「もう一度、ファイナルで会いましょう」U-18の監督・選手たちは優勝を信じて最後まで戦う!

川崎フロンターレ
チーム・協会

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12月3日(日)に、「高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 EAST」の最終節が等々力陸上競技場で行われる。優勝の行方は首位・青森山田高校の結果によるが、川崎フロンターレU-18は優勝を信じて最後まで戦い抜くのみ。運命の最終節を控え、長橋康弘監督や選手たちの思いを聞いた。

逆転優勝の可能性は最終節まで残された

第21節・柏レイソルU-18戦に1-0で勝利した翌日、川崎フロンターレU-18の選手たちは、13時からトレーニング、14時からJユースリーグの試合だったが、全員11時にはAnker フロンタウン生田に集まっていた。昌平高校vs青森山田高校の試合中継を観戦するためだ。

試合の結果は2-2の引き分け。第21節を終えた時点で、1位は青森山田高校(勝点48)、2位は川崎フロンターレU-18(勝点46・得失点差+41)、3位は尚志高校(勝点46+25)となり、川崎フロンターレU-18の逆転優勝の可能性は、最終節まで残された。

その日、長橋康弘監督は選手全員を集めてこう話したという。

「(優勝の)可能性が残ったよ。自分たちがやるべきことを継続して、目の前の相手と自分自身に勝つこと。そのために来週から始まるトレーニングに向けてしっかりと準備していこう!」

「もうやるしかない!」U-18の選手たちは奮い立った。

「私たちは目の前の試合をとにかく勝つこと。他力なので、青森山田高校の結果次第では私たちが勝ち続けても優勝の可能性はなくなる。私やコーチたちは、そこをかなり気にしていました。選手たちと一緒に信じていれば何かが必ず起こるはず。優勝の可能性が残された瞬間、正直うれしかったです」と長橋監督も胸をなで下ろした。

選手たちと勝利を喜び合う長橋康弘監督 【(c)KAWASAKI FRONTALE】

10月25日(水)の第16節、市立船橋高校に2-3で敗れ、優勝のためにはもう1試合も落とせない状況に追い込まれたU-18。「残り3試合を全部勝つ」と選手たちは奮起し、第20節のFC東京U-18戦(○2-0)、第21節の柏レイソルU-18戦(○1-0)を有言実行で2連勝。最終節で優勝をかけて戦う権利をつかみ取った。時には「サッカーで勝ちながら、勝負に負ける」というような課題を見せていた選手たちの成長ぶりに、長橋監督もとても驚かされたという。

「まず、選手たちの底力。やはり素晴らしい力を持っているなと。改めてこの2試合で再確認させてもらいました。ゲームの悪い流れをどうやって断つか、どうやって自分たちの流れに持っていくか。市立船橋戦ではそんなちょっとしたことで失点し、勝点を失ってしまうことを、選手たちは身を持って経験しました。FC東京U-18戦では、ゲームの流れをしっかりと考えながらプレーしていました。試合後半で明らかに流れの悪い時間帯がありましたが、そこを耐えることができました。後半の悪い流れを放っておくと、実はどっちに転ぶかわからない試合でした。柏レイソルU-18戦では『さらに成長する必要があるよ』と選手たちと話しながら臨んだ試合でしたが、試合で声を掛けながらしっかりと勝ち切ってくれました」

プレッシャーを感じるのはフロンターレのほうではない

優勝を勝ち取るためにはもう1勝することが最低条件だ。共に優勝の可能性を残し、全力で挑んでくる3位・尚志高校を相手にいかに戦うか。長橋監督は「自分たちの良さ」を出すための選手の内面の部分をポイントに挙げる。

「この状況で硬くなってしまってはいけません。一番やってはいけないことは『出し惜しみ』です。自分たちがこれまでやってきたことを思い切りやればいいのですが、優勝がかかった試合で、しかも対戦相手が尚志高校というところで、プレッシャーみたいなものを感じて本来の力が発揮できないということは絶対に避けたいです。今シーズンは『勝って当たり前』と思われる重圧と向き合いながら試合を重ねてきて、本当にいい経験をしていると思います。ただ最終節で『優勝しなければいけない』というプレッシャーを感じてしまうのは良くない。せっかく巡ってきたチャンスなんですから。首位を独走していて、2位、3位のチームが接近してきたという状況は青森山田高校であって、私たちではありません」

最終節、首位・青森山田高校は、アウェイでFC東京U-18と戦う。柏レイソルU-18戦の翌日、長橋監督は選手全員にこうも言った。

「FC東京U-18は昨シーズン、保土ヶ谷で私たちに優勝を決められたよね。2年連続で優勝するチームの姿なんて絶対に見たくないよね? しかもFC東京のホームで。何かが起きるんじゃないか?」

メンバーに入れなかった選手たちのためにチーム全員で戦う

長橋監督がU-18の監督を務めて以来、ずっと嫌だった作業があるという。それは試合のメンバーを選ぶことだという。第21節の柏レイソルU-18戦の試合前、長橋監督は円陣で選手たちにこう伝えた。

「メンバーに入れなかった悔しい思いをしている選手たちと、駆け付けてくれているファン・サポーターのみなさんにちゃんと気持ちが届くようにしっかりプレーしよう」

この言葉の意味を長橋監督に聞いた。

「特に3年生ですが、ベンチに入りたいのに入れない選手はどんな思いでいるか、私自身も感じる部分もありました。でも選手の気持ちは選手自身が一番知っているはず。試合で川崎フロンターレU-18を代表してスタメンで出る選手、ベンチに入る選手たちは選ばれた選手たちです。彼らはメンバーに入れなかった選手たちの悔しい思いを背負うべきです。チームは、そういうところが大事なのかなって私は思います。メンバーに入れない選手たちも力を貸してくれていましたし、サッカーは(先発の)11人、(交代要員の7人を加えた)18人でやっているのではなくて、チーム全員でやっている。そういう意味で選手たちに話をしました」

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シーズン序盤から試合に出場していた林駿佑のほか、関徳晴、恩田裕太郎ら1年生たちが頭角を現し、さらに競争が激しくなってきた。最終節、等々力陸上競技場のピッチに立つのは誰なのか。「一番良い選手を出す」。そこは長橋監督が就任以来、ずっと一貫していることだ。もちろん、そこに学年は関係ない。

「私がそう言っている以上、自分自身がその言葉と向き合わなければなりません。メンバー選考はとても苦労しますが、選手たちにそう言った以上、1年生であろうと関係なく、トレーニングで良かった選手を試合に出す。現在は、平等な視点でトレーニングを見た結果、1年生が選ばれているという状況です」

11月27日(月)のオフを挟み、28日(火)から、U-18の全選手がメンバー入りをかけて火花を散らしている。アカデミー生活の最後を迎える3年生たちは、どんな思いで最終節を迎えるのだろうか。ファン・サポーターへの思いも聞いた。

「あと1試合を等々力でプレーできるので、ファイナルに行けるように、みんなでフロンターレらしいサッカーをして勝ちたいと思います。これまで、たくさんの応援が最後まで自分たちが走れる力になりました。最後の等々力も、ぜひ力を貸してほしいです。応援よろしくお願いします」(江原叡志)

江原叡志は、2022年、2023年とプレミアEASTこれまでの全試合で先発出場を果たしている 【(c)KAWASAKI FRONTALE】

「チームの一体感、士気がすごく上がっているのを感じます。柏レイソルU-18戦のような試合を続けていけば絶対に勝てると思うので、優勝を信じてやるだけです。あとちょっとしかないですけど、このメンバーで戦えることを噛みしめながら頑張りたいです。自分たちも優勝を信じて、一生懸命ファン・サポーターのみなさんのために戦うので、最終節も応援していただけたらなと思います」(髙橋宗杜)

前節の柏レイソルU-18戦で決勝ゴールを決めた髙橋宗杜 【(c)KAWASAKI FRONTALE】

FIFA U-17ワールドカップ インドネシア 2023で貴重な経験を得てフロンターレに帰ってきた土屋櫂大、柴田翔太郎。2年生たちも、このメンバーで1日でも長くサッカーをしたいと思っている。

「最終節は、青森山田高校がどうなるかわからないですけど、自分たちがやることは変わりません。最終節に向けてあと1週間、このチームでやれる時間も少ないので、そこはチーム全員で共有してやっていきたいです。チームに復帰した柏レイソルU-18戦もあれだけの多くのサポーターが駆けつけてくれて、あんなに声を出してくれて、自分たちの力になりましたし、改めて川崎フロンターレはすごいなと思いました。ホーム最終戦も多くの人に駆けつけていただけるとありがたいです」(土屋櫂大)

「僕たちは信じるしかありません。まだみんなとサッカーがしたいですし、昨シーズン、ファイナルで負けて悔しさを味わっているので、このメンバーで最後に優勝して、ファイナルも勝ちたいと思います。ワールドカップの時もフロンターレの結果が気になっていましたし、本当にこのクラブでのトレーニングやみなさんの支えがあってワールドカップに行けたので、少しでも大きくなった姿を帰ってきて見せたかったです。自分がいない間のFC東京U-18戦も勝って可能性をつなげてくれたので、今度は最後、本当に最後ですけど、少しでも自分が力になりたいです。等々力で優勝を決められたら最高だと思うので、自分たちは本当に戦い抜くので、熱く応援していただきたいなと思います」(柴田翔太郎)

U-17ワールドカップに出場した土屋櫂大(左)、柴田翔太郎(右) 【(c)KAWASAKI FRONTALE】

長橋監督は選手たちに、「10年後にみんなで集まった時に、この試合の話は必ず出るよ。その時にどういう話をしたい?」と話したという。後悔を残さず、これまでアカデミーで学んだすべてを出し切ってほしい。ただ、それだけだ。最後に長橋監督に、ファン・サポーターへの思いを聞いた。

「今シーズンも旭川や青森、福島…。ファン・サポーターのみなさんが、遠くまで駆けつけてくれました。ホームの試合でも、本当に選手たちに力をくれた1年でした。選手たちには感謝の気持ちを絶対に持ちながら、これが当たり前だと思うなと伝えてきました。私たちがみなさんに返せることは、フロンターレらしいサッカーで内容と結果にこだわっていくしかないということでこれまでやってきました。今年最後の試合を等々力でできるので、感謝の気持ちを持ちながら、精一杯やってきたことを全力でぶつけたいと思います」

12月3日(日)13:00キックオフ。当日、トップチームの応援で鳥栖に行っているファン・サポーターのみなさんにも「等々力へパワーを送ってほしい」と監督・選手たちは思っている。

そして… もう一度、ファイナルで会いましょう!

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著者プロフィール

神奈川県川崎市をホームタウンとし、1997年にJリーグ加盟を目指してプロ化。J1での年間2位3回、カップ戦での準優勝5回など、あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきたことから「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、クラブ創設21年目となる2017年に明治安田生命J1リーグ初優勝を果たすと、2023年までに7つのタイトルを獲得。ピッチ外でのホームタウン活動にも力を入れており、Jリーグ観戦者調査では10年連続(2010-2019)で地域貢献度No.1の評価を受けている。

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