鈴木優磨が描く完成形とは。重ねた成長から描いた今は「センターフォワードはもういない」

鹿島アントラーズ
チーム・協会

【@KASHIMA ANTLERS】

 ヨーロッパ5大リーグの試合は毎週欠かさず観戦する。ダイジェストや結果を先に見てもまったく気にせず、「映画を観るように1試合を楽しむ」タイプだ。

 生粋のサッカー小僧は、長年数多くの試合を観てきて変化を感じているという。

「毎年、(ヨーロッパの試合を)観ていて変化を感じます。もうボランチとか中盤だけがゲームを作る時代はとっくに終わっている。今はもうセンターバックとキーパーでゲーム作る時代になっているから、その辺から全然違いますよね」

 世界のフットボールの変化を日々感じ、自身のプレーにも影響を与えている。

「世界を見渡しても、今はうまいセンターフォワードがすごく増えてきた。そこが僕の目指すところでもある。ただ、かといってゴールを取らなくていいかというのは違う。や っぱり数字も残しながらそれをやることが、現代サッカーのセンターフォワードだし、 僕が目指す形でもあるんです」

【@KASHIMA ANTLERS】

 プロ10年目、28歳。アントラーズユースからトップ昇格を果たし、途中出場でゴールを積み重ね、チームの中心となり、ベルギーでもプレーした。

「やっぱり若い頃を振り返ると、はっきり言って、前線でヘディングを決めたり、ガムシャラにプレスをかけたり、ゴール前で一生懸命に頑張ることしかできなかった。でも、 アントラーズで試合に出るようになって、ベルギーに行って、だんだんと視野が広くな ってきて、今のような完成形になってきた」

 9番の役割に力を注いできた選手は、今や10番もこなせる選手へと変貌を遂げた。思い描く完成形とは、具体的にどんなプレースタイルだろうか。

「今の自分が前線に張り付いて、ゴール前だけに専念しろというのは、もうできないこと。それはもう自分じゃないと思っている。やっぱり相手のライン間だったり、相手の嫌なところでボールを受けながら、周りと連携して相手ゴールに迫っていくのが今の自 分に合ったやり方だし、もうそれが自分だと思っています」

 常に世界のフットボールを意識し、新たな理想の選手像を追い求める。たしかに、今 やゴール前に張り付いてディフェンスラインと駆け引きしているだけの選手は少なくなった。

「ハーランドくらいですかね。今やうまいセンターフォワードばかり。それとともに結果を残す。そこを目指したいと思っています」

 リーグ得点ランキング4位の12ゴール。アントラーズの歴代得点ランキングでも長谷 川祥之(89点)、柳沢敦(80点)、小笠原満男(69点)に次ぐ4位となる、60ゴールだ。

「2年前に復帰して以来、何よりもタイトルを獲りたいと思ってプレーしています。自分のすべてをアントラーズに捧げる覚悟です。その思いを結果で表現するためにも、ハセさん(長谷川氏)の記録はずっと意識している」

【@KASHIMA ANTLERS】

 9月14日(土)、鹿島アントラーズは首位広島と対戦する。勝ち点差7で4位のアントラーズにとって、リーグタイトル獲得に向けた大一番となる。

「中断期間は基礎的なことを重点的にやってきて、自分たちがこれまで積み重ねてきたものを表現するために、終盤に向けた良いトレーニングができた。広島はどこからでも点を取れる攻守において優れたチーム。いつもと同じ、試合に向けたいい準備ができています」

 ホームで迎える首位決戦。かける思いは強い。

「今シーズン、ホームで負けていない。カシマスタジアムはどんなことも可能にできるんです。良い状態の広島を迎えられるのが何より嬉しいし、必ずサポーターとともに勝ち点3を取りたいと思っています」

 背番号40の咆哮は、チームの勢いに直結する。結果にこだわり、さらに上を目指していくつもりだ。

【@KASHIMA ANTLERS】

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著者プロフィール

1991年10月、地元5自治体43企業の出資を経て、茨城県鹿島町(現鹿嶋市)に鹿島アントラーズFCが誕生。鹿角を意味する「アントラーズ」というクラブ名は、地域を代表する鹿島神宮の神鹿にちなみ、茨城県の“いばら”をイメージしている。本拠地は茨城県立カシマサッカースタジアム。2000年に国内主要タイトル3冠、2007~2009年にJ1リーグ史上初の3連覇、2018年にAFCアジアチャンピオンズリーグ初優勝を果たすなど、これまでにJリーグクラブ最多となる主要タイトル20冠を獲得している。

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