鎌倉インテルと素敵な仲間たち「紙の糸のゴールネットを鳩スタへ」国際紙パルプ商事株式会社 王子ファイバー株式会社

鎌倉インターナショナルFC
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鎌倉インターナショナルFC(以下、鎌倉インテル)の本拠地である「みんなの鳩サブレースタジアム」(以下、鳩スタ)は、古都鎌倉で文字どおりみんなの力を結集して生まれたスタジアム。2022年10月、スタジアム誕生から1年を記念して、鎌倉インテルのサッカークラブの枠にとらわれない活動に賛同したスポンサー、パートナー企業の皆さんに、クラブへの想いや期待をお聞きする企画をスタートした。6回目となる今回は、2023年11月「鳩スタ」に紙の糸のゴールネットを導入するタイミングで開催された「第5回鳩スタカップ」に協賛し、紙の糸のゴールネットを販売されている国際紙パルプ商事株式会社グループの王子ファイバー株式会社。同社の平井雅一代表取締役社長、白石弘之取締役会長、松浦ふみ主任に鎌倉インテルのGK兼フロントスタッフの岡崎修也がお話をうかがった。

(構成・本多辰成)

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紙の糸のゴールネットを「鳩スタカップ」で使用

岡崎 王子ファイバーさんには昨年11月に開催した「第5回鳩スタカップ」に協賛していただき、御社が開発された紙のゴールネットをご提供いただきました。まずは大会を協賛していただいた経緯やその背景にある思いなどを改めてうかがえればと思います。最初は鎌倉シャツさんにご紹介いただいてお話させていただいたのがきっかけでしたが、そこでゴールネットのお話をいただいて。早速やってみましょうということで、もう1カ月、2カ月のスピード感で実現することができました。

白石 早かったですよね。鎌倉シャツさんにはたまたま別件でお邪魔していたんですよ。そこで鎌倉のために手を組んでいろいろやりませんかという話をしているなかで、鎌倉シャツさんを紹介いただいて。鎌倉インテルさんに来ていただいたんですよね。

岡崎 そうですね。そこで初めて繊維の説明などをしていただいて。ひとつ大きかったのが白石さんが鎌倉市内で、しかも「鳩スタ」のすぐ隣の駅にお住まいだったということで、そういうご縁もあってご紹介していただいたのもあったかもしれませんが、ひとつのきっかけになりました。

白石 私の家は湘南モノレールの西鎌倉駅の近くなんです。その手前、湘南深沢駅の近くの土地にスタジアムをつくるという話は聞いていたんです。
うちはちょうど積極的に人工芝を開発していこうという時でしたので、これはうちの出番かなという感じになりましてね。開発自体は10年以上前に始めていたんですが、これまでなかなか進まないのが実態でした。

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平井 世の中にないものをつくるわけです。世界中で需要が拡大したコロナウイルスの薬ですら世界中で寄ってたかってやっても2年とかかるわけです。それと一緒で、紙糸から人工芝をつくるというのは今のところは弊社しか向き合っていませんので、何とかしたいという話を最初に弊社にお越しいただいた時にさせていただきました。実は紙が水に強くて…というところから芝を見ていただきながらスタートましたが、芝の敷布はまだやれる状況ではない。それで、せっかくだからまずは今やれそうなところからということで紙のゴールネットということだったかと記憶しています。そこからはスピード感がずいぶんあって、通常であれば新しいオーダーというのは2カ月、3カ月は普通にかかるんですが、たしか2週間くらいでやったと記憶しています。実際はかなりドタバタしていましたが、いいきっかけになったのかなという気がしています。

白石 半分は無理だろうと思っていましたが、鎌倉インテルさんのおかげで本当に華やかにデビューすることができました。

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環境負荷の少ない人工芝をサッカーグラウンドに

岡崎 芝のお話が出ましたので改めてお話させていただくと、人工芝のグラウンドを鎌倉につくるとなった時に、鎌倉市内には人工芝のグラウンドがひとつもなかったんです。本当に石ころが転がっているようなグラウンドしかなくて。人工芝のグラウンドは環境負荷の問題などもありますが、鎌倉の子どもたちがのびのびと遊べる安全性のあるフィールドが必要だということで。もちろん鎌倉インテルのホームグラウンドとしても使えたらというのもありながら、鎌倉の地域課題の解決になればというところでも人工芝のグラウンドをつくろうということで旗を上げて動き出したプロジェクトでした。

