【柏レイソル】大敗から何を学び、再び立ち上がれるか「2024Reysol Report Vol.10」

柏レイソル
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苦しいときこそ、人は本質が問われる

 湘南ベルマーレ、北海道コンサドーレ札幌、アビスパ福岡と続いたホーム3連戦は、いずれも後半アディショナルタイムに決勝点が決まる劇的な勝ち方で3連勝を挙げ、続く第16節の川崎フロンターレ戦は1−1の引き分けに終わったものの、ボール保持に長けたフロンターレをレイソルが前線からの守備と波状攻撃によって押し込み続けた。
 公式戦5戦負けなし。そしてフロンターレ戦の試合内容から横浜F・マリノス戦に期待を抱くのは当然だった。だが、いざ蓋を開けてみれば、レイソルはF・マリノスに圧倒され、今季最多の4失点で大敗を喫した。

「強いチームはあれだけのクオリティーがあって、あれぐらい戦ってくるのは当たり前。それを練習からやっているんだろうと感じました。その部分で勝てているのかと考えたときに、まだまだだと思う。そこは突き詰めたいと思います」(犬飼智也)

 練習でできないことは試合でもできない。もちろん、選手たちはこのタイトな連戦でも前向きに、日々懸命に練習に取り組んでいるとは思う。しかし本当に強いチームになるためには、そのレベルを日常からもうワンランク上げなければならない。

組織的な守備が機能せず、今季最多の4失点を喫したマリノス戦 【©️KASHIWA REYSOL】

 ヴィッセル神戸、浦和レッズ、フロンターレと、力のあるチームに対して対等以上に渡り合えるようにはなった。昨季に比べてチーム力は確実に向上している。また、ホーム3連戦すべてで、アディショナルタイムに決勝点を決めて勝ち切ったように、地力も付き始めている。しかしその一方で、FC町田ゼルビア戦、FC東京戦の前半、先日のF・マリノス戦と、ハマらない試合では全く別のチームになってしまうなど、今のレイソルは落差が非常に激しい。

 自分たちが良い試合の入りをして、良いリズムで試合を進めているときは、先述のとおり強いチームにも引けを取らない力を発揮できるが、自分たちのリズムで試合を運べていないときに「弱気のプレーが目立つ」と犬飼はチームの課題を提起する。

「自分が苦しくても一歩二歩パスを受けるために顔を出すことや、ひとつ走ってあげるとか、ボールを持ったときも自分が前を向けるのにバックパスや横パスを選択してしまう。ミスしてもいいし、トライしてもいい場面で、安全なプレーをしてしまうのはもったいない。僕は後ろの選手なので、トライしてミスをした後に、助けてあげられる雰囲気を作ってあげたい」(犬飼)

犬飼はそれまでの多くの経験値で若い選手の多いレイソルを牽引する 【©️J.LEAGUE】

 2011年にリーグ優勝を勝ち取った当時のレイソルの選手たちが、犬飼と同じ言葉を発していたことが思い出される。

「苦しいときこそ、人は本質が問われる」
 これは現在、クリアソン新宿で監督を務める北嶋秀朗が当時に言っていた言葉であり、後に工藤壮人や、数年後にマルセイユでプレーしていた酒井宏樹が同じ言葉を発したときには、優勝メンバーにはこうしたメンタリティーが根付いていると感銘を受けた。また、現チームのコーチングスタッフ、栗澤僚一ヘッドコーチと大谷秀和コーチも「苦しい状況下で味方を助けるために顔を出すこと」の重要性を現役時代には何度も説いていた。

 技術・戦術のクオリティーは間違いなく重要だ。しかしそれを発揮できる個々のメンタリティーとチームの雰囲気という土壌がなければ、タイトルを勝ち取るような強いチームにはなれない。今はタイトな連戦で、フィジカル的にも相当苦しいとは思う。その苦しい状況下で、自分たちの力を発揮できるか。F・マリノス戦の大敗は、その重要性を知らしめてくれた良い機会だったと捉えたい。レイソルはまだまだ成長できる。

大敗に悔し涙をこぼした関根大輝。福岡戦のあとU-23日本代表のアメリカ遠征へ 【©️KASHIWA REYSOL】

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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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