松本大学が一昨年王者に大金星!明治大学は広島大学に辛勝、筑波大学はPK戦を制し2戦連続の関東対決へ
『2024年度 第48回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント』2回戦・結果
天皇杯でJ1・町田ゼルビアに勝利したときと同じく、PKストッパーとしてチームのピンチを防いだ筑波大GK・佐藤瑠星 【©JUFA】
2回戦へと駒を進めたのは、関東8チーム、北信越2チーム、東海2チーム、関西2チーム、中国1チーム、九州1チームの計16チーム。うち、関東4チームと関西2チームは同地域対決となった。
"関東対決"となったのは神奈川大学対筑波大学、早稲田大学対慶應義塾大学の2試合。奇しくも関東2部リーグ所属の3チームすべてが、この関東対決に含まれる形となった。
現在関東1部リーグ首位の筑波大は同2部5位の神大に苦戦。立ち上がりから神大に押し込まれる展開となり、後半開始直後には藤田仁朗が倒されて神大がペナルティーキックを獲得する。しかし藤田のキックはGK・佐藤瑠星が弾き出して、筑波大は絶体絶命のピンチを切り抜けた。筑波大はその後、池谷銀姿郎、田村蒼生、内野航太郎を投入して攻撃に厚みをもたせるが、スコアレスのまま90分が終了。延長戦でも両チームゴールを割ることができず、勝敗はPK戦に委ねられた。PK戦ではともに5人目のキッカーまでが成功させるが、神大の6人目のキックを、筑波大GK・佐藤が防ぐ。対して筑波大は6人目のキッカー・池田春汰が成功させて試合終了。GK佐藤が2本のPKを止める大殊勲の活躍で筑波大が準々決勝に駒を進めた。
もう1試合の"関東対決"は早稲田大学と慶應義塾大学の2部同士の対戦となった。約10日前にも伝統の"早慶定期戦"で対戦した両チーム。その試合では早大が4-0で圧勝したが、この試合では開始早々の4分に慶大が先制。左サイドを突破した齋藤真之介のクロスに、香山達明が頭で合わせてネットを揺らす。このまま慶大が試合を優位に進めるかと思われたが、すぐさま早大が試合の主導権を奪取。41分にはこぼれ球を拾った西凜誓が押し込んで早大が同点に追いついた。振り出しに戻った後半は両チーム一進一退に。すると74分、早大は慶大のボールを奪うと駒沢直哉が約30メートルのロングシュートを決めて逆転に成功。早大は10日前に行われた"早慶定期戦"に続き慶大に2連勝を挙げた。
一方、"関西対決"となった京都産業大学と阪南大学の試合は、開始早々の阪南大学が先制。しかし京産大もすぐさま同点に追いつき、前半終了間際のゴールで逆転に成功する。京産大は後半の61分にも中田樹音がこの試合2点目となるゴールを決めて3-1と阪南大を突き放した。だがここから阪南大が逆襲を開始。その7分後に三好麟大がゴールを決めて1点差に詰め寄ると、79分、83分と立て続けに得点を挙げて3-4に。阪南大が接戦を制して関西対決に勝利し、6大会ぶりとなるベスト8進出を決めた。
また新潟医療福祉大学と常葉大学の"東海・北信越対決"は北信越第1代表、新医大が大量5得点を挙げて快勝。試合は開始早々に東海第2代表の常葉大が先制するものの、前半終了間際に新医大がペナルティーキックを獲得。これを松本天夢が決めて1-1に追いついた。すると新医大は後半序盤の49分と53分に連続ゴールを挙げて3-1に。常葉大も70分に1点を返して3-2に詰め寄るが、新医大も83分、85分と立て続けにゴールを決めて一気に常葉大を突き放す。終わってみれば5-2と新医大が勝利し、3大会連続のベスト8入りを果たした。
残る4試合は、関東勢と地方チームの対戦となった。その中で、2回戦最大の波乱となったのが、北信越第2代表・松本大学と関東第3代表・国士舘大学の試合だ。史上初の2回戦進出を果たした松本大は、コーナーキックのクリアボールを河越大が叩き込んで先制。するとこの1点を最後まで守りきって勝利し、初のベスト8入り。この結果、一昨年度王者の国士大は、2回戦で姿を消すこととなった。また関東第7代表の東京国際大学は、東海第3代表の中京大学と対戦。東国大は30分、吉田桂介のミドルシュートで先制すると、42分にも古澤ナベル慈宇が個人技で追加点を挙げて0-2に。中京大も後半、ペナルティーキックを決めて1点を返すが、東国大は危なげない試合運びでリードを守りきり1-2で勝利。初の2回戦突破となった。
