決着は後半43分のウイニングショット!開幕戦はトヨタヴェルブリッツを相手に白星スタート

チーム・協会

前半11点ビハインドも、後半勢いを作りサヨナラDGで試合を決める!

挫けそうになるときがある。
自信がへし折られそうなときがある。
勝負の世界に生きていれば、そんなときだってある。
けれどそれでも最後まで戦えるのは、希望の光があるからだ。

その光はちょっとしたものでいい。
スクラムでの一本のペナルティだったり、アタックで少し前に出ることだったり、徐々に大きくなるスタンドからの声援だったり。
その光こそが、最後まで挑戦し続ける勇気をくれる。

後半43分のバーナード・フォーリー選手のドロップゴールは、そんな光が導いたものだったのかもしれない。

ドロップゴールを決めた直後のバーナード・フォーリー選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

NTTジャパンラグビーリーグワン2024-25、その開幕戦でクボタスピアーズ船橋・東京ベイがトヨタヴェルブリッツに30対27で勝利した。

キックオフ直後から激しい接点が目立つ試合だった。
互いにブレイクダウンでボールを奪い合う激しい争奪戦が続く。

前半11分にはスクラムでのペナルティからスピアーズがチャンスを掴むと、モールで江良選手がトライを決めて先制した。

だが、14分のハラトア選手の一時退場の間に2トライを許し逆転されると、ヴェルブリッツの激しいディフェンスの前にやや劣勢の時間が続いた。

それでもスピアーズは廣瀬選手の鋭いステップで前進した勢いをそのままに、マキシキャプテンがトライ取って食らいつく。
だが、前半終了間際にまたもヴェルブリッツにトライされ10対21で前半を折り返した。

12番で開幕スタメンとなった廣瀬選手。相手の強力なセンター陣に負けないプレーを見せた 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

後半はヴェルブリッツがペナルティゴールで先制。点差は14点差まで広がる。日が暮れた秩父宮ラグビー場に、寒さとともに嫌な空気が流れた。

そんな空気を変えるきっかけを作ったのが、後半7分に投入されたインパクトプレイヤーたちだ。このタイミングでスピアーズに光が射した。

それまでの先発メンバーたちが打ち続けた攻撃に、リザーブ陣の果敢な突進が勢いをつくる。それはスピアーズに流れを傾けるには十分なインパクトだった。


後半11分にモールからタイラー選手がトライを取ると、続くリスタートからもペナルティを奪い、相手にボールを譲らない。
敵陣でのラインアウトからスクラムハーフの藤原選手が素早いボールさばきでマルコム選手、オペティ選手と強いランナーにボールを渡し、最後はバックスが右ライン際を駆け抜けて島田選手がトライを決めた。

トライを奪う島田選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

スピアーズはこれで4トライ目。ヴェルブリッツのトライ数を上回る。しかし、スコアは相手が4点リード。
この日は10番フォーリー選手のキックが不調だった。

前半から立て続けにコンバージョンゴールを外し、この4トライ目でもポストに当たってゴールに嫌われた。
対するヴェルブリッツは、ここまで100%の成功率。後半25分にもペナルティゴールも決めて、点差を7点にした。

そこから両者譲らず刻々と時間は過ぎる。試合時間残り5分としたところで、スピアーズが15フェイズ以上にもわたる連続攻撃の末にメルヴェ選手がトライを決めた。ここでようやくフォーリー選手のゴールが決まり同点に追いつく。

そこからは死闘だ。スピアーズはスクラムを圧倒して相手陣に入るも、ヴェルブリッツのディフェンスは固い、速い、低い。
ここまで前に出れていたスピアーズのインパクトプレイヤーたちの突進が食い止められた。そうして攻めあぐむうちに後半40分を告げるホーンが鳴る。残り1プレー、チャンスは1回。

この勝負所を決めたのは、ここまでゴールに嫌われていたフォーリー選手だった。
連続攻撃の末にゴール真正面に構えると、相手のプレッシャーを受けながらウイニングショットを決めた。

バーナード・フォーリー選手は前日でも最後までゴールキックやドロップゴールの練習を行っていた 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

キャプテン就任後、初試合となったマキシキャプテンは
「タフな試合になることをわかっていたが、自分たちにフォーカスしていい準備をして試合に臨んだ。いいリーダーたちがいることで、彼らのサポートを受けながら自分のプレーをすることができた。後半のトライを決めた時、観客席の盛り上がりが伝わり自分たちの力になった」
と試合を振り返る。

互いに勝ちたい開幕戦、うまくいかない時もある。
だがそんな時に一人で解決するのではなく、仲間のプレーやスタンドからの声援で自信を取り戻すことができるのがラグビーだ。

不調のなかでも覚悟を決めて蹴ったフォーリー選手のドロップゴールには、そんなラグビーらしさとチームの結束を見ることができた。

次節は埼玉パナソニックワイルドナイツと敵地で対戦。
強敵相手に、全員で目の前の勝利をつかみにいく。

日本代表合宿から合流し、キャプテンとして初の公式戦となったファウルア・マキシ選手。記者会見でも日本語でしっかりとインタビューに受け答えして、頼もしさを見せた 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

後半のインパクトプレイヤーのひとり、オペティ・ヘル選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

ハラトア・ヴァイレア選手は14番で活躍。前半のキックチェイスから反則を取られてシンビン、さらに負傷までしたがグラウンドに戻るとまた同じようなプレーでボールを競り取った。 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

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【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

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文:クボタスピアーズ船橋・東京ベイ広報担当 岩爪航
写真:チームフォトグラファー 福島宏治
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著者プロフィール

〈クボタスピアーズ船橋・東京ベイについて〉 1978年創部。1990年、クボタ創業100周年を機にカンパニースポーツと定め、千葉県船橋市のクボタ京葉工場内にグランドとクラブハウスを整備。2003年、ジャパンラグビートップリーグ発足時からトップリーグの常連として戦ってきた。 「Proud Billboard」のビジョンの元、強く、愛されるチームを目指し、ステークホルダーの「誇りの広告塔」となるべくチーム強化を図っている。NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23では、創部以来初の決勝に進出。激戦の末に勝利し、優勝という結果でシーズンを終えた。 また、チーム強化だけでなく、SDGsの推進やラグビーを通じた普及・育成活動などといった社会貢献活動を積極的に推進している。スピアーズではファンのことを「共にオレンジを着て戦う仲間」という意図から「オレンジアーミー」と呼んでいる。

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