【柔道】パーク24presentsグランドスラム東京2024:(18)みどころ(女子編)
【塚田真希全日本女子監督コメント】
全体的に出場選手が少ないが、海外選手では、パリオリンピック銅メダリストの78㎏級のポルトガルのSAMPAIO選手、パリオリンピック出場選手で今回階級を上げて出場している63㎏級ブラジルのSILVA選手に注目している。
今までの日本女子柔道の強化を継続しつつ、選手には今回のチャンスをものにして今後に向けてのいいスタートを切ってほしい。
日本語解説でおなじみ ejudo古田編集長のみどころ!
充実期を迎えつつある日本が、極めて豪華なメンバーで臨む。一番手は、世界選手権で銀・銅と2度メダルを手にしている古賀若菜。得意の大内刈に加えて大外刈、背負投、足車と近年は次々勝負技を上積み。送襟絞など「立ちから寝」の際の技術にも緩みがなく、完成度の高さで頭一つ抜けている。V候補筆頭として乗り込んだ5月のアブダビ世界選手権では意外な反則負けを喫して入賞ならず、今大会を足掛かりに今一度世界王座を目指す。脇を固めるのは講道館杯を制した吉岡光、投げ一発の威力抜群の近藤美月、一昨年大会を17歳で制した宮木果乃という大学生のスター候補3名。ロスオリンピック代表争いに向け、角田夏実追撃の一番手を決める超重要大会だ。海外勢も19歳にして欧州制覇を成し遂げたドゥディナ(IJF)、コスタ(ポルトガル)、ガンバータル(モンゴル)、ラボルデ(キューバ)と粒が揃った。見ごたえ十分の階級。
【国際柔道連盟】
ワールドツアー大会で3度優勝を飾っている大森生純がV候補筆頭。得意の足車一発の威力、そしてこの技をゴールと定めてのインサイドワークの確かさが売りだ。日本代表を務めたアブダビ世界選手権では結果が残せなかったが、今大会から再び世界への飛躍を狙う。海外勢ではパリオリンピック団体戦で阿部詩から変則の横掛「技あり」を奪った小内巻込の巧者、トロ=ソレル(スペイン)に注目。ビシュレルト(UAE)、ラグワスレン(モンゴル)を加えた3名は世界大会でも入賞を狙える強者だ。アジア選手権で2位入賞の藤城心、竹内鈴、坪根菜々子は今大会でツアー初タイトルを狙う。
【国際柔道連盟】
アブダビ世界選手権で銅メダルを獲得した30歳のベテラン・玉置桃が果敢にエントリ―。対する海外勢は強豪の影が薄く、ワールドツアー上位に絡む選手はリマ(ブラジル)、プリーツ(クロアチア)、ガリツカイア(IJF)、フランスの4番手ファワズと、メンバーが極端に限られる状況だ。講道館杯を制した渕田萌生に同2位の足達実佳、ジュニア世代の大物・大野萌亜の若い日本代表3名はこれがGS初参戦。国際大会でいきなり結果を残す、大きなチャンスが訪れたと捉えたい。
【国際柔道連盟】
2016年リオオリンピック金メダルのシウバ(ブラジル)が階級を上げてエントリ―。パリオリンピックは3位決定戦で意外な反則負けを喫してメダルこそ逃したが、力も存在感も全盛期と遜色なかった。パワー派の比率が段違いに上がる63kg級でどこまでやれるか、この選手の出来が大きな注目ポイント。海外勢では今季ツアーで2位2回のリルアシヴィリ(IJF)、タン(中国)、ザコワ(チェコ)も強力。日本は2023年世界選手権王者の堀川恵に、嘉重春樺・檀野芽紅・青野南美の若手3名を加えて迎え撃つ。
【国際柔道連盟】
日本の1番手は、5月のアブダビ世界選手権で銅メダルを獲得した26歳・田中志歩。持ち前の技や体の強さにインサイドワークが加わり始め、もっかは上昇曲線に乗っている。これに講道館杯2連覇の25歳・寺田宇多菜、大学2年生ながら世界選手権団体戦代表を務めた本田万結、大学1年生の前田凛を加えた4人が今回の日本代表。それぞれテーマはあるが、得意の寝技を押し出して世代別では世界でも無敵の本田がどこまでやれるかは、特に注目しておきたいポイント。海外勢は2022年世界選手権銀メダルのツヴェツコ、63kg級から「出戻り」を敢行した2019年の銀メダリスト・ティモ(ポルトガル)、エリクソン(スウェーデン)、モスカル(ルーマニア)ら、地味ながら歯ごたえのある相手が揃った。
【国際柔道連盟】
日本代表は「ベテラン/若手」で綺麗に割れた構成。まず東京オリンピックの金メダリスト濵田尚里、そして2015年を皮切りに世界選手権で3度表彰台に立った梅木真美がそれぞれ第1・第2代表。このベテラン2人に、池田紅と杉村美寿希の大学生2人を加えたバランス型の陣容となった。今回は、「リオーパリ期」を支えたベテランの覇権が続くのか、国内で興った気鋭の若手がその壁を崩すのか、ロサンゼルスオリンピックに向けた代表争いの構図を決める大会と言える。池田は寝技、杉村は投げとそれぞれ尖った長所のあるニューカマーだが、11月の講道館杯では梅木が2人にいずれも「一本」で完勝。ベテランの力を見せつけたばかりだ。この力関係に変化があるかどうかが最大の注目ポイント。海外勢ではパリオリンピック銅メダルのサンパイオ(ポルトガル)、バビンツェワ(IJF)が目立つくらい。日本勢の戦いをじっくり見守りたい階級だ。
【国際柔道連盟】
キム・ハユンとイ・ヒョンジ、韓国2トップの存在感が際立つ。キムはパリオリンピックで銅メダルを獲得した24歳、大内刈の得意な業師。一方のイは昨年世界カデ(U-17)選手権を制したばかりの新人。今年2月のグランドスラム・トビリシで素根輝を破り、4月のアジア選手権では優勝を果たしたニュースターだ。対する日本勢は、アブダビ世界選手権で優勝した冨田若春を欠く陣容。大会2連覇を狙う新井万央、講道館杯を制した髙橋瑠璃、体重無差別の皇后盃を獲った瀨川麻優の実績ある3名がこの2人を迎え撃つ。高校2年生にして全日本ジュニアを制した大物・山口千弘の戦いぶりも注目しておきたい。ほか、海外勢選手で気に掛けておくべきはパリオリンピック出場のアマルサイハン(モンゴル)、昨年度大会で瀬川を破るなど大会を荒らして5位に入ったスタルツェワ(IJF)。敢えて2トップを下げて若手2人を送り込んだ中国勢も不気味だ。
【国際柔道連盟】
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