常識を塗り替えた⻄地区がCSで巻き起こす⾮常識【B MY HERO!】

B MY HERO! 特派員
チーム・協会

年間チャンピオンを決めるCSがいよいよ開幕 【(C)B.LEAGUE】

♪〜Can’t stop, Won’t stop until we make it!
On top, Ready or not, We’re record breaking! All shots, You better watch, Cuz’ it’s so insane!〜♪

 バスケットボールファン、そしてBリーグファンの皆様、おはこんばんにちは。

 本⽇の解説はバスケットボールコメンテーター、そしてB MY HERO!特派員の朴航⽣が担当いたします。よろしくお願いします。

 ということで、アツアツなレギュラーシーズン(以下RS)が終了し、いよいよポストシーズン、チャンピオンシップ(以下CS)が始まります。

 冒頭の⾳符に囲まれた歌詞を読み、頭の中であの曲がスタートしていれば、あなたは紛れもなくBリーグという成⻑を続けるエンターテインメントの渦に飲み込まれているビッグファンの⼀⼈でしょう。

 もし、そうでないのなら今すぐお近くの端末でバスケットライブを⽴ち上げ最新の試合をチョイスするか、ストリーミングサービスから『Insane (B.LEAGUE version)』を爆⾳で(近所迷惑にならない範囲で)鳴らしながらこの先へお進みください。

 きっと今シーズンのあなたにとってのハイライトが脳裏によみがえるはずです(約束はできません)。

 さあ、前置きはこれぐらいにして今シーズンを締めくくる、頂点を決める戦い、CSをより⼀層楽しむために私が主に担当している島根スサノオマジックが所属する⻄地区を中⼼にシーズンの総括、そしてCS展望をしていきましょう。

RS最終節まで決まらなかった西地区優勝争い

QF唯一の西地区同士の対戦となる琉球vs.名古屋D 【(C)B.LEAGUE】

 最終節までもつれた地区優勝の⾏⽅は、最終節、アウェーで同地区ライバルの広島ドラゴンフライズからGAME1に勝利した琉球ゴールデンキングスが⾃らの⼿で地区6連覇となる⻄地区優勝を決めました。

 1⽉には⼀時地区4位に陥落しながらも、持ち前のタフさと接戦での勝負強さ、そして ホームコート、沖縄アリーナでの無類の強さ(今季26勝4敗の勝率86.6%)を誇り、4⽉に⾸位争いをしていた島根のホーム、松江市総合体育館で⾏われた直接対決を15点差で勝利し得失点差でも上回ることに成功した勢いを最後まで維持。前述の最終節広島戦を含めRSの最後を11連勝と駆け抜けて最後に王者としての強さと底⼒を見せつけました。

 地区優勝した琉球は⻄地区3位で全体4位のワイルドカード(以下WC)でCSへ出場する名古屋ダイヤモンドドルフィンズとクォーターファイナル(以下QF)で当たることになりました。

 名古屋Dも今季地区優勝を狙えるチーム作りを⾏いながら、度重なるロスターのケガによる離脱、それも複数名が同時期に抜けるという中で、時に登録ギリギリの8名での試合を行うという苦しい時期も多くありました。しかし、3⽉の後半から最終節までで16勝4敗、最後に4連勝と⼒強くRSをフィニッシュし、2季連続のCS連続出場を決めました。

 昨シーズンのCSでもケガに苦しんだ名古屋Dだけに、利き⼿の左⼿を負傷し、ロスター外を続けているレイ・パークスジュニア選⼿がCSに間に合うかが⼀番の焦点ではあります。ただRSを通して作り上げた選手層の厚さで、苦しい時期を乗り越えてつかんだWCから⻁視眈々(こしたんたん)とリーグ制覇を狙っているでしょう。

 このカードはRSで4度対戦しており、琉球が3勝1敗と勝ち越しています。それでも最後に戦った3⽉の琉球ホームでの⼀戦では、5点差で琉球が勝利したものの、名古屋Dはロスター8名ながら第4クォーターで⾒せた29-13の追い上げは凄まじいものでした。

