【コベルコ神戸スティーラーズ】20回目の「KOBELCO CUP(コベルコカップ)」開催!特別企画第3回 高校生だけでなく、現役選手にとっても収穫が多い大会に。

チーム・協会
KOBELCOグループ特別協賛の「KOBELCO CUP第20回全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会、第14回全国高等学校女子合同チームラグビーフットボール大会」が、7月31日(水)から8月3日(土)まで長野県上田市菅平高原にて行われました。
全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会は、全国9ブロックから選抜されたU17代表選手による「U17の部」と単独でチームを編成することができない、部員不足の高校の生徒でU18の選抜チームを編成した「U18の部」で行われ、全国高等学校女子合同チームラグビーフットボール大会は、15人制ラグビーの試合を行う機会が少ない女子選手に15人制ラグビーを経験する場を提供しています。
コベルコ神戸スティーラーズは現役選手15名とチームスタッフ2名の計17名を派遣し、「U18の部」および女子の参加チームの指導をしました。

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今年の菅平は、例年になく厳しい暑さに見舞われましたが、グラウンドでは灼熱の太陽にも負けない熱戦が展開! コベルコ神戸スティーラーズの選手と高校生たちの真夏の奮闘をお届けします。

今年も熱戦が繰り広げられました! 【コベルコ神戸スティーラーズ】

山下 楽平選手のアドバイスでチームが変わった!

「U18の部」カップ(予選1位リーグ)で優勝したのは、九州ブロックです。
昨年、関東ブロックに決勝で敗れ、今年の目標はズバリ優勝。

チームの指導を担当した山下 楽平選手は、今回、初めてKOBELCO CUPに派遣されました。

「部員が少ない高校から集まった選手たちということで、どれくらいのレベルなのだろうかと思っていたのですが、九州ブロックは、小さな頃から競技をしている選手も多く、キックもパスもうまい!スキルの高さに驚きましたね」

実際、九州ブロックには、中学時代に全国優勝を経験しているメンバーも多く、山下(楽)選手は、スキルではなく、サポートプレーや前を見て全員でスペースを探すことの大切さなど、基本的なことを伝えたそう。

8月1日に行われた予選リーグ初戦は四国ブロックとの一戦、序盤に2トライを奪いましたが、その後追いつかれて12-12の同点に。チームは重い空気に包まれました。
そこで、山下(楽)選手は、試合中、選手間でしっかりコミュニケーションを取るように指示。

キャプテンを務めるWTB衛藤 太晟くん(大分県立玖珠美山高校)は
「楽平さんのアドバイスのお陰でみんなの意識が変わりました」といいます。

九州ブロックは福岡から鹿児島まで選手が各地に散らばっていることから事前に集まって練習することができず、初日の31日に初顔合わせ。試合前の1時間だけ練習をして大会に突入しました。それもあり、山下(楽)選手は、試合中もあまり声が出ないし、物静かなチームという印象を受けていたそうです。

初戦から気持ちを切り替えて、臨んだ予選リーグ2試合目は、43-0で中国ブロックを圧倒。

8月2日は、試合がなく午前中に練習を実施しました。
「選手からはスペシャルサインを教えてほしいと言われましたが、それよりもチームがやろうとしているスタイルの詳細を突き詰めた方がいいと話して、基本プレーを教えました」と、山下(楽)選手。

カップ決勝リーグに進んだ九州ブロックは、危なげない試合運びを見せて、東海ブロックを24-0で撃破すると、最終戦は、昨年敗れた関東ブロックと激突。昨年のリベンジに燃える九州ブロックは開始早々、WTB衛藤くんがトライを決めて流れを掴むと、終始相手を圧倒し、22-0で勝利し、頂点に立ちました。

「初戦を除いて3試合は相手を0点に抑えて、ディフェンスで相手からボールを奪って攻め込むという九州ブロックのラグビーができていました。どんどんチームがまとまって、
連携が良くなっているところを間近で見られて、僕も楽しかったですね」と山下(楽)選手。

衛藤くんは
「試合が終わるたびに楽平さんが的確な指示をしてくれて。楽平さんがチームに与えた影響力は大きかったです」と感謝します。
ちなみに衛藤くんは高校卒業後、九州の企業に就職し、そこでラグビーを続けると教えてくれました。

