【学生馬術】関東学生三大大会、貫禄の13連覇達成 五か国語を操る新エースが個人2冠しチームをけん引
個人ではアンナボルトニク選手(生物資源科学部4年/Lycee St-Louis)・桜艶(馬名)が障害馬術競技と総合馬術競技の2種目で優勝、馬場馬術競技は越後りの選手(スポーツ科学部3年/播磨農業)・桜蝶が優勝し、個人種目も全て日本大学が制し、完全優勝となった。
※関東学生馬術競技大会…関東学生賞典馬場馬術競技大会、関東学生賞典障害馬術競技大会、関東学生賞典総合馬術競技大会の三大会の総称で、関東学生三大大会とも呼ばれる。障害馬術競技・馬場馬術競技・総合馬術競技の三大会の団体結果で争われる三種目総合優勝を各大学が争う。
13大会連続で三種目総合優勝を果たした日本大学馬術部 【日本大学】
初日の障害馬術競技で新エース誕生の予感
ジャンプオフで最初に出走したのは砂川選手・桜望。第1障害でバーを1本落としてしまうが、その後は立て直し全ての障害をクリア、総減点4、タイム38秒52。
続いて出走したのはアンナ選手・桜艶、同じ第1障害でバーを1本落としてしまう。しかし落とした後は完璧に走り、総減点4、タイム36秒58。暫定でアンナ選手・桜艶が1位、砂川選手・桜望が2位に付け、残す2選手の結果を待つこととなる。
3番目は専修大の石川選手・トウマスクラブス、日本大学勢が落とした第1障害をクリアするが、立て続けに障害がある第6障害でバーを落とし減点、総減点4、タイムは40秒75。ここでアンナ選手・桜艶と砂川選手・桜望の3位以上が確定。
4番目、慶應義塾大の田中選手・カタールも第1障害をクリアするが、タイム減点と障害減点で総減点15、タイム55秒19となり、アンナ選手・桜艶の優勝と、砂川選手・桜望の2位が確定した。
アンナ選手は大学初のタイトル獲得。これまでは吉田ことみ選手(スポーツ科学部卒/JRA)らに阻まれ優勝を逃してきた。有力選手が揃い踏みした世代が卒業し、大会前は優勝が危ぶまれていた日本大学馬術部にとって、アンナ選手・桜艶のジャンプオフの走りは新エース誕生を予感させるものだった。
団体ではアンナ選手・桜艶、砂川選手・桜望のほか、主将の堤田尚志選手(生物資源科学部4年/福智)・桜京と川野剛選手(スポーツ科学部2年/水戸商業)・桜真が活躍し、障害馬術競技での団体優勝を決め、日本大学馬術部は大会初日から最高のスタートを切った。
障害馬術競技(関東学生賞典障害馬術競技大会)優勝のアンナボルトニク選手と桜艶 【日本大学】
障害馬術競技で1年生ながら2位に入った砂川成弘選手と桜望 【日本大学】
馬場馬術競技も日大が制覇
31番目の越後選手・桜蝶が唯一の得点率65%を超える66.296%となり優勝、5位にアンナ選手・桜囁、6位に堤田選手・桜羽が入り、団体成績でも唯一の得点率190%を超える193.667%で団体優勝を飾った。
個人で優勝した越後選手は昨年度の全日本学生女子選手権で優勝を飾るなど、入学後着実に力を付けてきた実力者。全日本学生三大大会の前哨戦となる本大会での優勝は初めて。馬場馬術のエースとして今後の活躍が楽しみだ。
これで日本大学が障害馬術競技、馬場馬術競技の2種目を制し13年連続となる三種目総合優勝を確実なものとし、完全優勝まで総合馬術競技を残すのみとなった。
馬場馬術競技(関東学生賞典馬場馬術競技大会)優勝の越後りの選手と桜蝶 【日本大学】
総合力で掴んだ完全優勝
総合馬術競技(関東学生賞典総合馬術競技大会)クロスカントリー競技で障害を跳ぶアンナボルトニク選手と桜彩 【日本大学】
日本大学からはアンナ選手・桜彩、川野選手・桜焔、藤田華暖選手(生物資源科学部3年/宇都宮白楊)・桜燕、伊丹媛香選手(スポーツ科学部1年/聖心女子)・桜恋、砂川選手・桜豹の5組が出場。
初めに行われた馬場馬術競技ではアンナ選手・桜彩が1位に付け、コンビネーションの良さを見せる。
翌18日に行われたクロスカントリー競技。藤田選手・桜燕が総減点0のタイム4分52秒と快走を見せると、アンナ選手・桜彩がそれに続き総減点0のタイム4分57秒。
藤田選手・桜燕は馬場馬場とクロスカントリー競技合計減点を34.3とし7位から5位にジャンプアップ。アンナ選手・桜彩が合計減点28.4で首位をキープし最終種目の障害馬術競技を迎える。
下位から順に出走していき、藤田選手・桜燕はタイム62.19、総減点数0、合計減点を34.3で暫定5位で終了。その後暫定4〜2位につけている選手も総減点0で走り終え、残すはアンナ選手・桜彩を残すのみ。暫定2位選手の合計減点は29.9、アンナ選手・桜彩は28.4と、その差は僅か0.5。1本でもバーを落とせば優勝を逃す状況だ。
アンナ選手が入学した当初からコンビを組んできた桜彩。担当者として世話をし、普段から共に過ごしてきたコンビの信頼関係は強い。