関東第2代表・日本大学と九州地区唯一の生き残り・日本文理大学の対戦は、日大が3-1で快勝。日大は12分、平尾勇人がジャンピングボレーを決めて先制すると、30分にも阿部水帆のミドルシュートで追加点。文理大もその3分後に小野駿斗がこちらもミドルを決めて1点を返すが、その後は両チーム追加点のないまま後半へ。すると日大は74分、熊倉弘貴のコーナーキックを齋藤慈英が押し込んで試合を決定づける3点目をマーク。3-1と文理大を突き放した日大が21大会ぶりに準々決勝へと駒を進めた。
一方、昨年度のインカレ王者・関東第1代表の明治大学は中国地区唯一の生き残り・広島大学に苦しめられた。開始早々の4分、ミドルシュートのこぼれ球を真鍋隼虎が頭で押し込み、幸先のよいスタートを切った明大。だが32分、広島大・入江大雅に前線への突破を許し失点。同点に追いついた広島大はその4分後にも、瀬口廉太郎が鮮やかなミドルシュートを決めて追加点。広島大が逆転に成功し、2-1とリードして試合を折り返した。1点のビハインドを負った明大は64分、桒原陸人のクロスに宇水聖凌が頭で合わせて同点に追いつく。しかし直後の65分、明大は得点者の真鍋、宇水、そして小林亮太の3人を下げて藤森颯太、中村草太、林晴己を一気に投入。連戦のため温存していたと思われる"エース級"3人がピッチに入ると、試合の流れは明大に大きく傾き始める。76分には藤森のフリーキックを木内達也が頭で合わせ、最後は島野怜が蹴り込んで再びリードを奪うと、その4分後にも藤森のクロスを桒原が収めてGKとの1対1をかわして逆サイドへ。それを林が押し込んで追加点。同点から怒涛の3ゴールで広島大を突き放した明大が2-4で勝利し、準々決勝進出を決めた。
この結果、ベスト8入りは関東5チーム、北信越2チーム、関西1チームとなった。特筆すべきは北信越が無傷で2チーム残っていることだろう。初の準々決勝進出となった東京国際大、松本大以外の5チームはすべてベスト4入りの経験を持つチームばかり。ある意味"順当勝ち"といっていいだろう。
準々決勝では、どちらも本大会優勝経験のある阪南大学と明治大学の"東西対決"、そしてともに勝てば初のベスト4入りとなる松本大と東京国際大の対戦が注目される。また本大会では初の対戦となる新潟医療福祉大学と日本大学、関東1部・2部対決となる筑波大学と早稲田大学の試合も見逃せない。
準決勝4試合は、9月9日(月)にセイホクパーク石巻フットボール場、いわぎんスタジアムBで開催される。
(文・飯嶋玲子)
【©JUFA】
全試合結果と得点者
得点者)【京産大】田代紘、中田樹音×2【阪南大】金本毅騎、三好麟大、中田有祐、松井匠
広島大学 2(2-1)4 明治大学
得点者)【広島大】入江大雅、瀬口廉太郎【明大】真鍋隼虎、宇水聖凌、島野怜、桒原陸人
松本大学 1(1-0)0 国士舘大学
得点者) 【松本大】河越大
中京大学 1(0-2)2 東京国際大学
得点者)【中京大】有働夢叶【東国大】吉田桂介、古澤ナベル慈宇
新潟医療福祉大学 5(1-1)2 常葉大学
得点者)【新医大】松本天夢×2、吉田晃盛×2、森駿人【常葉大】向川典伽、三橋春希
日本大学 3(2-1)1 日本文理大学
得点者)【日大】平尾春希、阿部水帆、齋藤慈英【文理大】小野駿斗
神奈川大学 0(0-0/0-0/0-0/0-0/5PK6)0 筑波大学
早稲田大学 2(1-1)1 慶應義塾大学
得点者) 【早大】西凜誓、駒沢直哉【慶大】香山達明
【©JUFA】
準々決勝対戦カード
11:00 Kickoff 阪南大学 vs 明治大学
14:00 Kickoff 新潟医療福祉大学 vs 日本大学
■セイホクパーク石巻フットボール場
11:00 Kickoff 松本大学 vs 東京国際大学
14:00 Kickoff 筑波大学 vs 早稲田大学
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