実は、大会の優秀選手に選ばれた衛藤くんにとって、山下(楽)選手は憧れの選手。
「楽平さんは体がそれほど大きくないですが、トライが取れて。昔から好きな選手だったので指導していただけることがわかった時は驚いて!大会期間中は、楽しくて仕方がなかったです!」

山下(楽)選手は
「どの選手も素直で、僕のアドバイスをすぐに吸収してくれて。KOBELCO CUPで初めて指導をしましたが、良い経験になりました。高校生たちの『うまくなりたい』という気持ちに触れて、僕も頑張らないといけないと刺激を受けましたね」とにっこり。

テンションが上がった山下(楽)選手は、身に付けていた練習着、KOBELCO CUPのポロシャツ、そして、最後にはアップシューズまで九州ブロックの選手にプレゼント。

高校生たちだけでなく、山下(楽)選手にとっても最高の思い出になったようでした。

九州ブロックの選手たちから人生初の胴上げをされる山下(楽)選手 【コベルコ神戸スティーラーズ】

最高の笑顔を見せていた九州ブロックの選手たち。山下(楽)選手も充実感あふれる表情 【コベルコ神戸スティーラーズ】

九州ブロックを率いたWTB衛藤 太晟くん(大分県立玖珠美山高校)。憧れの山下(楽)選手と一緒に過ごした4日間は嬉しさと緊張の日々だったとか 【コベルコ神戸スティーラーズ】

指導を通じて、多くの気付きがあった

「U18の部」のプレート(予選2位リーグ)で優勝した四国ブロックを指導したのは、今年4月に入団の船曳 涼太選手です。KOBELCO CUPの派遣はもちろん初めて。

「教えるのは難しいですね」と言いながら、選手らと年齢が近いこともあり和気藹々とした雰囲気でバックスの選手を中心に指導を行っていました。試合のない中日には、選手にサインプレーを教えたとか。

決勝リーグで船曳選手が伝授したサインプレーが出る場面はなかったものの、四国ブロックは北信越ブロック、北海道ブロックに対して得意のディフェンスからリズムを作り出し、圧勝。

船曳選手は
「どの選手も真剣に話を聞いてくれて、『成長したい』という気持ちを感じることができました。四国ブロックは、合同チームとは思えないくらいまとまっていて、ラグビーを楽しんでいて、僕も高校時代、こんな感じだったなって、懐かしさを感じました。短い間でしたが、高校生からエネルギーをもらって、有意義な時間を過ごすことができました」と声を弾ませていました。

しかも、チームには船曳選手と同じく神戸出身の選手がいることが発覚!

西神戸ラグビースクール出身のLO奥野 侑くん(香川県立高松北高校)は、中学時代にスカウトを受け、高松北高校へ。同期入団が2人しかいなかったことから当初は単独チームを組むことができなかったのですが、今では後輩が大勢入ってきて15人でチームが組めるようになったそう。

奥野くんは
「四国ブロックのみんなとはすぐに仲良くなることができ、2位リーグのプレートで優勝できて最高です!」と喜びを爆発させた後、船曳選手と地元トークを展開し交流していました。

船曳選手と一緒に記念撮影 【コベルコ神戸スティーラーズ】

船曳選手と四国ブロックのLO奥野 侑くん(香川県立高松北高校)。奥野くんは西神戸ラグビースクール出身 【コベルコ神戸スティーラーズ】

3年連続でKOBELCO CUPに派遣された前田 剛選手は、「U18の部」ボウル(予選3位リーグ)2位の東北ブロックの指導を担当。

フォワードを中心に指導をしてほしいとリクエストされたという前田選手は、神戸スティーラーズでも実践していることを選手に伝えたといいます。ブレイクダウンでの動きや意識するべきことを指導すると、すぐに試合で体現してくれて、前田選手は高校生たちの何事も吸収しようとする姿勢に感銘を受けたそう。

大会の優秀選手に選ばれたNO8高橋 芳樹くん(仙台高等専門学校・名取キャンパス)は
「チームは高校からラグビーをはじめた選手が多いこともあり、泥臭く、気持ちでは絶対に負けないという思いで大会に臨みました。初日はブレイクダウンで相手にボールを奪われることが多かったのですが、前田選手の指導のお陰でターンオーバーされる回数が減って、個人的にも前田選手から教えてもらったことは、今後の高専大会にもいかすことができます」と話していました。

前田選手は「普通にプレーしているだけでは気づかなかったことを、指導をすることで明確になったことも多くて、参加して良かったです」といい、たくさんの収穫があった様子でした。

東北ブロックの選手たちと試合を見守る前田選手 【コベルコ神戸スティーラーズ】

東北ブロックのNO8高橋 芳樹くんと前田選手。高橋くんは前田選手と同じポジションということもあり、今回、多くの学びがあったと話していました。 【コベルコ神戸スティーラーズ】

女子の北海道ブロック、惜しくも大会初勝利ならず!

