【澤田由佳選手】選手インタビュー#5 新たな挑戦の始まり

NECレッドロケッツ川崎
チーム・協会

RED ROCKETS KAWASAKI HERO’S TRAJECTORY #5

新たな挑戦の始まり

【NEC RED ROCKETS KAWASAKI】

令和4年天皇杯・皇后杯 初優勝、2023-24 V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN 優勝
Vリーグでは自身としてもベスト6を初受賞。
輝かしい成績を歴史に刻んだセッターが26歳でユニフォームを脱ぎました。

あれから1年。

“復帰”このNEWSに誰もが驚いただろう。
大きな決断をしたセッター澤田由佳の新たな挑戦に迫る。
インタビュアーはOGの廣瀬七海です。

もう1度コートで体現したい 

廣瀬:ユカさん(澤田選手)の現役復帰、びっくりしました!まず現役復帰を決意したきっかけについて教えてください。

澤田:いろんな人に聞かれるんですけど、これといったきっかけはなくて・・・。
前は肩の(怪我)こともあったけど、今は普段の生活でも痛みがなくなってきて、もう1度バレーボールをしたい気持ちが芽生えたかな。
本当に復帰出来るのかと悩んだけど、チームの近くにいる立場だったからこそ、“やっぱりバレーボールっていいな”と素直に思った。バレーボールを嫌いになって辞めたわけではないから、もう1度そのチャンスがあるのであれば挑戦したいと思って。

廣瀬:いつ頃から“復帰”したいという気持ちになり始めていました??

澤田:(2024年)年明けぐらいから少しずつ。やりたい!というよりも、みんながバレーボールを素直に楽しんでる姿を見て、自分ももう一度コートで体現をしたいなという気持ちになった。
頑張りを間近で見てたからこそ、心が動いたかな。自分もそういう存在にもう一度なりたいという思いも1つあるかもしれない。

廣瀬:もう1度コートで体現したいという気持ちにしてくれたのはチームメイトがきっかけなんですね。
私も広報担当として、みんなが相当ハードなトレーニングをしていて、それが成果として形になるところをチームの近くで見れるじゃないですか。すごく感動します。

廣瀬:現役復帰という発表をした時の周りからの反応はありましたか。

澤田:みんなびっくりしていました。でもみんな「嬉しい」とかポジティブな声をかけてくれて、自分も頑張りたい気持ちがより一層強くなりました。

廣瀬:ユカさんの復帰が発表された時に、コメントや引用リツイートが沢山来ていて!ユカさんがまた選手としてコートに戻ってくることを喜んでいる人が多いんだなと感じました。もちろん私も嬉しいし楽しみです!

澤田:嬉しい^^

廣瀬:新シーズンが始まる5月の復帰に向けて色々調整していたと思いますが、どのような準備を心がけていましたか?

澤田:平日はNECの社員として通常の業務をしていたので 仕事が終わった後、トレーニングしたり。かすみ(野嶋選手)やななみ(廣瀬)もボール練習に一緒に付き合ってくれました。最初はジョグでも息があがったり、パスするだけで結構きつかったけど、トレーニングを続けることで少しずつ足も戻ってきたかな。

廣瀬:セッターとしての感覚はどうでした?

澤田:ちょっとしたズレがあったかな。感覚はあんまり変わってなかったけど、ボールが重くて筋力がないと感じつつ、前みたいな肩の痛みがないだけで全然違った。

廣瀬:肩の痛みが大きかったですよね。体力とか筋力面が落ちたことが、1番大変でしたか?

澤田:うん。体づくりが1番大変だった。でもそれが基本だから 。

廣瀬:土台ですね。復帰にあたってメンタル面はどうですか?