誰しもが緊張する場面、アンナ選手と桜彩は抜群のコンビネーションを見せ、難なく障害を飛び越えていく。最後の障害を越え、総減点0、合計減点を28.4とし、首位を守り切ったアンナ選手・桜彩が優勝を決めた。5位にはそのまま藤田選手・桜燕が入った。
最後の障害を飛びきったアンナ選手は拳を掲げた後、直ぐに桜彩を労った。ポーランドから日本に来て半年間日本語を学んだ後、日本大学に入学。五か国語を操り、学業成績も学年トップクラスだというアンナ選手が大会2冠を達成、日本大学馬術部に新エースが誕生した。
団体はアンナ選手・桜彩と藤田選手・桜燕に加え、伊丹選手・桜恋が9位に入り、チーム上位3名の団体減点数は105.7。2位に25点近く差を付け総合馬術競技団体も優勝。
これで三種目全ての団体・個人で優勝を決め、3種目総合では1032ポイントを獲得した日本大学は2位にダブルスコア近くの差を付け完全優勝を掴んだ。
総合馬術競技の障害馬術種目で最後の障害を越え優勝決めたアンナボルトニク選手と桜彩。拳を掲げたあとすぐに桜彩を労い優勝の喜びを分かち合った 【日本大学】
選手のコメント
個人2冠(障害馬術、総合馬術)となったお気持ちをお聞かせください、また勝因はなんでしたか
障害馬術競技には桜艶と、馬場馬術競技には桜囁と、総合馬術競技には桜彩と3つのコンビを組んで出場させていただきました。
個人で障害馬術競技と総合馬術競技の2種目で優勝、馬場馬術競技では5位という結果でした。それぞれの馬との練習期間や今回の競技の難易度から、一頭一頭に期待する結果は違っていました。桜艶に乗り始めて約3ヶ月、日大馬術部に入部以来、このレベルの障害競技会に出場するのは初めてでした。私の経験不足で悩み、不安もありましたが、同時に桜艶は障害アリーナで自分のすべきことをよく分かっていることも分かりました。私の仕事は、馬が完璧に走れるのを妨げるようなミスをしないことでした。
1回目の走行からジャンプオフまで桜艶が確実に応えてくれたおかげで、私は自信が持てました。桜艶との出場経験は少なかったので、このような結果になるとは思っていませんでしたが、スーパー桜艶と連携できたおかげです。
馬場馬術競技は3頭の中で一番練習期間の短かった桜囁と共に挑戦しました。経験豊富な馬であることを知っているからこそ、馬が理解し、正しく実行できるような指示を出すのが私の仕事です。コーチのご指導に頼ることができ、団体優勝を確実にする経路を実行することができましたが、まだ自分の課題がたくさんあると良く分かりました。
総合馬術競技では入学してから触れ合ってきた桜彩と優勝できたことは私にとって深い意味があります。3年以上の間にあった様々な困難、成功によって、桜彩は私が乗るだけの馬ではなく、本当のパートナーになりました。馬場アリーナに入場してから、クロスカントリーのフィニッシュラインを越え、最後の障害を飛び越えるまで桜彩の自信や力を誇りに思いました。桜彩のことを完全に知っているとは言えませんが、今年4回の出場のうち、全部優勝できたのは、共に良い信頼関係を築けた証だと感じています。唯一無二の関係です。
これを含めて、一緒に戦ってきた友との共同勝利であり嬉しいです。
つぎの目標はなんでしょうか
秋の全日本学生で完全優勝を狙うようにこれからも毎日練習に励みたいと思います。
いつも応援していただいている方々に本当に感謝します。これからもよろしくお願いいたします。
馬場馬術競技優勝の越後りの選手(スポーツ科学部3年/播磨農業)
どのような想いで準備し試合に臨みましたか
初めての関東学生で、桜蝶に騎乗し出場するという事もあり、プレッシャーが大きかったです。正確に乗ると確実に点を取れる馬なので、勝ちを意識しながら試合に臨みました。
馬場馬術の演技を振り返ってみていかがでしたか
内容は、馬がしっかり応えてくれ丁寧に演技することができたと思います。
ですが、まだまだ納得のいかなかった部分が多くあり、完璧に回れなかったことが悔しいです。全学まで残り4ヶ月、更に良い演技をできるよう、精進いたします。
主将 堤田尚志選手(生物資源科学部4年/福智)
今大会チームの結果を振り返っていかがでしたか(団体個人全種目優勝)
今年の関東学生は自分を含め、ほとんどの学生が初出場でした。私自身ははチームを背負って戦うという事を経験して普段の試合よりも緊張しました。
結果としては3種目を個人、団体共に勝つ事ができたことはチーム全員が一丸となって戦うことが出来たからです。
強い世代が卒業し、このチームはまだ経験値が少なく伸び代があります、結果に満足せず取り組んでいきたいと思います。
次戦への意気込みをお願いします
次戦は日本大学馬術部最大の目標である全日本学生です。先輩たちが築いてきたものを更に積み上げられるよう、チーム全員で頑張ります。
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