女子の北海道ブロックを3年連続で指導したのは、徳田 健太選手です。

北海道ブロックの監督、コーチ陣から昨年に続いて今年も直々に徳田選手へ指名が入りました。

北海道ブロックの関川 淳司監督(北海道小樽潮陵高校)は、
「男子選手の中には、女子選手の指導に戸惑う方もいますが、徳田選手はまったくそんなことがなく、1年目から丁寧に指導してくれて。特に選手に声を掛けるタイミングやその内容が良くて感心しました」と指名の理由を明かします。

大会期間中、徳田選手は北海道ブロックの監督、コーチから食事に誘ってもらうことも。
「ありがたいことですよね。その分、今年こそはチームを勝たせないといけないとプレッシャーを感じています」と、徳田選手。

もともと北海道ブロックは、女子の部が15人制の大会になった2015年の第5回大会から第11回大会までは他地域との合同チームで参加しており、徳田選手がチームの指導を担当しはじめた2022年の第12回大会から北海道ブロックとして単独チームで出場するようになりました。

ただ、全国の壁は高く、単独チームとして未だ勝利のない北海道ブロックの目標は、1勝をあげることです。

しかし、これまで実力差があることから育成と決勝リーグに分かれていた女子の部は、今年から1本化されることになり、北海道ブロックは強豪といわれるチームと対戦することに。

初日は、東海ブロック、近畿ブロックという昨年まで決勝リーグに振り分けられていたチームに完敗し、決勝リーグはボウル(予選3位リーグ)に回ることになりました。
「負けはしましたが、年々チームは成長しています。ラグビースタイルは、ボールを回すとどうしてもミスが出てしまうので、パスの回数を減らして、ダイレクトなプレーで前進しようとしています。良いランナーがいるので、そこにボールが渡ればスコアまで持っていけると思います」と、徳田選手。

ボウル決勝リーグ初戦vs北信越ブロックでは、この大会を通じて北海道ブロックとしては初となるトライが生まれます。しかし、最終的に北信越ブロックに3本のトライを許し、5-17で敗戦。

マストウィンを掲げた最終戦は、四国ブロックとの対戦です。試合中はウォーターボーイを務める徳田選手の前で、北海道ブロックは序盤から相手を圧倒。しかしながらゴール前まで迫りますが、最後のパスが繋がらず、逆に4分、四国ブロックに逆襲を許し、先制トライを献上します。嫌な空気が流れましたが、8分、CTB松下 優花さん(札幌山の手高校)がトライをマークし、5-5の同点に。北海道ブロックはKOBELCO CUP初勝利を目指して攻め続けますが、スコアできずに時間が経過すると、終盤、北信越ブロックにゴール前寸前まで迫られてしまいます。四国ブロックの攻撃に対し、懸命のディフェンスでゴールラインを守る北海道ブロック。そこでノーサイドの笛が!

北海道ブロックは、残念ながら白星を勝ち取ることはできなかったですが、価値ある引き分けに持ち込みました。

徳田選手は
「これまでだったら最後相手に迫られたところでトライを取られていたと思います。それが今年は最後まで諦めずにプレーし、トライを阻止することができました。勝ち切れなかったことは残念ですが、勝利に向けて大きな一歩になったと思います。僕も北海道ブロックが勝つまで、指導し続けないといけませんね」と選手と同様にやり切った表情で話していました。

2年連続で徳田選手から指導を受けているというCTB浅野 柚菜さん(札幌山の手高校)は
「徳田選手からバックスの細かいプレーを教えてもらって、私自身も成長を感じています。高校2年の時の大会から指導を受けている徳田選手は、お兄ちゃんのような存在で。大会では1勝を上げることが目標だったので、それが叶わず悔しいですが、KOBELCO CUPは本当に楽しい!普段は男子と練習しているのですが、男子の試合には出ることができないので、KOBELCO CUPは貴重な大会です。2年間で勝つことはできなかったですが、たくさん思い出ができましたし、力を出し切ることができました!」と笑顔。