澤田:メンタル面で大変だと感じたことはそんなになかったです。自分にとって“新たな挑戦”ということで、ルーキーではないけど、初心に帰るという意味でも新しい気持ちで取り組めているよ。勿論、体力面は落ちたけどそれを受け入れて、前よりも更に上に行くためにはどうすれば良いかを考えているところ。それこそ今まではバイクトレーニングとか好きじゃなくて、正直「なんでやってるんだろう」という気持ちだったけど、今はこれをやることでバレーに活かせることは沢山あって・・・なぜ必要かを理解しながら取り組むことができているかな。
食事面もこの食材を食べたら疲労回復するとか、アスリートとしてのマインドが変わったのが良かったかな。

廣瀬:大きいですね。里さん(パフォーマンスアーキテクト ハイパフォーマンスディレクター)のトレーニングもモチベーション高く取り組めているのではないですか?

澤田:うん、楽しい。少しずつできるようになってきている感覚が嬉しい。
里さんも出来ているところと出来ていないところをはっきり教えてくれるから。

【NEC RED ROCKETS KAWASAKI】

廣瀬:“できること”が増えている感じですね。練習を見ていて、みんなユカさんのトスを打ちやすそうに打っているなと感じました。さすがですね。ヨシノ(佐藤選手)や一葉(伊藤選手)とはコンビを合わせるのは初めてですよね?そんな風に感じないくらいのコンビでした!

澤田:どの選手にもトスをあげやすいです。

廣瀬:セッターの感覚は健在ですね!復帰した後、練習に加わって何か感じたことはありました?

澤田:みんなでこうやろう!というのがより強くなったかな。今は代表選手がいないけど、いない中でもみんなでこのチームを創り上げるという気持ちが全員からにじみ出ている。

廣瀬:いいチームですね!今年も楽しみ。

【NEC RED ROCKETS KAWASAKI】

コンシェルジュとしての1年間

廣瀬:昨シーズン、コンシェルジュとして務めた1年はどうでしたか?試合に来場した多くのファンの方にとっては“受付にいるユカさん”の印象が強くなったと思うのですが(笑)改めてコンシェルジュの仕事内容ややってきて感じたことを教えてほしいです。

澤田:仕事内容・・・普段これみたいなのは・・・特に・・・

廣瀬:何を言ってるんですか(笑)細かい事務作業とか学校などでキャリア教育も参加していましたよね?

澤田:うん。あとは、経営者の方に向けての卓話とか。卓話と言っても、自分のバレーボール人生で学んだことや大事にしていたことを話したり。企業のリーダー研修会300人ぐらいの前でも話をさせていただいたし、小学生に向けてのキャリア教育も。話し方とか伝え方は工夫したけど、伝えたいことは同じだった。話し方や言葉遣い、どうやったら人に伝わりやすいかなどを考えながらやっていて、すごくいい経験だった。
人前で話すのはやっぱり苦手だけど、振り返ると挑戦して良かったと思います。貴重な経験でした。

【NEC RED ROCKETS KAWASAKI】

廣瀬:ちなみにその卓話では何を1番伝えたいポイントとして話したのですか?

澤田:自分が大事にしていることで、「当たり前のことを一生懸命やる」をポイントとして。
落ちているゴミ拾うとか、挨拶することなど当たり前のこと。スポーツ選手である前に、1人の人間としても1番大事なことだと思う。あと「弱みを強みにする」という話もしました。バレーボールをしていく中で身長が低いのは不利かもしれないけれど、そこを不利にさせないような自分の強みを作ることをバレーボール人生で大切にしていたところなので。そういう話をさせていただきました。

廣瀬:ユカさんの卓話が各方面から絶賛だったと聞いています!

澤田:マネジメントスタッフになって地域の方やスポンサーの方、ファンの皆さんなど色々な方と関わる機会が増えて、話す中ですごく“愛”を肌で感じました。私も応援してくださっている皆さんへの愛が大きくなった1年でした。この経験を活かして、つなぎ役というか、自分はコミュニケーションを取ることが苦手だけど、だからこそ人との関わりを大事にしていきたい。昨シーズン人前で話す経験が沢山出来たので、そこを強みにして成長できるようにしたいです。

更なる挑戦

廣瀬:さて、もう1つのビッグニュースとして、キャプテン就任おめでとうございます!
まずキャプテンに就任して率直な感想を教えてほしいです。

澤田:金子さん(監督)に言われた時はびっくりしすぎて・・・言葉が出ないっていうのは、こういうことなのかと思いました。

廣瀬:金子さんからはどのような想いを伝えられましたか?

