【柏レイソル】U-23代表選手不在の総力戦、ピンチをチャンスに「2024Reysol Report Vol.4」

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 早くも総力戦の様相を呈している。というのも、今節からU-23日本代表の細谷真大と関根大輝が、AFC U23アジアカップに出場するためにチームを離れたからだ。日本が勝ち進めば、最長で5月上旬まで二人を欠いての戦いを強いられることになる。

 しかも3月31日には、第4節名古屋グランパス戦で負傷した高嶺朋樹のケガの状態がリリースされ、全治約3カ月との発表があった。スタメンの選手を3人欠くのだから、チームに影響がないわけではない。

関根と細谷はパリ五輪出場を懸けてカタールへ飛んだ 【©️KASHIWA REYSOL】

 ネルシーニョ前監督は、こうした状況下では「解決策はチームの中にしかない」と言っていたが、まさにそのとおり。今いる選手たちの力で、この状況を乗り越えるしかない。
 ただ、細谷と関根の代表招集に関しては、あらかじめ想定できたことでもある。彼らが抜けたときに備えて、井原監督をはじめとしたコーチングスタッフが、ここまで無策でチーム作りを進めてきたとは思えない。

 そもそも長い目で見れば、ベンチメンバー入りをしている18人だけで1シーズンを戦い抜くのは不可能である。主力選手が累積による出場停止など、何らかのアクシデントで出場できない事態は、シーズンを通して必ずある。その時に力を落とさずに戦い、勝てるチームがすなわち強いチームであり、それで総合力が示される。

主力不在の中、井原正巳監督どんな選手起用を見せるか 【©️KASHIWA REYSOL】

 実は先月の取材において、出場機会の限られている選手をどう成長させて、チームの選手層を厚くしていくか、井原監督に質問をしたことがある。
「トレーニングマッチを多く入れながら、リーグ戦に出ている選手と同じ強度でできる機会を増やしています。あとは、4月、5月、6月は試合数が急に増えるので、そこに備えていかに良い形で入れるか。もちろんその時はメンバーを入れ替えながらやっていかないと苦しいと思うので、今はそこを意識して、今出番のない選手たちもそれを理解してやってくれています」(井原監督)

 また、今回の試合に向けても、井原監督は「こういうときのためにしっかりとトレーニングを頑張ってきた選手だと思いますし、チャンスでもあると思うし、その中でしっかりと自分のプレーとチームのプレーを発揮してくれればと思っています」と、新たに出場機会を得る選手に大きな期待を寄せている。

今年から背番号36から6に変更。ここまで全試合先発と主力に成長した山田雄士 【©️KASHIWA REYSOL】

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 それに選手にも意地があるはずだ。メディアとは非常に勝手なもので、細谷と関根が不在のレイソルが結果を出せない場合、その原因は二人の欠場にあると報じるだろう。

 山田雄士は「真大とセキ(関根)がいないから勝てないとは言われたくない」と言う。土屋巧は昨年のアウェイ戦を例に出し、サヴィオが出場停止、細谷が前日の代表帰りでベンチスタート、犬飼智也が浦和レッズから期限付き移籍により出場できなかったことを踏まえ「昨シーズンは負けてしまったが、今年こそは主力選手がいなくても勝てるところを見せたい。僕も去年は悔しい気持ちを味わっているので、レッズ戦にそれをぶつける」と今節への強い思いを露わにした。

プロ3年目の土屋。守備的ポジションを多くこなせる器用さも武器 【©️J.LEAGUE】

 これまで出場機会が限られていた二番手、三番手の選手が、序列を覆して主力へと食い込んでいくときというのは、えてしてこうしたシチュエーションで、訪れたチャンスを活かし、一気に上り詰めていくことが多い。おそらく開幕からの2カ月間、思うように出場機会を得られない中でも、出場のチャンスを虎視眈々と窺いながら準備を続けていた選手は必ずいたはず。そんなギラギラした選手が「ここぞ」とばかりに躍動し、チームの勝利に貢献する姿を、ぜひとも見てみたいものだ。

【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤
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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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