鎌倉インテルと素敵な仲間たち「新しい取り組みをするクラブと一緒に歩いていきたい」株式会社横河システム建築

鎌倉インターナショナルFC
チーム・協会

【鎌倉インターナショナルFC】

 鎌倉インターナショナルFC(以下、鎌倉インテル)の本拠地である「みんなの鳩サブレースタジアム」(以下、鳩スタ)は、古都鎌倉で文字どおりみんなの力を結集して生まれたスタジアム。2022年10月、スタジアム誕生から1年を記念して、鎌倉インテルのサッカークラブの枠にとらわれない活動に賛同したスポンサー、パートナー企業の皆さんに、クラブへの想いや期待をお聞きする企画をスタートした。5回目となる今回は、「鳩スタ」の完成前からクラブをサポートする横河システム建築。鎌倉インテルとの縁のきっかけともなった天然芝ピッチ昇降システム「Phovare (ホバーレ)」を開発した横河システム建築の村岡真氏に、クラブ代表の四方健太郎が話をうかがった。

(文・本多辰成)

天然芝ピッチ昇降システム「ホバーレ」が出会いのきっかけ

【鎌倉インターナショナルFC】

四方 鎌倉インテルを支援していただいて丸2年ほどになります。改めて、なぜ船橋の会社である横河システム建築さんが鎌倉のサッカークラブを支援いただいているのかというところからお話させてもらえればと思います。

村岡 四方さんと出会ったきっかけは、私どもの会社が「Phovare (ホバーレ)」という天然芝ピッチ昇降システムを開発してホームページに画像を上げたことでした。ホバーレについてもう少し詳しく教えてくださいと四方さんから連絡をいただきました。ホバーレを発表したのが2019年の11月で、四方さんから連絡をいただいたのがちょうどコロナが始まったくらいの時期だったと思います。ホームページの問い合わせフォームから連絡をいただきました。

四方 2020年のはじめ頃ですよね。その2月くらいに鎌倉インテルが「リアルサカつくをやる」といった内容の記事がネットに出たんですが、そのサイトにちょうどホバーレの映像が出ていたんです。クラブとして将来的にはシンガポールの複合施設「タンピネスハブ」のようなスタジアムをつくりたいというビジョンがあるなかで、ホバーレにひと目惚れをした感じでした。それをある方に話すと「連絡してみたらいいんじゃない?」と言われて、「確かにね。直球で行ってみよう」ということで思い切って連絡させてもらいました。

村岡 最初はコロナ禍だったこともあって、四方さんにはシンガポールからZoomで会議に参加していただいて。そこで四方さんがいろんな経験を通して鎌倉インテルを立ち上げられたというチームの成り立ちから、新しい街づくりをしていくなかでスタジアムの夢を持ってつくっていきたいということを聞き、そういったところに私たちは共感しました。当社はサッカーではJ1のヴィッセル神戸の協賛もしているんですね。当社が開閉屋根を施工した施設のJ1のクラブであれば会社としても予算がつけやすい。一方で施工実績が無い県リーグのチームを協賛するというのは初めてのケースですので、鎌倉インテルさんの場合は一から会社に丁寧に説明するところからになりました。

四方 いやもう、ありがたいとしか言いようがありません。本当に普通はあり得ないことだと思いますし、こちらとしてはなぜそんな私たちを支援してくださっているんでしょうか…という。

【鎌倉インターナショナルFC】

村岡 選手1人からチームづくりが始まって、本当に0から1を立ち上げた四方さんのパワーや姿勢を強く感じて、私どもも初期段階から関わって何か協力できることをしていきたいという思いになりました。将来的にはスタジアムをつくっていきたいというビジョンも持たれているということですし、私たちとしても鎌倉にそういったスタジアムがあったら素晴らしいなと。鎌倉インテルというクラブの将来に向けて早い段階からパートナーとして支援させてもらって、将来的にスタジアムができるというような話になればありがたいという思いでした。