澤田:レッドロケッツは、みんながゲームキャプテンのような意識でコートに立つことが出来るチーム。
その中で、チームキャプテンに求めるのは、周りとのつなぎ役やコミュニケーションの部分を大事に出来ること。チームを支えるマネジメントスタッフ側でやってきたからこそ、つなぎ役のところでユカに期待したいと思ったと言ってくださって・・・そう言ってくださるのはありがたいことで。自分の復帰の年でもあるし、本当に腹をくくらないといけないという気持ちになりました。

廣瀬:現役復帰という大変な中でも、更にキャプテンという新しい挑戦に挑んでいるユカさん。挑むと決めたユカさんの覚悟はすごいなって思います。
キャプテンを受けた一番の理由はどんなところですか?

澤田:金子さんが大事にしている「チームを大事にすることや“繋がり”を大事にする」ところは自分も共感している部分だし、金子さんの方針と自分の気持ちは同じだった。復帰の年だし、自分のことを優先してしまいそうで、チームに迷惑をかける気持ちもあって悩んだけど、 チームが好きなことには変わりはないし、このチームに尽力したい気持ちが大きかった。そして、1年間マネジメントスタッフとして様々な経験もしたので、色んな人の繋ぎ役としても頑張りたい。支えてくれている多くの人のおかげでチームがあることを感じた1年だったからこそ、競技現場も運営側もみんなで肩を組んでいくチームにしたい思いが1番です。

廣瀬:どれだけ運営の皆さんが動いてくれてクラブが成り立っているかを実感しますよね。だからこそ、現場と運営が同じ方向、同じ気持ちで一緒に戦ったら、更に愛されるチームになれると私もすごい感じています。一緒に頑張りましょう。

廣瀬:キャプテンとして初めてのシーズンとなりますが、この1年をどのように取り組んでいきたいですか。

澤田:自分は目立つのが苦手というか、リーダー的存在というのが苦手なので、みんなでこのチームを創っていきたい。キャプテンとして、1人1人に声をかけていきたいし、人を奮い立たせたり。チーム全員が同じ方を向いて戦えるようなアプローチをしていきたい。試合になったらみんなからたくさん意見も出るし、それぞれの思いもある。ただ、勝ちたいという気持ちはみんな同じだと思うので、うまくチームをまとめていきたいかな。

廣瀬:ここぞという時は責任持って決断するという感じですよね。かっこいいです。チームが始動して約1か月ほどが経ちましたが、一緒に練習やトレーニングをしてみて、今年のチームはどんなチームですか?

澤田:1人1人が誰とでも話せるところはレッドロケッツの強みだし、相手の意見をちゃんと聞いて、聞いた上で自分の意見も言えるという関係性がいいと思う。この良さを引き出せるように自分がまとめられれば。選手同士が切磋琢磨し合ってどんどん強くなっていきたいです。

【NEC RED ROCKETS KAWASAKI】

大好きなチームで

廣瀬:ユカさんにとってNECのチームはどんな存在ですか?

澤田:率直に大好きです。皆さん、温かいです。ファンの方やスポンサーの方も、NECを応援してくれる方々は皆さんとても温かいと感じます。

廣瀬:温かいですよね。
NECの1番好きなところはどこですか?急な質問だけど。

澤田:入団を決めた時は、NECのバレーボールに対する熱さだったり考え方が魅力的で入団しました。今も情熱というところは変わらないけど、困っている人がいたらみんなが助けるし、お互いがお互いのことを活かし合うところ、すごくいいなと思います。困っていたら1人にしないところっていうか、誰かが手を差し伸べたりとか、それこそチーム力。そこが好きです。
今シーズンも、クルーの皆さん含め、みんなで喜んでいる姿を見たいのが1番ですね。

廣瀬:一緒に喜び合う。めちゃめちゃいい景色ですね。
大きな感動を生むためにチーム全員がスクラムを組んで、そしてクルーの皆さんと共に良いシーズンにしましょう。

決断して良かったと思える1年に

廣瀬:現役復帰でキャプテン就任。新しい挑戦をするシーズンになると思いますが、どんなシーズンにしていきたいですか?