来年の15回大会で浅野さんの後輩たちが、念願の大会初勝利をつかんでくれることでしょう。そして、その側にはきっと徳田選手がいるはずです。

試合中はウォーターボーイとしても活躍していた徳田選手 【コベルコ神戸スティーラーズ】

惜しくも大会初勝利を挙げることはできなかったですが、元気の良さと明るさはNo1!の北海道ブロック 【コベルコ神戸スティーラーズ】

北海道ブロックにとって兄のような存在だという徳田選手。CTB浅野 柚菜さんと記念の1枚 【コベルコ神戸スティーラーズ】

北海道ブロックの監督、コーチと一緒に笑顔の徳田選手 【コベルコ神戸スティーラーズ】

これからもずっと大会を続けてほしい

最後にボウル(予選3位リーグ)優勝の女子の北信越チームについて。

1月1日、石川県能登半島地方を震源とする、令和6年能登半島地震が発生しました。石川県の高校から参加している選手も所属する女子の北信越ブロックを指導した林 真太郎選手は
「男子のU17、U18の北信越ブロックのキャプテンが選手宣誓をしたのですが、女子も男子も、地震の影響を感じさせないくらい元気で安心しました」とほっとした表情。

林選手は、3年連続で北信越ブロックを指導しており、チームの半数以上の選手が昨年も大会に出場しています。
「イケメンコーチ」「男前」と言われるなど、打ち解けた様子の林選手ですが、当初は女子を指導することに難しさを感じていたとか。
しかし、それを克服し、WTB湯澤 英さん(飯田女子高校)は
「林コーチは、アタックでもディフェンスでもわかりやすく明確にこうすればいいと教えてくれて感謝しています」と、信頼を寄せます。

3年連続で林選手の指導を受けている、大会の優秀選手にも選ばれたWTBナイヤガ レイラニさん(開志国際高校)は、
「高校1年からラグビーをはじめたのですが、スキルの面など、林コーチから教えてもらうことは新鮮で、とても役に立っています。KOBELCO CUPはいろんな高校から選手が来ていて、仲良くなれて楽しいです!」と大会についても楽しいと話してくれました。

林選手は
「女子は15人制をプレーできる機会が少ないと聞いています。KOBELCO CUPはそういう意味でも良い大会だと思います。これからも大会を続けてほしいですね」
と、まとめてくれました。

今年もさまざまドラマが生まれた「KOBELCO CUP2024」。
大会で活躍した選手たちは、冬の全国高校ラグビー大会の準決勝前に行われる「もう1つの花園」こと「U18合同チーム東西対抗戦」に出場します。

今後もコベルコ神戸スティーラーズは、KOBELCOグループの一員として高校生ラグビーの活性化・普及により一層の支援をして参ります。

取材・文/山本 暁子(チームライター)

北信越ブロックの選手たちに囲まれる、“イケメンコーチ”林選手 【コベルコ神戸スティーラーズ】

2年連続で林選手の指導を受けるWTB湯澤 英さんと、3年連続で指導を受けているWTBナイヤガ レイラニさん 【コベルコ神戸スティーラーズ】

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著者プロフィール

兵庫県神戸市をホストエリアとして、日本最高峰リーグ「NTTジャパンラグビー リーグワン」に参戦しているラグビーチーム「コベルコ神戸スティーラーズ」。チームビジョンは『SMILE TOGETHER 笑顔あふれる未来をともに』、チームミッションは『クリエイティブラグビーで、心に炎を。』。 ホストエリア・神戸市とは2021年より事業連携協定を締結。地元に根差した活動で、神戸から日本そして世界へ、笑顔の輪を広げていくべく、スポーツ教室、学校訪問事業、医療従事者への支援など、地域活性化へ向けた様々な取り組みを実施。また、ピッチの上では、どんな逆境にも不屈の精神で挑み続け、強くしなやかで自由なクリエイティブラグビーでファンを魅了することを志し、スタジアムから神戸市全体へ波及する、大きな感動を創りだす。 1928年創部。全国社会人大会 優勝9回、日本選手権 優勝10回、トップリーグ 優勝2回を誇る日本ラグビー界を代表するチーム。

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