【柏レイソル】細谷真大 レイソルを勝利に導き日本代表へ「2024Reysol Report Vol.16」

柏レイソル
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 8月29日、細谷真大が、FIFAワールドカップ26アジア最終予選に臨む日本代表メンバーに選出された。
 パリ五輪での活躍もあり、識者の中には今回の代表入りを予想する者も少なくはなかったため、想定内の代表メンバー入りだったのかもしれない。ただ、細谷とポジションを争う選手たち、浅野拓磨、前田大然、小川航基、上田綺世は皆、海外でプレーする選手ばかり。そんなレベルの高いFWとのポジション争いを通じて、さらに進化した細谷が代表でのポジションをいかにして勝ち取り、それを再来年のワールドカップ出場につなげられるかは楽しみでもある。

クラブメインスポンサーの日立製作所を訪問。日本代表選出への握手に笑顔がこぼれた 【©️KASHIWA REYSOL】

 おそらく細谷の性格ならば、海外組を前にしても物おじするようなことはないだろう。レイソルの公式でも、「自分がどれだけやれるかというところが楽しみ」と、頼もしいコメントを残した。
 しかしアジア最終予選に向かう前に、細谷にはやってもらわなければならないタスクがある。それは今節のJリーグで、レイソルに勝点3をもたらすことだ。

 前節のサンフレッチェ広島戦では、後半に体を当ててきた荒木隼人のコンタクトに潰されることなく、ターンをして荒木を振り切り、決定的なチャンスを作った。Jリーグ屈指のフィジカルを持つ荒木に潰されなかった一連のプレーは圧巻だった。

「(荒木選手は)今までは苦手としてきたDFでしたけど、あのシーンは抜けると思った。単純にフィジカルで負けなくなった」
 だがフィニッシュの場面では、大迫敬介に距離を詰められ、細谷のシュートはポスト右に逸れた。

「決めていれば展開的に読めなかったと思う。今シーズンそういうところが多い。そこは早く改善しなければいけない」
 細谷自身が述べたとおり、あのビッグチャンスを仕留めきれなかったことは、サンフレッチェ戦における勝負の分かれ目となった。

日本有数のDF荒木を相手に奮闘もゴールは決められず悔しさを募らせた 【©️KASHIWA REYSOL】

 昨季はキャリアハイの14得点を記録したのに対し、今季はここまでリーグ戦では3得点。AFC U23アジアカップとパリ五輪出場で、リーグ戦での出場機会が限られていたとはいえ、細谷の能力と実力からすれば、この数字は明らかに物足りない。

 調子が悪いわけではない。むしろ、相手DFからファウル覚悟のチャージを受けても倒れずに、ゴールへ向かって突進する推進力や、危険を察知したときに前線からものすごい勢いでプレスバックをして、相手からボールを奪い取る献身的な守備など、数々のプレーからは昨年以上の凄みが感じられる。

 得点を決めてチームを勝たせるという役目だけでなく、チームが苦しい状況下にあるとき、自分のプレーひとつ、あるいは言動ひとつでチームを奮い立たせ、スタジアム全体の雰囲気をガラリと変えることができる存在、それがエースの定義だと思っている。そして細谷は、今や誰もが認める“レイソルのエース”だ。

 今節はキャプテンの古賀太陽を出場停止で欠く。前節のサンフレッチェ戦の完敗とキャプテンの不在。苦しい状況なのは間違いない。責任感の強い細谷は、ことの重大さを受け止め、自分がチームを引っ張るとばかりに、試合へ向けての意気込みを言葉にした。

「今までは太陽くんが引っ張ってくれました。次の試合では太陽くんがいないからこそ、自分たちがやれるところを見せなければいけない」
 時にはプレーで、時には言葉で、時には背中で、力強くチームを牽引し、勝利へ導く。そんなエースの姿を、私は期待している。

【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤

主将の古賀太陽(写真左)が今節は不在。細谷はエースとして気合いを込める 【©️KASHIWA REYSOL】

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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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