【Inside Story】コベルコ神戸スティーラーズ 営業マーケティンググループ 三好 友博

チーム・協会
2019-2020シーズンから主にチケット業務を担当していたOBの大橋 由和氏からバトンを渡されたのが、三好 友博氏。ファンクラブ「リモート会員」のオンラインイベントで進行役を務めたこともあるので、ご存じの方も多いのでは。もともとは神戸スティーラーズのライバルチーム(!)で予算などの企画業務、さらには広報関連の仕事に携わっていたという。縁あって昨シーズン、赤いジャージのチームへ。現在、大橋氏から引き継いだチケット販売企画をはじめ、集客施策の立案など、プロモーションユニットリーダーとしてさまざまな業務に携わっている。今シーズンのラグビー事業におけるシーズンテーマは「RISE」。昨シーズン、神戸スティーラーズはホストゲームでの入場者数はリーグワン全体で3番目に多い84,770人となった。昨シーズンよりも集客数が「RISE」(上昇)できるように「神戸から日本ラグビー界を盛り上げる!」と三好氏は使命感に燃えている。(取材日:2024年9月6日)

【コベルコ神戸スティーラーズ】

より買いやすいチケットサイトへ

11月8日(金)、ファンクラブ有料会員最上位であるプレミアム会員をスタートに、ゴールド会員、一般会員/リモート会員、一般と「NTTリーグワン2024-25」ホストゲーム開幕戦vs横浜キヤノンイーグルスのチケット販売が順次開始される。チケット販売開始を心待ちにされている方も多いのではないだろうか。

実は今シーズンのホストゲームチケットの販売は、昨シーズンからシステムが大幅に変更された。その理由を三好氏に問うと、
「これまでのチーム公式チケットサイトではホストゲームのチケットしか購入できず、不便だという声もありました。『Ticket RUGBY』のサービスを導入することで、ホストゲームだけでなく、ビジターゲームのチケットも同じサイトから購入できるようになります。また、『Ticket RUGBY』のご利用にあたって『Japan Rugby ID』の登録が必要となるのですが、これによりラグビーに関係するチケット情報やイベント情報などが届くようになります」と教えてくれた。

ほかにもホストゲームでは『スティーラーズエキサイティングシート』や『フレックスプライス』を導入するなど、新しい試みに挑戦する。

「エキサイティングシートは昨年実施したWEBアンケートで“声出し”応援を推奨する座席を要望される意見が多かったこともありチャレンジという位置づけで設定しました。とはいえ、まだまだソーシャルディスタンスを気にされる方もいらっしゃるので、市松配席としています。もちろん、エキサイティングシート以外の席種でも応援マナーを守っていただければ声を出して応援していただいてもかまいません。また、フレックスプライスについては、チケット価格の値上げではないことをご理解いただきたくて。これは、すでにプロ野球やJリーグなどのプロスポーツでは導入されており、当日の実施イベントに応じてチケット価格を設定するというものです。チケット収益を今までは実現できなかった企画やイベントにつなげていくことを目的にしています」と説明。

これらに加えて、今シーズンはチームとして初めてシーズンシートの販売を実施した。
三好氏は「WEBアンケートで毎試合チケット販売日にパソコンやスマートフォンに向かうのは大変という声が多く導入にいたりました」ときっかけはWEBアンケートだったと言う。しかし、導入にあたっては、ホストゲームの会場が1箇所ではなく複数あることや試合日程と会場がシーズンシートの販売タイミングで決まっていないこともあり、スキームの構築にはかなり苦労したそう。また、大きなジレンマを感じたのが、ファンクラブ会員特典の招待券との重複だ。スティールメイツからも指摘を受けた。
「今シーズンからファンクラブシステムの変更に伴い、特典の招待券は、ファンクラブ入会後にメールで送付させていただくクーポンコードをファンクラブ招待券取得専用サイトに入力いただく方式としております。シーズンシートで観戦するので招待券の使い道がないという場合は、ご家族、ご友人にそのクーポンコードをお譲りいただき、スティールメイツ拡大につなげていただければ…」と提案する。シーズンシートは1年目ということもあり課題が出たが、その都度チケットを購入しなくて済むというメリットがあり、購入者から感謝の声が届いている。

大学卒業後はトヨタ自動車へ

昨シーズンから神戸スティーラーズのフロントスタッフに加わり、精力的に業務に取り組む三好氏。彼もまた元ラガーマンなのだ。

福岡県生まれ、京都府育ち。中学1年からラグビーをはじめ、高校でもそのまま競技を続けた。1年間の浪人生活を経て、関西学院大学へ。ラグビーを続けるならサークルなどではなく、体育会でチャレンジしようと思い、ラグビー部の門を叩いた。入部当時、チームは関西大学Bリーグの所属ではあるも、ラグビー名門校出身でない三好氏にとってレギュラーの道は遠く、ケガも重なり、なかなか試合に出られない日々が続いた。4年の時にはチームはAリーグに昇格。そこで中学時代からプレーしてきたSHからWTBへポジションチェンジし最終学年に賭けた。3年までにファーストジャージに袖を通したのは1回しかなかったものの、4年の時、チームは創部初の大学選手権に進出。神戸スティーラーズのOBである後藤 翔太氏や今村 雄太氏の所属する早稲田大学との大学選手権1回戦に三好氏は途中出場を果たした。