スタジアム建設へ、「10年というスパンがよかった」

四方 こちらとしては協賛していただくにはいろんな意味で距離が遠いと思っていましたし、ましてや当時、というか未だにそうですが将来的に僕らが本当にスタジアムをつくれるという保証もありません。何か誤解があってはいけないと思って先にそういった事情を説明させてもらったと思いますが、横河さんの反応は「逆に、こちらとしても今すぐにと言われても難しいんです」と。「むしろ10年後くらいのスパンでいい」と言っていただいたので、本当ですか?と。

村岡 私の心と頭の中にも四方さんの言ったワードがひとつ残っているんですが、「村岡さん、これは今すぐの話ではなくて申し訳ないんですが、10年後、もしくはもっと先のことになるかもしれない。でも、もしかしたら6年くらいには縮まるかもしれない、というスパンなんです」と。その時間の軸がよかったんですね。私は今年49歳になるんですけども、定年を60歳で考えると10年であれば最後にもうひとつ、大きな仕事ができるという個人的な思いもありました。四方さんが3年と言ったら「本当にできますか?」となったかもしれませんけど、10年とかもっと長い先を見据えて今からつくっていきたいと。逆にすごく現実味がありましたし、そこに向けてパートナーとして何かできることがあるんじゃないかと感じました。

【鎌倉インターナショナルFC】

四方 こちらとしては、そんな先のことを考えてくださるんですね、と驚きでした。僕らからすると理想のスタジアム像として「タンピネスハブ」の絵が頭にあるなかで、ホバーレにひと目惚れをした。そのスタジアムのピッチがウィーンと上がったらさぞいいんじゃないかとか、ホバーレを前提にしてつくられたスタジアムであれば効率がいいんじゃないかとか。言ってみれば僕らのクラブ自体がそうやって出来上がったわけですが、妄想が妄想を呼んで、という感じでした。そんな状況でご連絡したのが2020年、「鳩スタ」が完成する1年半ほど前のことです。まだこれから「鳩スタ」建設のためのクラウドファンディングをしていこうというタイミングでした。

村岡 私たちとしても、ちょうどタイミングがよかったんです。ホバーレを発表して四方さんと出会って、これから「鳩スタ」をつくるため、クラウドファンディングが始まりました。私どものグループとして考えると茨城県にも事業所がありまして、そちらでは鹿島アントラーズを支援してます。鹿島アントラーズとヴィッセル神戸を応援しているなかで、鎌倉インテルという話が出てきたものですから、社内ではひとつのクラブに一本化するべきなんじゃないかという意見もあったんですが、大きな意味で言えば日本のサッカー業界を応援しているという気持ちもありました。今、国の「スタジアム・アリーナ改革」によってこれから各地にスタジアムやアリーナをつくっていきましょうという話もたくさん出ているタイミングでもありますから鎌倉インテルの支援を決めました。

【鎌倉インターナショナルFC】

四方 ホームグラウンドとして「鳩スタ」は完成したわけですが、次のスタジアムというのははっきり言って別物だと思っています。世の中、サッカーが好きな人は2割くらいで、嫌いな人、全く興味がないという人が同じく2割くらい。それ以外が6割で「2・6・2」の割合だと思っているんですが、この中の「6」に当たる人たちが「この街にあってよかったな」と満足できる場をつくらなければいけない。そう考えるとよく頭に浮かぶのがシンガポールのマリーナベイサンズで、今は誰もがシンガポールに行ったらあそこで写真を撮るという吸引力のある場所です。そんなシンボル的な存在に機能があったらさらによくて、どんな形をしているのか分からないけれど、それが深沢のあの土地にドーンとある。みんながついつい写真を取りに来てしまう、街の誇りのような存在になれればいいなと思っています。もちろんそこでホバーレの第1号ができたら最高ですが、現状ではスタジアムができるという保証はありません。横河さんのビジネスもありますから「待っていてください」とは言えませんが、タイミングがあえばぜひやりたいですよね。

【鎌倉インターナショナルFC】

村岡 ホバーレを開発していくなかで、ビジネスもありますけど、やっぱりチームにとってすごく便利で喜ばれる。これができたおかげで今がある、そんな存在になることが一番だと思っています。選手たちにもいい状態の芝でプレーしてもらって、他のチームにも自慢できるような場所。さらには、鎌倉の地域の人たちも「うちのスタジアムはすごいよね」と誇りに思えるようなスタジアム。これがこれからのスタンダードだというくらいの存在として、新しい街づくりのハブになる施設を創れたらいいなという思いがあります。

