【Inside Story】コベルコ神戸スティーラーズ 営業マーケティンググループ 三好 友博
【コベルコ神戸スティーラーズ】
より買いやすいチケットサイトへ
実は今シーズンのホストゲームチケットの販売は、昨シーズンからシステムが大幅に変更された。その理由を三好氏に問うと、
「これまでのチーム公式チケットサイトではホストゲームのチケットしか購入できず、不便だという声もありました。『Ticket RUGBY』のサービスを導入することで、ホストゲームだけでなく、ビジターゲームのチケットも同じサイトから購入できるようになります。また、『Ticket RUGBY』のご利用にあたって『Japan Rugby ID』の登録が必要となるのですが、これによりラグビーに関係するチケット情報やイベント情報などが届くようになります」と教えてくれた。
ほかにもホストゲームでは『スティーラーズエキサイティングシート』や『フレックスプライス』を導入するなど、新しい試みに挑戦する。
「エキサイティングシートは昨年実施したWEBアンケートで“声出し”応援を推奨する座席を要望される意見が多かったこともありチャレンジという位置づけで設定しました。とはいえ、まだまだソーシャルディスタンスを気にされる方もいらっしゃるので、市松配席としています。もちろん、エキサイティングシート以外の席種でも応援マナーを守っていただければ声を出して応援していただいてもかまいません。また、フレックスプライスについては、チケット価格の値上げではないことをご理解いただきたくて。これは、すでにプロ野球やJリーグなどのプロスポーツでは導入されており、当日の実施イベントに応じてチケット価格を設定するというものです。チケット収益を今までは実現できなかった企画やイベントにつなげていくことを目的にしています」と説明。
これらに加えて、今シーズンはチームとして初めてシーズンシートの販売を実施した。
三好氏は「WEBアンケートで毎試合チケット販売日にパソコンやスマートフォンに向かうのは大変という声が多く導入にいたりました」ときっかけはWEBアンケートだったと言う。しかし、導入にあたっては、ホストゲームの会場が1箇所ではなく複数あることや試合日程と会場がシーズンシートの販売タイミングで決まっていないこともあり、スキームの構築にはかなり苦労したそう。また、大きなジレンマを感じたのが、ファンクラブ会員特典の招待券との重複だ。スティールメイツからも指摘を受けた。
「今シーズンからファンクラブシステムの変更に伴い、特典の招待券は、ファンクラブ入会後にメールで送付させていただくクーポンコードをファンクラブ招待券取得専用サイトに入力いただく方式としております。シーズンシートで観戦するので招待券の使い道がないという場合は、ご家族、ご友人にそのクーポンコードをお譲りいただき、スティールメイツ拡大につなげていただければ…」と提案する。シーズンシートは1年目ということもあり課題が出たが、その都度チケットを購入しなくて済むというメリットがあり、購入者から感謝の声が届いている。
大学卒業後はトヨタ自動車へ
福岡県生まれ、京都府育ち。中学1年からラグビーをはじめ、高校でもそのまま競技を続けた。1年間の浪人生活を経て、関西学院大学へ。ラグビーを続けるならサークルなどではなく、体育会でチャレンジしようと思い、ラグビー部の門を叩いた。入部当時、チームは関西大学Bリーグの所属ではあるも、ラグビー名門校出身でない三好氏にとってレギュラーの道は遠く、ケガも重なり、なかなか試合に出られない日々が続いた。4年の時にはチームはAリーグに昇格。そこで中学時代からプレーしてきたSHからWTBへポジションチェンジし最終学年に賭けた。3年までにファーストジャージに袖を通したのは1回しかなかったものの、4年の時、チームは創部初の大学選手権に進出。神戸スティーラーズのOBである後藤 翔太氏や今村 雄太氏の所属する早稲田大学との大学選手権1回戦に三好氏は途中出場を果たした。
「思い残すことはない!」と完全燃焼した大学生活を終え、卒業後は「人により大きな影響を与えられる仕事をしたい」「自分自身を成長させることができる環境のある企業へ」との思いからトヨタ自動車へ。
