【コベルコ神戸スティーラーズ】20回目の「KOBELCO CUP(コベルコカップ)」開催!特別企画 第1回 「KOBELCO CUPは夢の大会。高校生だけでなく、現役選手にとっても貴重な経験になっています」萩本 光威氏

チーム・協会
KOBELCOグループが特別協賛する「KOBELCO CUP 全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会、全国高等学校女子合同チームラグビーフットボール大会」。2005年からはじまり、今や高校生ラガーにとって夏の一大イベントとして定着した「全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会」が今年で20回目を迎えます。7月31日から8月3日まで長野県上田市にある菅平サニアパークにて行われる「KOBELCO CUP 2024」を前に、第1回から大会にかかわる萩本 光威氏にこれまでの成果や大会の魅力などを語ってもらいました。(取材日:2024年7月4日)

「KOBELCO CUP2023」開会式の様子 【コベルコ神戸スティーラーズ】

神戸製鋼所創立100周年を機に特別協賛を開始

高校ラグビーの競技人口は1992年をピークに減少し、単独チームを編成できないラグビー部が増加していました。そんな中で2005年、部員不足のために15人制の単独チームを編成できないラグビー部に所属する高校生に夢と希望を与えようと、「高校ラグビー活性化プロジェクト」の一環として全国大会である「全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会」が新設されることに。

当時、神戸製鋼所 秘書広報部に所属していた萩本 光威氏は
「企業としてラグビーチームを持っていることもあり、ラグビーによる青少年の育成を通した社会貢献として、2005年の神戸製鋼所創立100周年を機に高校ラグビーのサポートをさせていただくことになりました」と話します。

この年からKOBELCOグループは「全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会」と冬の「全国高等学校ラグビーフットボール大会」(花園大会)を特別協賛することになりました。

「全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会」は、当初は「KOBELCOジャパンユースラグビードリームトーナメント」という大会名で行われ、単独チームでは花園大会に出場がかなわない全国9ブロック(北海道、東北、関東、北信越、東海、近畿、中国、四国、九州)の高校生による「U18の部」と、全国9ブロックから選抜された17歳以下の代表選手による「U17の部」を開催することに。

「『U18の部』は普及・育成、「U17の部」は強化を担っています。普及・育成、強化の両輪なくして、高校ラグビーの発展はありえません」と萩本氏。

さらに7人制ラグビーが2016年リオデジャネイロオリンピックから正式種目として採用されたことを受けて、2011年から「全国高等学校女子合同チームラグビーフットボール大会」女子7人制の部が加わり、2015年から「15人制」へと移行しました。

会場は2007年までは北海道夕張市、2008年からは高校ラグビーの聖地である長野県上田市の菅平高原にて開催されています。

現役選手が指導するのも「KOBELCO CUP」ならでは

2007年から大会名を「KOBELCO CUP」として行われてきている「全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会」。「KOBELCO CUP」といえば、第1回からチームの現役選手やOBを派遣し、高校生を指導するのが恒例となっています。

「『KOBELCO CUP』は、“夢の大会”です。夢を与えるという意味でも、現役選手が菅平にて高校生たちに指導を行っています。当初は講習会という形でU18の選手全員に対して選手がスクラムやラインアウト、パスなどのスキルを教えていたのですが、第4回大会からはU18の9ブロックそれぞれに1名の現役選手もしくはOBがついて指導することになりました」と萩本氏。

トップリーグ(当時)の開幕時期や夏合宿の開催時期によっては現役選手の派遣が難しい大会もありましたが、そういう時にはOBが菅平に集結し、高校生を指導。リーグワンになってからは、大勢の現役選手が菅平を訪れ、最終日には各ブロックの高校生や先生が選手に感謝の言葉を述べ、握手や記念撮影する姿があちらこちらで見られるそうです。

「高校生だけでなく、現役選手にとっても貴重な経験になっているように思いますね」

今年の大会にも現役選手15名とチームスタッフ2名を合わせた総勢17名の派遣が予定されており、指導を通じて高校生たちと交流します。

写真は「KOBELCO CUP2023」の様子。井関 信介選手は「U18の部」近畿ブロックを指導 【コベルコ神戸スティーラーズ】

写真は「KOBELCO CUP2023」の様子。女子選手と交流する徳田 健太選手 【コベルコ神戸スティーラーズ】

男女ともに日本代表の多くの選手が「KOBELCO CUP」を経験

今年の大会で第20回を迎えるにあたり、これまでの成果について萩本氏に伺うと、

「『U17の部』では、将来の日本代表を目指す全国の強豪校を中心に選手が選抜されていることもあり、昨年行われたラグビーワールドカップ2023フランス大会は日本代表メンバー36人のうち20人が『KOBELCO CUP』経験者です。また、女子は東京オリンピックに出場した7人制女子日本代表メンバー14人中13人、15人制は2022年に開催されたワールドカップニュージーランド大会に出場した32人のメンバー中23人が『KOBELCO CUP』を経験していました。『KOBELCO CUP』が高校ラグビーの強化や活性化に寄与していると言えるのではないでしょうか」

実際、コベルコ神戸スティーラーズから日本代表として2度ラグビーワールドカップに出場した経験のある山中 亮平選手は第1回大会の、ラグビーワールドカップ2023フランス大会に出場した李 承信選手は第17回大会の『U17の部』で近畿ブロックの一員として出場しています。

