県立岐阜農林はハードワークとチームワークから生み出す3ポイントシュートでサイズ不足をカバーするスタイルで「U18日清食品 東海ブロックリーグ2024」を戦います。『スモールバスケ』隆盛の今、選手たちは身長が低いことを決定的な欠点とはとらえず、自分たちの強みで勝負しようとアグレッシブにプレーしています。

廣瀬卓哉ヘッドコーチは大会への意気込みをこう語ります。「力は一段劣るかもしれませんが、日頃の練習でやっている自分たちのバスケをぶつけて、まずは臆することなくチャレンジすることを選手たちには求めています」

シューティングチームの県立岐阜農林で一番のシューター、横田絢愛選手も思うところは同じ。「どのチームと試合をするにしても私たちはチャレンジャーなので、自分たちのバスケをぶつけるのが目標です」

8月12日、大会初戦の沼津市立沼津（静岡県）との試合は、横田選手の3ポイントシュートなどで接戦に持ち込みますが、後半に入ると横田選手に徹底したマークが付き、オブボールでどれだけ走り回ってもワイドオープンのチャンスが作れなくなります。3ポイントシュートを封じられた第3クォーターに突き放され、2桁のビハインドを背負いました。

それでも第4クォーター、県立岐阜農林が逆襲に転じます。対策されている3ポイントシュートを強引に打つのではなく、足を使ったディフェンスからの速攻で点差を詰めていきます。

試合が終盤に差し掛かっても県立岐阜農林の運動量は落ちません。試合が止まった時に苦しそうな表情を見せることはあっても、プレーが再開されればハードワークを続けます。運動量に秘訣はなく、ただ日々の練習があるのみ。横田選手はこう語ります。

「自分たちは背の低いチームなので、ディフェンスの戻りで早くピックアップしたり、トランジションで攻めたり、相手よりも走らないと勝負にならないと普段の練習から意識しています。ランメニューはキツいですけど、そこはみんなで声を出して盛り上げながら毎日やりきるようにしています」

チームの一番の弱点はリバウンドですが、そこも県立岐阜農林は運動量を生かして飛び込み、ティップしたボールを他の選手が拾います。「一回でリバウンドを取り切れることがなかなかないので、味方がティップしたボールに外の選手が素早く反応して落下点に先に入る練習も最近やっています」

残り2分半には、ワイドオープンを作ろうとコートを走る横田選手の動きに相手選手2人が引っ張られてゴール下が空きます。ここに走り込んだ星川桜心選手にイージーシュートのチャンスが生まれ、これがバスケット・カウントになって1ポゼッション差まで追い上げます。

しかし、追い付き、逆転するには至らず。良いディフェンスでボールを奪いながら攻めに転じる際にターンオーバーが出て、最後のチャンスも5秒バイオレーションとミスが続き、65-70で敗れました。

翌日の浜松開誠館（静岡県）との試合も70-74と善戦しましたが、勝つことができませんでした。それでも日頃の練習の成果は出せており、3ポイントシュートを武器とするチームでありながら「シュートは水物」のシュートが入らない試合でも運動量を生かしたディフェンスで粘る戦いができています。

横田選手は「他県の強いチームを相手に自分たちのプレーを全力で出し切りたい」と言います。「私たちには失うものがないので、恐れずに全力でプレーします。そうすることで県立岐阜農林というチームを知ってもらいたいです」

廣瀬ヘッドコーチも「選手たちを勝たせてあげたかった」と悔しそうですが、その表情はとても明るいもの。自分たちのバスケをコートで表現する、という目標はしっかり達成できています。