エンジン工場での生産管理業務や人事業務に携わった後、2013年、本社の生産管理部へ異動した。
「本社の生産管理部では、何をどこで作るのか、また自分たちで作るのか、外注に任せるのかを決定する仕事をしていました。社内外の関係部署との調整がとても大変でしたが、工場と本社での業務を経験し、工場では現地現物で現場に寄り添って仕事をする『虫の目』と、本社では高い視座で物事を見て判断する『鳥の目』の両方を養うことができ、今の自分のキャリアの軸となっています」
中学からラグビーをはじめた。関西学院大学では4年の時にSHからWTBに転向。現在もオフには不定期で愛知県の早朝タッチフットの集まりに参加し汗を流す。 【コベルコ神戸スティーラーズ】
ヴェルブリッツのスタッフとして新リーグに向けて準備に奔走
「思わずその場でやりますと即答していましたね」と当時を振り返り、笑顔を見せる。
まったくそれまでラグビーに関係する業務はしてこなかったが、中学時代から親しみ、打ち込んできた競技において日本最高峰のリーグに所属するチームの運営にかかわれることが心から嬉しかった。
ヴェルブリッツでは主に予算などの企画業務を担当。加えて、姫野 和樹選手の日本代表入りに伴い、取材依頼が殺到し、その対応にも追われたという。その後、事業統括リーダーという立場で、リーグワンの立ち上げに向けて試合運営、チケット、グッズ、ファンクラブ発足の準備に奔走した。特に大変だったのが、チケット業務や試合運営。初めての経験ということもあり、ノウハウを学ぶために、Jリーグの名古屋グランパスなど、さまざまなスポーツチームに出向いたそうだ。新リーグの立ち上げに向けて尽力するも、ヴェルブリッツでの業務は、社内の定期異動の関係でいつかは終わりを迎える。
ラグビーから離れて他部署で社業に専念するのか、それとも…。悩みに悩んだ末に三好氏は決断する。
「残りの社会人人生はこれまでの経験を活かして、日本ラグビー界の発展に貢献したい!」
赤いジャージのチームへ移籍(笑)し、今シーズンで2年目。 【コベルコ神戸スティーラーズ】
神戸から日本ラグビー界を盛り上げる!
「日本のラグビー界が盛り上がるためには、関東だけでなく、地元である関西をまず盛り上げないといけない」
その思いから大学時代まで生活した関西へ拠点を移した。
昨シーズンは主にチケット販売企画や集客施策の立案、ホストゲームの運営では場外周りを担当。それらの業務に加えて、今シーズンは、営業機能とマーケティング機能を横断したプロモーションユニットを立ち上げ、すべての活動がホストゲームの集客につながるようプロジェクト全体の管理を行う。
今シーズンの目標は、ホストゲーム全試合で10,000人以上の入場者数を達成することだ。昨シーズンはホストゲーム8試合での総集客数は84,770人と平均は10,596人と10,000人を超えるも、東大阪市花園ラグビー場で開催の第15節vs静岡ブルーレヴズは6,354人と大きく下回った。
「学生生活最後の試合となった秩父宮での大学選手権で、ピッチに入った時の歓声が今でも忘れられなくて。その時の入場者数が確か12,000人でした。もちろん、それ以上の集客を目指していますが、選手には多くの観客で埋まった試合会場で常に試合をしてもらいですし、そのためにチケット販売を含めてプロモーションに全力を注ぎます」
冒頭のエキサイティングシートやシーズンシートなどの新設も、すべては多くの方々に試合会場に足を運んでもらいたいという思いからだ。それが関西ラグビー界を盛り上げ、ひいては日本ラグビー界を盛り上げることにつながる。
トヨタ自動車での社業で培ったスキルやヴェルブリッツでの経験をいかしながら、三好氏は日本ラグビー界に貢献すると誓う。
取材・文/山本 暁子(チームライター)
営業マーケティンググループのプロモーションユニットリーダーとしてチケット販売をはじめ、さまざまな業務に携わる。 【コベルコ神戸スティーラーズ】
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