指導を行う現役選手も高校時代に「KOBELCO CUP」の「U17の部」を経験。(写真は「KOBELCO CUP2023」より) 【コベルコ神戸スティーラーズ】

「U18の部」「女子の部」も年々レベルアップ

続けて、萩本氏は「U18の部」について “もうひとつの花園”といわれるU18合同チーム東西対抗戦が、高校生の大きなモチベーションになっていると言います。これは「KOBELCO CUP」に参加した高校生から選抜された50人が東西に分かれて、冬の花園大会の準決勝前に花園ラグビー場第1グラウンドで試合を行うというものです。

「合同チームに所属する高校生にも聖地・花園の地を踏んでほしいという思いがありました。全国高等学校体育連盟ラグビー専門部をはじめ、多くの関係者の尽力もあり、2008年度の花園大会からU18東西対抗戦を行えるようになったことで、対抗戦出場が合同チームの高校生たちの目標になり、彼らが継続的に練習に取り組むようになったと聞いています。それもあり『U18の部』も年々レベルが上がっていますね」

同じように2015年から15人制へ移行した「女子の部」も、選抜メンバーによる「U18花園女子15人制」を花園大会開会式後に行うようになり、日本女子ラグビーの普及と強化に貢献しています。加えて、「KOBELCO CUP」において「女子の部(15人制)」は、これまで経験の浅いメンバーによる「普及の部」と経験者による「ハイパフォーマンスの部」に分かれていましたが、競技力が向上したことで実力差がなくなり、今年の大会から1本化されることになりました。

女子選手の指導を行う橋本 皓選手(写真は「KOBELCO CUP2023」より) 【コベルコ神戸スティーラーズ】

高校生ラガーのはつらつとしたプレーを楽しめる3日間

高校生の育成・強化、競技人口の増加という面で貢献してきた「KOBELCO CUP」ですが、今後について萩本氏は
「学校にラグビー部がないなどの理由で、近年クラブチームで活動している高校生が増えています。今後、部活動のあり方が変わり、このような高校生がますます増加していくと思われますので、参加資格の見直しも考えていかなければいけません」と時代の流れに合わせて大会も進化していく必要があると感じているそうです。

7月31日から8月3日まで開催される「KOBELCO CUP 2024」。昨年を振り返ると、「U17の部」は近畿ブロックが5年ぶり6度目の優勝を達成し、「U18の部」は関東ブロックが6年ぶり4度目の頂点に立ちました。
さて、今年はいったいどんな戦いが繰り広げられるのでしょうか。

「これまでは近畿ブロックが強かったのですが、近年『U17の部』は近畿、関東、九州の3強が優勝争いをしており、『U18の部』は東海が力をつけてきています。男子も女子も各ブロックの実力差がなくなってきていると感じていますね」

最後に萩本氏は「高校生が楽しそうに楕円球を追いかけ、伸び伸びとプレーする姿を見られるのが『KOBELCO CUP』の魅力です。『U17の部』や『女子の部』では逸材が顔をそろえていますので、未来の日本代表をいち早くチェックすることもできますし、高校ラグビーを思う存分堪能できる大会です」と見どころを語ってくれました。

今年の大会も手に汗握る白熱の戦いが繰り広げられること必至です!
菅平サニアパークで高校生ラガーのプレーをぜひ見届けてください。

取材・文/山本 暁子(チームライター)

「KOBELCO CUP2024」ではどんなドラマが生まれるのか。期待が高まります! 【コベルコ神戸スティーラーズ】

KOBELCO CUP2024
第20回 全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会
第14回 全国高等学校女子合同チームラグビーフットボール大会
日程:2024年7月31日(水)から8月3日(土)
会場:菅平サニアパーク(長野県上田市菅平高原1278-244)
※毎日放送(MBS)サイトにてオンデマンド配信予定

【コベルコ神戸スティーラーズ】

萩本 光威(はぎもと みつたけ)
PROFILE
1959年2月10日生まれ。兵庫県神戸市出身。現役時代のポジションはSH。1982年神戸製鋼所入社。1988年度からの7連覇に貢献し、1996 年現役引退。1998年度から2003年度までヘッドコーチを務め、1999年度、2000 年度に全国社会人大会、日本選手権2冠、2003年度にトップリーグ優勝を達成。2004 年から2年間日本代表監督を務める。U19日本代表監督、NTTドコモ、女子日本代表ヘッドコーチなどを経て、2020年4月より関西ラグビーフットボール協会会長就任。今年5月からはコベルコ神戸スティーラーズのアドバイザーとして普及等の事業に携わる。
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著者プロフィール

兵庫県と神戸市をホストエリアとして、日本最高峰リーグ「NTTジャパンラグビー リーグワン」に参戦しているラグビーチーム「コベルコ神戸スティーラーズ」。チームビジョンは『SMILE TOGETHER 笑顔あふれる未来をともに』、チームミッションは『クリエイティブラグビーで、心に炎を。』。 ホストエリア・神戸市とは2021年より事業連携協定を締結。地元に根差した活動で、神戸から日本そして世界へ、笑顔の輪を広げていくべく、スポーツ教室、学校訪問事業、医療従事者への支援など、地域活性化へ向けた様々な取り組みを実施。また、ピッチの上では、どんな逆境にも不屈の精神で挑み続け、強くしなやかで自由なクリエイティブラグビーでファンを魅了することを志し、スタジアムから神戸市全体へ波及する、大きな感動を創りだす。 1928年創部。全国社会人大会 優勝9回、日本選手権 優勝10回、トップリーグ 優勝2回を誇る日本ラグビー界を代表するチーム。

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