシュタグでもいいし、大学名や僕の名前でも、自分のことを応援してくれているのが分かればうれしいです。5区は、沿道に人がいるところといないところの差が激しいので、人があまりいないところに応援に来てほしいです!

(※)SNSでの情報発信にも力を入れている競走部。中でも、駅伝シーズンは公募などで決定したハッシュタグでエントリーメンバーを応援する企画が人気。エントリーメンバー選手名鑑に記載のハッシュタグで、ぜひ投稿を!

(左から)山口選手、伊藤選手、工藤選手 【早稲田ウィークリー】

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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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