澤田:チームが勝つために、自分がプレーをして貢献するのはもちろんだけど、それ以外の部分もですかね、この決断をしてよかったと思えるようにしたいです。

廣瀬:ユカさん個人として、どんなところに力を入れていきたいですか?

澤田:周りからレッドロケッツを応援したいとか、それこそ愛されるチームになるために、選手の人間性や、どんな時も最後まで諦めないで戦えるチームを作ることで、応援してくれる人も増えると思う。そういうチームになれるように自分は頑張ります。

廣瀬:諦めずに戦う姿を見ると、自分も頑張ろうと勇気をもらいます。

【NEC RED ROCKETS KAWASAKI】

澤田:まず自分たちがファンの人を愛することでチームを応援してもらえるし、地域の方やスポンサーの方に対しても感謝をしっかり伝えることは重要なことだと思っています。まず自分たちが先に行動していきたいです。
あとは、一度引退した自分がもう一度チームに貢献できる姿を見せることで、何かを諦めてしまいそうな方や、一歩が出ない人に、少しでも勇気を与えられるような存在になれればと思っています。
復帰は自分にとって大きな決断でした。だからこそ、諦めず愚直に努力する姿を見せることで、少しでも多くの皆さんの心を動かせたら・・・できるようにたくさん走ります!!

廣瀬:素敵・・・!

廣瀬:チームとして大切にしていきたいことを教えてください。

澤田:感謝だったり、尊敬の気持ち。対戦相手もそうですし、それこそ運営スタッフの方もそうですし、人のいいところを・・・質問なんだっけ?

廣瀬:チームとして大切にしたいことっ!(笑)

澤田:(笑) 相手を思いやる気持ちは大切にしたいです。それも絶対プレーに活きてくると思うので、そこはブレたくないなと思います。でもそれだけでは勝てないと思うので、厳しさを持ちつつ、みんなを信じて頑張りたいです。

【NEC RED ROCKETS KAWASAKI】

S-V.League初代チャンピオンを目指して

廣瀬:今シーズンのチームの目標は?

澤田:周りからはもちろん3連覇と言われますが、自分たちは2024-25から新しく始まるS-V.Leagueに参戦するので、新リーグ初代チャンピオンを目指し、自分たちの道をつくっていくこと。そして、今年はアジアクラブ選手権もあるので、優勝して世界に繋げていけるように頑張ります。

廣瀬:最後に、応援してくださっているクルーの皆さんにメッセージをお願いします。

澤田:応援してくださる皆さん・・・いっぱいありすぎる・・・

廣瀬:いっぱい話しちゃって大丈夫。

澤田:いつもありがとうございます。
去年、皆さんの応援の力をすごく身に染みて感じました。
自分は1人じゃないんだなって・・味方がいる、仲間がいる。クルーの皆さんも、スポンサーの皆さんも、地域の皆さんも、全員がレッドロケッツの仲間だと思うので、皆さんと一緒に戦っていけるチームになれるよう頑張ります。
皆さん、大好きです。これからもたくさん応援よろしくお願いします。赤く染めてください。

廣瀬:赤く染めてください!

澤田:受付で会えないのが寂しいですが、今度はコートで皆さんをお待ちしてます。

廣瀬:選手としてコートで躍動するユカさんをみれるのが楽しみです!ありがとうございました。
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著者プロフィール

V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN(V1女子) に加盟する女子バレーボールチーム。日本リーグで優勝1回、Vリーグでは優勝7回、天皇杯・皇后杯1回、黒鷲旗でも2回の優勝実績がある。2021年、これまでの歴史を継承しながら、更なる進化を遂げるためチームのリブランディングを実施し、ホームタウンを神奈川県川崎エリア、東京エリアとした。チームのエンブレムであるロケット胴体部の三層のラインは、ロケットに搭乗しているチーム、サポーター、コミュニティを表現。チームに関わるすべての皆さまに愛され、必要とされる欠かせない存在になることを目指す。

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