コラム【武士が斬る!】vol.11 役者ぞろいの今期、誰が勝ってもおかしくない!
先週の鈴鹿F1日本GPは角田裕毅選手が素晴らしい走りでみんなの期待に応えてくれましたね!興奮しましたし、日本中に勇気と感動を与えてくれたと思います。今年の鈴鹿には現在SUPER FORMULAに参戦中の岩佐歩夢選手、昨年まで走っていた平川亮選手、リアム・ローソン選手もいましたし、岩佐選手はフリー走行でのF1ドライブも達成して、日本のみんなにとってこの世界のステージが一段と身近に感じられるようになって来たと思います。その牽引役は間違いなく角田選手ですし、彼には日本人がまだ達成していない表彰台の頂点を感じさせてくれます。エンジンではHondaが何度も優勝を飾っているので、ドライバーとしての世界の頂点を期待していますし、応援したいですね!!
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さて、そんな開幕戦予選では阪口晴南選手が自身初のポールポジションを獲得!これまでも速さはあるのになかなか結果に結びついていない印象でしたので、“やっとか”という感じで意外ではなかったです。このポールポジションの会見で「苦戦しているドライバーに対して“ダメ”だと思わないでください。何かがかみ合わなくて沈んでるだけで、みんな素晴らしいドライバーばかりなので」と、これまで低迷が長かった阪口選手だからこそ言えるコメントを残しています。私も本当にそう思います。タイムの良し悪しにはたくさんの要因が絡んでいます。阪口選手は自分を保つために、人には見せないような苦悩を経験してきたんだと思います。原因があっても“プロ”はあえて発言をしないことがあります。チームを守るために自分が犠牲になることも。阪口選手のこの発言は、自身がたくさんのことをグッとこらえてきた時間があったことを意味しているのではないでしょうか。だからこそ、苦しい思いをしている選手がいることを皆さんに“お知らせ”してくれたんだと思います。改めて素晴らしいポールポジション、おめでとうございます!!本当によかったね(^^)
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この開幕戦をさすがの走り、そしてチームワークで制したのが野尻智紀選手+チーム無限です。予選でもQ1トップ、Q2も途中までは圧倒的な区間タイムでしたが後半失速して3番手からのスタートでした。しかし決勝になると、フロントロウの二人を出し抜きホールショットを決めてからの落ち着きとマネージメントは素晴らしく、近年のSUPER FORMULAを引っ張ってきたと言える野尻選手の真骨頂だったと思います。こういうレースをさせたら誰も敵わない、そんな危なげのない走り、そしてピットタイミングもタイヤ交換作業も完璧にこなしたうえでの盤石の優勝でした。昨年までの「3連覇」にこだわっていた部分も荷を下ろせて、すごく自然体にレースをしている野尻選手の表情を見て、リラックスしている分、よりレースに凄みが出たように感じました。今年も野尻+チーム無限は強いと、そう感じさせるに充分なレースでしたね。
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見守ると言えば、18歳でデビューしたJuju選手のこともお話ししないわけにはいきません。日本人女性で初とか、史上最年少とか、いろいろありますが、この日本トップフォーミュラのカテゴリーはそんなに甘いものではありません。J SPORTSの放送でもゴール後に言いましたが、このカテゴリーに乗ったことがある人でなければ、本当の大変さは分からないでしょう。私もトップフォーミュラで長年走ってきましたが、Juju選手のこの開幕戦の走りは大きな驚きでした。まずフィジカル的に走り切れるかどうかというハードルを、寒い時期の鈴鹿でクリアしたことは本当にすごいことだと思います。高速コーナーが多く、路面のμが高いこのサーキットは体力的に非常に厳しく、大きなGとの戦いになります。その中で決勝中のラップタイムは非常に安定していて、しっかりとこの舞台で走れることを証明しました。もちろんラップタイムではまだまだ競争力のある所にはいませんが、経験値としては少なく、まだこれから成長していくことを考えると、非常に楽しみな存在になりそうだなと感じています。長いレースを走り切り身体がGを覚えたので、この先はJuju選手にとってまた新しい景色の中でドライブできることと思います。今回はオフのテストを重ねた鈴鹿ということもあり、今後のサーキット全てがSUPER FORMULAでの初の走行ということを考えると苦戦は免れませんが、そう言ったことも踏まえて、今後の成長を見守っていきたいなと思います。いやいや、新しい風が吹くというのはいいですね!
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ということで、2024年シーズンも本当に役者ぞろいで誰が勝ってもおかしくないドライバーばかり。そんな中で今年は誰がチャンピオンになるのか?!私も楽しみながら大好きなSUPER FORMULAを追いかけ、そして盛り上げていきたいと思います。今年もよろしくお願いしますね!では次戦オートポリスでお会いしましょう!!
written by 土屋 武士
日本のトップカテゴリーで活躍したレーシイングドライバーとして活躍。プライベートチーム「つちやエンジニアリング」のチームオーナーでもある。現役を引退した現在は、ドライバー・エンジニア・メカニックの育成に務め、モータースポーツ界に大いに貢献し多方面で活躍している。
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