ロッテ石川歩 669日ぶりの白星。約束だったお立ち台での名セリフ。本当の絶景を見るためにはベテラン右腕の力が必要。
千葉ロッテマリーンズ石川歩投手 【千葉ロッテマリーンズ提供】
約束だった。まだリハビリ中だった石垣島春季キャンプではチーム最年長のベテラン・荻野貴司外野手から「また、お立ち台での『絶景で~す』が聞きたいなあ」と声をかけられ、励まされた。
育成枠から支配下に戻った6月24日には元チームメートの涌井秀章投手から連絡が届いた。「ヒーローになったら『絶景で~す』を頼むよ」。そのメッセージがずっと頭にはあった。ちなみにこの決めセリフは歌舞伎などで石川五右衛門が「絶景かな、絶景かな」と口にする名セリフから編み出されたもの。石川歩が新人の時にヒーローインタビューで、なにかオリジナルのパフォーマンスを求められ、最後を締めるセリフとして定着していた。
苦しい日々を乗り越えてスポットライトを浴びる場所に戻ってきた。昨年、春季キャンプ期間中に就任したばかりの吉井理人監督から開幕投手に指名された。信頼の証だった。しかし右上肢のコンディション不良で開幕投手を回避すると長いトンネルに入った。二軍のマウンドには戻っても思ったようには力が入らず、なかなか本来のボールを投げることは出来なかった。そして状態が回復しないまま10月に右肩を手術。育成選手としてリハビリに取り組み、ようやく本拠地のマウンドに戻ってきた。
「リハビリ期間は長かった」と振り返る言葉には重みがあった。指揮官は「素晴らしかった。投球技術は風も利用して天下一品。緩急を使うのが上手い」と絶賛した。そして「実はストレートもシンカーも打席の中で1球1球、スピードを変えていた。あんなのなかなかできるものではない」と復帰即結果を出したベテラン右腕の凄さの秘密を満足げに解説した。
試合後、決めセリフを楽しみにしていた荻野はベンチで見つめると「絶景だったね」と称えた。ドラゴンズの涌井からは「おめでとう」とメッセージが届いていた。
「荻野さんからも涌井さんからも言われていたので(決めセリフを)言えてよかったです。自分からはなかなか言えないので、(インタビュアーの方に)アシストしてもらえてよかったです」と照れ笑いを浮かべた。
今シーズンは最終的に5試合に先発をして3勝1敗、防御率3・70。12月2日、石川は契約更改を終えた。「復帰出来て良かったという想い。内容的に、そこまでめちゃくちゃ良かったまでは思わないけれど、」何試合かはいい感じで投げることが出来た試合があった。来年はもっともっと状態を上げていきたい」と晴れやかな表情でメディア対応を受けた。来る2025シーズンはもっともっとお立ち台での「絶景で~す」が聞きたいとファンは思っている。本当の絶景を見るためには背番号「12」の活躍は必要不可欠なのだ。
文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
契約更改を終えた石川歩投手 【千葉ロッテマリーンズ提供】
千葉ロッテマリーンズ石川歩投手 【千葉ロッテマリーンズ提供】
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