白石 今はグラウンドができて、鎌倉インテルを軸に回るわけですね。

岡崎 そうですね。「鳩スタ」ができたことによって「鳩スタカップ」のような大会が鎌倉で開催できるようになったというのは、本当に自分たちがやりたかったことです。環境負荷を下げるためにゴムチップを使わない人工芝を使用しています。通常の人工芝は処分する時に全て産業廃棄物になってしまうんですが、「鳩スタ」の人口芝は大半がリサイクル可能です。
国連が推奨している「Football for the Goals」というのがあるのですが、これはSDGsの取り組みを世界により広げていくために、世界のどこでもみんなが知っているフットボールの力を借りてやっていきましょうというものです。鎌倉インテルはJクラブも含めて日本で初の認定を受けています。その動きのひとつとしても、今回はすごくマッチしていたなと思っています。

平井 サッカー場の正面にでも「国連認定サッカー場」みたいな形で、日本で唯一というのをアピールできれば、Jリーグの人たちも見に来るかもしれませんし、ちょっとフィールドだけ借りてみようかということもあるかもしれません。

岡崎 そうですね。ひとつの話題になりますね。

「鳩スタカップ」で体感した可能性

岡崎 実際に「鳩スタカップ」に協賛していただいて、紙のゴールネットを使用してプレーしている子どもたちをご覧になっていかがでしたか?

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松浦 良くも悪くも紙を使っているからといって何かプレーに変化があったわけではなく、スムーズに試合運びができて、トラブルがなかったことが安心しました。いろんな方に興味を持っていただくいいきっかけになったかなと思います。あとは、会場で紙糸の靴下を販売させてもらいましたが、販売が進んで。お子さんの大会なのでSサイズを多めに持って行ったんですが、LサイズやMサイズもけっこう売れました。嬉しい誤算で、やっぱりちゃんと興味を持っていただける商品なんだなと改めて感じられましたし、それを求めてやってきたわけではない方たちにもちゃんと説明をすればしっかりと受け入れていただけるというのはすごくよかったと思います。

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岡崎 私も買って使おうと思っていたら、嬉しいことに売り切れていました。靴下もこの大会をきっかけに知っていただいたように、紙の糸のゴールネットについてもこれをきっかけに知ってもらって、子どもたちの環境への意識が変わるきっかけになってくれればと思っています。

松浦 意外と子どもたちが(見本で持ってきた紙糸繊維の)人口芝をずっと触っていて、なんか気持ちいいと言っていたのも印象的でした。子どもたちもそう感じるんだなと。

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岡崎 そうですね。いろんな人工芝があると思いますし、やっぱり子どもたちも素材の違いを感じていたと思います。平井さんは大会をご覧になっていかがでしたか?

平井 まず、私も存じ上げていなかったんですが、いわゆる鎌倉界隈では子どもたちが自由に遊べるフィールドがあまりなかったというお話に正直驚いてしまいました。鎌倉インテルさんがグラウンドをつくったおかげで、子どもたちが鳩スタに行けばスポーツができるというのは素晴らしいことをされていますし、親御さんも含めて自由に芝の上に寝転がって遊んだりしている光景は素晴らしいものでした。それを自分で目にすることができて、改めてそういったところに関わっていければと思いました。子どもたちはゴールネットが紙でできているんだ、みたいなところを素朴に感じてくれていましたし、私たちが少しでもそこに貢献していければよいなと感じました。最近は、小学生に触れる機会があまりなかったんですが、みんなとても礼儀正しいですね。やんちゃな子も中にはいますが、全体としてはやっぱりスポーツの力ってすごいんだなということも感じました。

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一方で、先ほども申しましたけども、私たちも鎌倉インテルさんもせっかくこれだけいいことをやっているわけですから、もしかしたらもっとアピールしていった方がいいのかもしれない。たしかにプロの上部団体の影響力というのは大きいですが、今はもしかしたら地域密着でじわじわと広げていくのもいいと思います。鎌倉インテルさんの次の使命としてはやはりより強いチームになっていくことで影響力が増すでしょうから、トップチームの皆さんが頑張っていただいて、子どもたちが大人になったときに地元の鎌倉インテルでやりますというくらいになればと。私はバスケットをやっているんですが、バスケットの世界はけっこうそういうふうになっていて、みんなが中央の強いチームに行くかというとそうではない。僕は地域で活躍して地元を盛り立てます、という選手もけっこういるんです。鎌倉インテルさんがそういう存在になってくれたらいいんじゃないかと思いました。

【鎌倉インターナショナルFC】

岡崎 地域密着と(地球の)環境問題というのはある意味では遠いもののようにも感じますが、サッカークラブがあってその両方にしっかりと向き合っていくことは大事だと思っています。地域で見ていくと鎌倉の人たちが喜んでくれることに意識が向きます。そんな中で今回の取り組みというのはすぐに何かチームの成績などに影響するものではありませんが、遠いところを見据えながらやっていくという意味で本当にクラブとしても意識を改めさせていただけるような機会だったと思います。こういった取り組みを広く伝えていく時に、サッカーチームは勝ち上がっていくことで発信力を強められるというところはひとつあるかと思っています。

白石 ぜひ勝ち続けてください!

岡崎 はい!

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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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