新しい取り組みをするクラブと一緒に歩いていきたい

四方 僕らとしても横河さんへの最大の恩返しはやっぱり、本当にスタジアムをつくることだと思っています。どんな規模になるのかはわからないですが、日本なり世界なりに先駆ける新しい形がこうなんだというのを、鎌倉発でやれたらいいなと思っていて。今の「鳩スタ」の土地は暫定的な利用なので来年以降に移転することになる可能性がありますし、まだ具体的なことは何も見えていないんですが、今「鳩スタ」のある深沢地区で考えるとJRの新駅ができるのが2032年の計画なので9年後。ただ、それは市役所の移転が前提の開発なんですが議会で否決されたりしている状況なので、さらに遅れる可能性もあると思うんです。早くても9年後と考えると、それまでに何かやれることはないだろうかと。この間も少しお話させてもらいましたが、ひょっとしたらバーチャル空間で先行してやってしまうのもありなんじゃないかという。

【鎌倉インターナショナルFC】

村岡 リアルのスタジアムをつくるとなると当然すごく時間もお金もかかりますが、バーチャルであれば今はできるように思います。メタバースにしてもCADにしても、昔はなかったツールが今は世の中にありますから1からやらなければいけないわけではないですよね。たとえば新加入選手の発表会見をメタバース空間で行うとか、他にも様々な収益イベントをすることも可能だと思います。何か新しいことをするときは必ず反対意見が生まれます。まずはバーチャルでイメージすることができれば理解も深まりやすい。それをJ1やJ2のクラブがやるにはいろいろとハードルもあるかもしれませんが、逆にインテルさんとであったら何かできそうな気がしています。

四方 ぜひ今年度のプランとしてやりたいですね。サッカーチームというソフトがあって、土地としての鎌倉の存在もありますから。

村岡 シンプルに、感覚としてはすぐできそうな気がしています。そこに私どものホバーレの設備で「こういうことができます」というのをより技術的な目線で入れ込みます。せっかくつくっても使いにくいスタジアムではいけませんから、バーチャルでつくってみて使う側の意見も入れられればと思います。シンガポールの「タンピネスハブ」のように商業施設もあれば図書館などの公共施設も学校もある、というようなスタジアムは日本でも理想とされながらもなかなかできないのが現状です。生活の一部がスタジアムの中にあるような空間をまずはバーチャルで表現していきながら、本当の意味で地域に根差した現実の施設につながれば理想的です。その先進的な施設が歴史ある鎌倉の街に存在していたら、めちゃくちゃいいじゃないですか。

【鎌倉インターナショナルFC】

四方 実際、「鳩スタ」というグラウンドができたことによるチーム成績への好影響はあって、おかげさまで昨シーズンは神奈川県リーグ2部から1部への昇格を果たすことができました。ホームで試合をできるというのは物理的にもそうですし、このカテゴリーでは普通はいないお客さんがあれだけいて、チームのグッズを身にまとって応援してくれています。そういったホーム、拠点があることはすごく大きかったと思っています。チームは今季から関東リーグ昇格を目指して戦っていますが、クラブとしては次のスタジアム建設へ向けてぜひバーチャルで先行して走らせてみたいですね。

【鎌倉インターナショナルFC】

村岡 私たちとしても鎌倉インテルの支援をスタートして、四方さんやクラブの皆さんとの関係性をうまくつくることができました。ここからさらに継続して支援していくとなると会社としては次のステップに繋がる意味が必要ですから、この1年間はバーチャルの話も含めて次に向けた準備期間として関係性を強めていければと思っています。インテルさんがやっているFiNANCiEでのトークンやWeb3の活用なども新しい取り組みとしてすごくいい刺激になっていますし、関係性を維持することは私たちにとっても非常に価値を感じています。新しい取り組みをされているクラブと、僕らも一緒に歩いていければと思います。

【鎌倉インターナショナルFC】

  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント