選手インタビュー FOR THE TEAM~自分自身を超えて~【柳田光綺選手・前半】

NECレッドロケッツ川崎
チーム・協会

【NEC RED ROCKETS】

2022-2023シーズン-

NECレッドロケッツは天皇杯・皇后杯を初優勝、そしてV.LEAGUE DIVISION1では、6年ぶり7度目の優勝を果たし、二冠を達成しました。

何かを達成させるためには、必ずそれを裏付ける過程があります。

決して簡単ではなかったこの王者への軌跡。

今回レッドロケッツの選手らに、個々に込められた想いや、語られることのなかった苦悩など、MissionaryであるOGの廣瀬七海がインタビュアーとなり語ってもらいました。

一緒に戦ってきたからこそ話せる思いがそこにはありました。

シリーズ1人目は、7月上旬に開催されたサマーリーグで敢闘賞を受賞した柳田光綺選手。

度重なる大きな試練。それを“成長へのチャンス”へと捉える芯の強さがありました。

さらなる高みを目指す今シーズン

廣瀬:新シーズンに向けチームも始動しました。

柳田:昨シーズンよりも“さらに”ハードな練習が始まったというのが率直な感想です。日を追うごとにそれを実感しています。

廣瀬:監督やコーチの気合も昨シーズンより気合が入っているように感じますか?

柳田:感じる!(笑)
練習メニュー自体も、例年だとサマーカップの時期は個人のスキルアップをメインに徐々に体づくりをしていました。
今シーズンはその段階は既にクリアした状態で、2か月くらい先を行っているイメージ。
今まで成し遂げていないことを自分たちはやろうとしているって、メニューや練習の内容からからひしひしと感じています。
去年やっていないことにも新たに取り組んでいて、更新を重ねている感じ。

廣瀬:ひしひしと笑 さらに上を目指しているんですね。期待大ですね!

【NEC RED ROCKETS】

柳田:期待大!!
昨シーズンリーグ後半、私自身外から俯瞰してチームを見ることが多かったけど、他のチームと比べて体つきが全然違うと感じました。
やっぱり毎日の練習、そして意識の積み重ねが、体格や動きのキレに繋がっているんだなって実感出来たシーズンでしたね。
気持ちの面でも、『このメニューを頑張ればもっと強くなれる』という確信がみんなあるからこそ、今シーズンの鍛錬期をしっかり頑張れるのだと思います。

廣瀬:優勝という結果がチームの意識をよりあげてくれたんですね。

10年目を迎える自分の役割

廣瀬:副キャプテンに就任されましたね。

柳田:はい。藤井と2人で副キャプテンをやることになりました。
2年前にもの副キャプテンの経験があって、その時と同じようにというより、新しいチームを作るうえで『今自分がどうチームに必要なのか』、そういうことを考えるようになりました。

廣瀬:どんなチームにしていきたいですか?

柳田:まずは自分がプレーヤーとして大事にしていることや、みんなに負けないところを突き詰めていきたいです。
その上で、レッドロケッツで培ってきた『練習を試合に活かす方法や考え方』とかを若手に教えていきたいですし、逆に若手からフレッシュな視点を学んで、互いに高めあえたらいいなと。
引っ張っていくというよりも、一緒に全体を盛り上げていくような関わり方をしたいです。
躓いてる人がいたら『一緒になって頑張るよ』と言えることが、今10年目を迎える自分の役割だとも思っています。

廣瀬:この10年色々なことを味わってきたと思います。3回優勝していますし、下位グループになったこともありますよね。
それを知らない1、2年目の選手もいるわけで…レッドロケッツで積み上げてきた伝統を大切にしながら、若手選手の新しい風が吹いて、より良くなっているように感じます。

柳田:レッドロケッツの選手や試合をみて、『こんなプレーができるんだ!私も真似してみよう』みたいな、誰が見ても憧れられる、人柄が伝わるチームにしたいと思っています。

廣瀬:憧れって大事。選手を見て憧れを持ち、トッププレイヤーを目指してもらいたい。Vリーグや日本代表でバレーしたい!って、子どもたちには思ってもらいたいです!

キャプテン時代を経て

廣瀬:2017年から2019年、若くしてキャプテンを務められました。

柳田:優勝した次の年でしたし、チームには先輩が沢山いて、その時はとにかく『与えられたこと』『自分ができること』全部に全力で取り組もうと思っていました。
歴代最年少のキャプテンだったので、周りからは『できなくて当たり前だよ』『いっぱい失敗してもいいから、自分らしくやればいいよ』と言われてスタートしたんですが、“わたしらしさ”って何だろうと悩みました。
キャプテンとして、チームのことを見なきゃいけない、何かしなきゃいけない、自分がこうしなきゃ、というのを頑張ってしまった1年でした。
あと、チーム内外問わず人前で話す機会が多くて、そのおかげで、人に話す時、どう言えば人に伝わるのかを考えるようになりました。
身近な人だけではなく、試合会場のファンの方にも、今チームがどう頑張っているかとか、感謝の気持ちの伝え方だったり、チームを知ってもらうための言葉選びをキャプテン時代には経験することができましたね。
2年目になると、色んな人の考えを聞きながら、チームにとって良い選択を最終的に自分がするように意識していました。
1年目は全部やろうとしていたところから、“自分がやるべき部分とそうでない部分”が見えてきた感じでした。

廣瀬:「伝え方」についての本読んでいましたよね!

柳田:結構読んでた!その年、本は一番読んでいたな。人との繋がり方を勉強しながら取り組んだ2年間だったと思います。

廣瀬:当時21歳でキャプテンって、今思うとすごいですね。キャプテンの任期を終えたあとの光綺さんは、プレーの面も含めて何だか柔らかくなった印象がありました。

【NEC RED ROCKETS】

柳田:キャプテンの任期が終わり、自分の話したいタイミングで話せるってことが大きかったかもしれません。
自分にベクトルを向けられるようになったのかもしれないですね。
キャプテンの時は、頑張って周りに目を向けようと一生懸命だったけれど、その時より自然と周りのことに気付ける瞬間が増えたように思います。
あと、私の後みーさん(山内選手)がキャプテンになって、チームミーティングのときに、『自分がまとめていく』というよりも、『みんなでやっていく』というスタイルを体感して、こういうやり方もあるんだなって気付けたりしましたね。

廣瀬:そうだったんですね。キャプテンを経験したからこそ気づいてくれる幅が広がってた気がして、当時光綺さんに声を掛けてもらって嬉しかったの覚えてます。ちょうど怪我をしていた時期っていうこともあり(照)

柳田:(照)

自分自身を超えて

廣瀬:その後、なかなか試合に出られないシーズンがありましたよね。
当時「ネリマン選手の代わりに試合に出るのは柳田か廣瀬」(柳田と廣瀬は同じポジション)という状況で、私としては「負けないぞ!」とライバルだと思って必死でやっていましたが、光綺さんは自分が試合に出られない時も、出られる選手へアドバイスや情報を伝えたり、私と一緒に打ち込み(かなりハードな練習)をやってくれたり…

柳田:やったね~

廣瀬:どんな時も一緒に頑張ろうと言ってくれていた印象が強くて、試合に出られない時期だとしても、『出られないから努力しない』ではなく『出られないからこそ出来ることが絶対にある』とプレー以外でもチームの一員として出来ることがあると教えてくれました。
こういう人がいてくれるからチームが成長し、勝つことができるんだと思いました(廣瀬思わず涙)。
光綺さんが教えてくれたことは私の中で大きくて、今Missionaryという仕事に対して自信をもって出来ているのも、あの頃の光綺さんがいたからです。

【NEC RED ROCKETS】

柳田:自分が「組織の中の一人」だという意識はキャプテンの頃に深まったところかな。
ただ、試合に出られない時期、コートの外から支えるだけではいけないとは思っていたよ。やっぱりアスリートである以上、『自分が絶対試合に出る』というガツガツ感や情熱を持ちつつ、プレー以外の部分でのチームへの貢献も大切にして、両方を持ち合わせないといけないと思っていました。
その時自分に与えられた役割、チームの為に何が必要か、何が出来るかは最大限やっていきたいなと考えて行動してはいたけど、プレイヤーとして、求められていることに応えられないなと思えたシーズンでもあった。そして、自分を超えようとしない限り強くなれない、自分を新しくしていかないと、と、その時に気付かされました。

廣瀬:みんなにこの記事読んでほしいです。 色んな葛藤や苦悩を乗り越えてきたからこそ、今の光綺さんがいるんですよね。


後編へつづく
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著者プロフィール

V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN(V1女子) に加盟する女子バレーボールチーム。日本リーグで優勝1回、Vリーグでは優勝7回、天皇杯・皇后杯1回、黒鷲旗でも2回の優勝実績がある。2021年、これまでの歴史を継承しながら、更なる進化を遂げるためチームのリブランディングを実施し、ホームタウンを神奈川県川崎エリア、東京エリアとした。チームのエンブレムであるロケット胴体部の三層のラインは、ロケットに搭乗しているチーム、サポーター、コミュニティを表現。チームに関わるすべての皆さまに愛され、必要とされる欠かせない存在になることを目指す。

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