「思い残すことはない!」と完全燃焼した大学生活を終え、卒業後は「人により大きな影響を与えられる仕事をしたい」「自分自身を成長させることができる環境のある企業へ」との思いからトヨタ自動車へ。
エンジン工場での生産管理業務や人事業務に携わった後、2013年、本社の生産管理部へ異動した。
「本社の生産管理部では、何をどこで作るのか、また自分たちで作るのか、外注に任せるのかを決定する仕事をしていました。社内外の関係部署との調整がとても大変でしたが、工場と本社での業務を経験し、工場では現地現物で現場に寄り添って仕事をする『虫の目』と、本社では高い視座で物事を見て判断する『鳥の目』の両方を養うことができ、今の自分のキャリアの軸となっています」

中学からラグビーをはじめた。関西学院大学では4年の時にSHからWTBに転向。現在もオフには不定期で愛知県の早朝タッチフットの集まりに参加し汗を流す。 【コベルコ神戸スティーラーズ】

ヴェルブリッツのスタッフとして新リーグに向けて準備に奔走

プライベートではクラブチームでラグビーを楽しんでおり、チームにはヴェルブリッツのOBも多数所属していた。また、クラブチームでは主務を務めていたこともあり、愛知県のラグビー関係者とも繋がりがあったそうだ。会社でキャリアを積む一方、楕円球との縁は続いていた。そんな三好氏に、2017年5月、ヴェルブリッツのスタッフにならないかとのオファーが。
「思わずその場でやりますと即答していましたね」と当時を振り返り、笑顔を見せる。

まったくそれまでラグビーに関係する業務はしてこなかったが、中学時代から親しみ、打ち込んできた競技において日本最高峰のリーグに所属するチームの運営にかかわれることが心から嬉しかった。

ヴェルブリッツでは主に予算などの企画業務を担当。加えて、姫野 和樹選手の日本代表入りに伴い、取材依頼が殺到し、その対応にも追われたという。その後、事業統括リーダーという立場で、リーグワンの立ち上げに向けて試合運営、チケット、グッズ、ファンクラブ発足の準備に奔走した。特に大変だったのが、チケット業務や試合運営。初めての経験ということもあり、ノウハウを学ぶために、Jリーグの名古屋グランパスなど、さまざまなスポーツチームに出向いたそうだ。新リーグの立ち上げに向けて尽力するも、ヴェルブリッツでの業務は、社内の定期異動の関係でいつかは終わりを迎える。

ラグビーから離れて他部署で社業に専念するのか、それとも…。悩みに悩んだ末に三好氏は決断する。
「残りの社会人人生はこれまでの経験を活かして、日本ラグビー界の発展に貢献したい!」

赤いジャージのチームへ移籍(笑)し、今シーズンで2年目。 【コベルコ神戸スティーラーズ】

神戸から日本ラグビー界を盛り上げる!

そうして2023-24シーズン、縁あって、コベルコ神戸スティーラーズのフロントスタッフに。

「日本のラグビー界が盛り上がるためには、関東だけでなく、地元である関西をまず盛り上げないといけない」

その思いから大学時代まで生活した関西へ拠点を移した。

昨シーズンは主にチケット販売企画や集客施策の立案、ホストゲームの運営では場外周りを担当。それらの業務に加えて、今シーズンは、営業機能とマーケティング機能を横断したプロモーションユニットを立ち上げ、すべての活動がホストゲームの集客につながるようプロジェクト全体の管理を行う。

今シーズンの目標は、ホストゲーム全試合で10,000人以上の入場者数を達成することだ。昨シーズンはホストゲーム8試合での総集客数は84,770人と平均は10,596人と10,000人を超えるも、東大阪市花園ラグビー場で開催の第15節vs静岡ブルーレヴズは6,354人と大きく下回った。

「学生生活最後の試合となった秩父宮での大学選手権で、ピッチに入った時の歓声が今でも忘れられなくて。その時の入場者数が確か12,000人でした。もちろん、それ以上の集客を目指していますが、選手には多くの観客で埋まった試合会場で常に試合をしてもらいたいですし、そのためにチケット販売を含めてプロモーションに全力を注ぎます」

冒頭のエキサイティングシートやシーズンシートなどの新設も、すべては多くの方々に試合会場に足を運んでもらいたいという思いからだ。それが関西ラグビー界を盛り上げ、ひいては日本ラグビー界を盛り上げることにつながる。

トヨタ自動車での社業で培ったスキルやヴェルブリッツでの経験をいかしながら、三好氏は日本ラグビー界に貢献すると誓う。

取材・文/山本 暁子(チームライター)

営業マーケティンググループのプロモーションユニットリーダーとしてチケット販売をはじめ、さまざまな業務に携わる。 【コベルコ神戸スティーラーズ】

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著者プロフィール

兵庫県と神戸市をホストエリアとして、日本最高峰リーグ「NTTジャパンラグビー リーグワン」に参戦しているラグビーチーム「コベルコ神戸スティーラーズ」。チームビジョンは『SMILE TOGETHER 笑顔あふれる未来をともに』、チームミッションは『クリエイティブラグビーで、心に炎を。』。 ホストエリア・神戸市とは2021年より事業連携協定を締結。地元に根差した活動で、神戸から日本そして世界へ、笑顔の輪を広げていくべく、スポーツ教室、学校訪問事業、医療従事者への支援など、地域活性化へ向けた様々な取り組みを実施。また、ピッチの上では、どんな逆境にも不屈の精神で挑み続け、強くしなやかで自由なクリエイティブラグビーでファンを魅了することを志し、スタジアムから神戸市全体へ波及する、大きな感動を創りだす。 1928年創部。全国社会人大会 優勝9回、日本選手権 優勝10回、トップリーグ 優勝2回を誇る日本ラグビー界を代表するチーム。

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