アーチェリー上山友裕がパリでぶつかった「運」の壁
【photo by Hiroyuki Nakamura】
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世界で勝つイメージはできていた
「世界でようやく勝てるようになってきたというイメージがあった。この試合でメダルを獲るイメージもあった」との意気込みでパリに乗り込んだものの、予選ラウンドでは、599点。自己ベストが643点ということを考えると、本来の調子とはほど遠い得点での通過となった。
末武コーチと話をする上山友裕 【photo by Hiroyuki Nakamura】
「こっちに来てから全然調子を上げられずにやっていたが、(予選から決勝ラウンドまでの期間)末武寛基コーチと(練習を)やって。ようやく一昨日あたりから当たり出し、これは行けるぞって」
好調の友人を上回る安定感
予選22位の上山は、同11位で世界ランキング10位のステファノ・トラビザニ(イタリア)と対戦した。
「今回出場しているメンバーのなかでも、とくに仲のいい友人。予選でバコバコ当てていた。(決勝ラウンドで当たることが決まり)ステファノが相手じゃなかったら1回戦を突破できたのに、と思っていた」と警戒していた相手だ。
決勝ラウンドの1回戦は、友人であるイタリアのステファノ・トラビザニと対戦。上山が勝利した 【photo by Hiroyuki Nakamura】
「左上と左下に7を2つ射ってしまった。この7はなんでだというのがあったが、末武コーチに(引き手である)右肩がしっかり回っていないというアドバイスをもらって、そこから立て直せた」というように、アドバイスを得た後は、10点、9点、8点と高得点をマーク。危なげなく2回戦へと勝ち進んだ。
一進一退の2回戦
上山自身も「(相手の)1回戦の点数を見れば、勝てていた」と振り返る。たしかに、第1セットは上山に軍配が上がった。しかし第2セット、チシェクも調子を上げてきた。結果、同点となり、勝ち点が3対1となる。
流れが変わったのが、第3セットだ。
「(1射目に)照準器に虫がついた。左からテッテッテッテッって歩いた。やばい、引き直すかと思ったが、時間がギリギリになると思い、そのままいった 」
メダル獲得に向けて戦った上山だったが…… 【photo by Hiroyuki Nakamura】
ここから先は、ハイレベルな戦いとなった。第4セット、上山もチシェクも、的の真ん中である9点と10点の黄色いエリアから矢を外さない。上山28点に対し、チシェク29点となった。
これがアーチェリー
「自分の射はできたが、ちょっと運がなかった。あれだけ当てられると、僕も対応できなかった。これがアーチェリー。そのとき乗ってる人が持っていく」
これで上山のパリでの戦いは幕を閉じたが、パラリンピックへの挑戦は続く。
次回のパラリンピックはメダルなるか 【photo by Hiroyuki Nakamura】
上山の4回目の挑戦は、すでに始まっている。
text by TEAM A
photo by Hiroyuki Nakamura
※本記事はパラサポWEBに2024年9月に掲載されたものです。
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