部活動指導の人材養成 社会人講座が人気 「公認資格が取れる」「企業でも活用」
大阪体育大学「運動部活動指導認定プログラム」
最終演習には対面、オンラインで37人が参加した 【大阪体育大学】
グッドコーチに求められる資質や能力をグループで話し合い、ボードに書き込む 【大阪体育大学】
コーチ役は自分で組み立てたカラーブロックを言葉だけで伝え、選手役は同じ組み立て方を目指す。イメージを的確に伝える力を学ぶ 【大阪体育大学】
コーチ役はミニゲームのルールやアップの仕方を決めて中学生を指導。ゲーム後、池上客員教授と反省点を話し合った 【大阪体育大学】
JSPOは、国の第3期スポーツ基本計画(2022~26年度)に基づいて、監督・コーチが各競技団体が主催する大会に参加する際にJSPO公認資格所持の義務づけを予定している。
★科目は学習指導要領、事故対応など幅広く 科目は部活動の管理運営、学習指導要領から事故対応、メンタルヘルス、保護者対応、女子生徒への配慮、コーチング、ゲームパフォーマンス分析、スポーツ倫理、スポーツマーケティングなど多岐にわたる。講師陣の質が高く、土屋教授は日本スポーツ心理学会理事長でパリ五輪にもウェルフェアオフィサーとして日本選手団に加わり、「実践Ⅱ」の小林博隆スポーツ科学部准教授(体育科教育学)はNHKなどに多数出演して体力テストのコツや上達法を分かりやすく解説。「実践Ⅲ」の池上正客員教授は元Jリーグ京都サンガ普及育成部長で、長年、子どものサッカー指導にあたった。
実践Ⅰ担当の土屋裕睦教授。ウェルフェアオフィサーとしてパリ五輪日本選手団にも加わった 【大阪体育大学】
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実践Ⅱ担当の小林博隆准教授。NHK、民放に多数出演している 【大阪体育大学】
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実践Ⅲ担当の池上正客員教授。元Jリーグ京都サンガ普及育成部長で、長年、子どものサッカー指導にあたった 【大阪体育大学】
★受講目的は「指導員を目指して」「再度勉強を」 受講の目的は、指導歴のない人は「部活動指導員として活動し学校教育に貢献したい」(60代・会社員)、「部活動の地域移行を踏まえ、指導者資格を取得したい」(40代・報道機関勤務)、「スポーツ施設の管理業務を担当しており、スキルアップのため」(50代・会社員)、「来年から中学生を指導するため、知識、指導法を学びたい」(20代・大学生)など。指導歴のある人は「地域移行の受け皿になる場づくりを考えている」(20代・公務員)、「社内で受講するよう連絡があった」(40代・スポーツスクール勤務)、「部活動の地域移行に向けて再度勉強したい」(40代・教育委員会勤務)などだ。
春開講の受講者。「指導歴なし」は57%、50代以上は32%だった 【大阪体育大学】
★プログラムは仕事にも活きる 受講していく中で心に葛藤があったという。生徒にとって部活動ができる時間は人生の中で非常に限られていて、その大事な部分を自分が担う重責を感じた。科目を学ぶうち「自分には指導はできないのではないか」という思いも生まれた。しかし、講義で「アウトプットしてフィードバックして、失敗して学んでいく」ことが重要だと学び、それが一番心強い言葉になったという。
また、「プログラムは自分の知らない知見が非常に多く、コミュニケーションの重要性など、どの科目も必ず仕事にも活きると思います」と振り返る。
八重樫崇さん。会社員でも部活動指導に携わることができないかと考え、新聞記事をきっかけに受講した 【大阪体育大学】
文部科学省は2020年、体罰・ハラスメントの根絶や学校の働き方改革を目的に、公立中学校での休日の部活動を地域に移行する方針を打ち出した。このため、自治体などでは、指導の資質や能力を備えたスポーツ指導者の確保が急務になっている。
学校現場では、教員にとって部活動指導の負担が深刻で、中学スポーツの日本一を決める全国中学校体育大会は、教員の負担軽減などのため、9競技の除外が決まった。
開学以来、多数の保健体育科教諭を養成してきた大阪体育大学では、2019、20年度にスポーツ庁から「運動部活動改革プラン」事業を2年連続で受託。自学の学生を部活動の指導者に育てるプログラム「グッドコーチ養成セミナー」の開発や、学校・教育委員会に学生を紹介する仕組みを構築してきた。「運動部活動指導認定プログラム」は地域移行の方針を受け、「グッドコーチ養成セミナー」のカリキュラムをベースに社会人向けプログラムとして開発された。
★高知県から6人など自治体が活用 このプログラムは、新たにスポーツ指導を志す社会人、さらなるスキルアップや「学び直し」を目指すスポーツ指導者ら個人のほか、過疎化が進む中でスポーツ指導の人材確保が急務になっている自治体の利用が目立つ。今回の春開講では、本学とスポーツ振興・地域活性化などで包括連携協定を結ぶ高知県から大学生など6人が参加。昨年度秋開講では長崎県長与町から14人が受講した。他にも部活動指導の人材確保を目指し、このプログラムの活用を予定している自治体がいくつかある。地域おこし協力隊の利用も増えている。
★秋開講は10~1月 秋開講は10月から来年1月に実施される(申し込み受付は終了)。プログラムの詳細や次年度春開講以降の受講は、以下の通り。
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