 ホームに強い琉球がその後押しを受け退けるのか、はたまた満員の沖縄アリーナに静寂を訪れさせ名古屋Dが地区王者を打ち倒すのか。

 注⽬は琉球の岸本隆⼀選⼿、今村佳太選⼿のアウトサイドと、ジャック・クーリー選⼿、アレン・ダーラム選⼿、ジョシュ・ダンカン選⼿のインサイドが織りなす、「ショットを落としても拾ってくれる信頼感」が作りだす、リーグ1位のセカンドチャンスポイントが⽣む驚異のオフェンス効率。一方で、名古屋Dの変幻⾃在のマッチアップディフェンスから⽣まれるスティールが引き⾦となる、ファストブレイクを中⼼としたリーグトップの攻撃回数のどちらが上回るのでしょうか。

全体1位の千葉JにCS初出場の広島が対戦

第1シードの千葉Jをけん引する原 【(C)B.LEAGUE】

 次に東の王者、千葉ジェッツと対戦することになった、⻄地区4位で全体6位のWCでの初のCS出場を決めた広島ドラゴンフライズ。

 昨季からさらにパワーアップした迫⼒のあるロスターを引っ提げ⻄地区優勝を狙った今季、クラブとして初のCS出場を決めました。中盤まで課題であったリバウンドもカイ・ソット選⼿を最後に加えてからはバランスが良くなり、最後の2節では島根、琉球と対決しながら、どちらとも1勝1敗とCSへの状態の良さがうかがえます。

 今シーズンの千葉Jとは11⽉に千葉Jのホームで1勝1敗の痛み分けとなっており、両者のCSQFはその時から約半年、シーズンを消化しながらどちらがよりチームとして⼒を付けたのかを証明する場となりそうです。

 リーグ新記録の24連勝と最⾼勝率、そして天皇杯も制し、史上初の3冠を狙う千葉Jにとってもおそらく簡単なQFとはならないでしょう。

 RSのMVP候補であろう富樫勇樹選⼿を筆頭にリーグトップのアウトサイドの破壊⼒はもちろんですが、個⼈的DPOY(最優秀守備選⼿)、原修太選⼿がドウェイン・エバンス選⼿を筆頭に攻撃⼒の⾼い広島のビッグマンたちをいかにして⾷い⽌めるのかが楽しみでしょうがありません。

 広島は千葉Jにとって初対戦となるカイ・ソット選⼿を脅威として押し出し、リーグトップクラスのFTA(フリースロー試投数)を得ることでファウルトラブルに陥れられるかが、勝敗のカギを握るかもしれません。

CS初の神奈川ダービー実現

CS初の神奈川ダービーが実現 【(C)B.LEAGUE】

 川崎ブレイブサンダースと横浜ビー・コルセアーズはくしくも同地区同⼠でのCSQFとなりました。CS初の神奈川ダービーです。

 なぜそうなってしまったのかというのは今季のレギュレーションによるところになりますが、最終節でおそらく再度同じ個所を痛めた河村勇輝選⼿の状態次第では、中地区⾸位でQFホーム開催の川崎が2連勝で余⼒を持ってSFへ進める可能性も出てきました。

 中地区⾸位を⼿にした川崎はライバルの横浜BCがエースを⽋いた終盤の4⽉に連勝を重ね、しっかりと勝負強さを⾒せました。願わくば互いに万全な状態で、中地区を制したのは⾃分たちだと⾔わんばかりのQFを⾒たいと⼼底思うばかりです。

早くも因縁の対決? 昨季の再現を勝ち抜くのは

島根vs.A東京は昨年のQFの再現 【(C)B.LEAGUE】

 いよいよCSQF最後のカードとなりました。島根スサノオマジックのホームで再び相まみえるのはアルバルク東京。昨シーズンも同じ条件でCSQFを戦った、いわゆる因縁の対決となりそうです。

 A東京も名古屋Dと同じく主軸の⻑期離脱が連鎖し、⼀時はB3⾦沢武士団より外国籍選⼿をレンタルしながら東地区2位を維持したRSとなりました。リハビリ中の⽥中⼤貴選⼿はもちろん、4月30日の千葉J戦でおそらく右⾜太ももの筋損傷を起こしてしまったジャスティン・コブス選⼿、3⽉後半から離脱している藤永佳昭選⼿と出場の危ぶまれる選⼿もいるのが悩みの種。その中で、ライアン・ロシター選⼿、⼩酒部泰暉選⼿が戻ってきたのは心強いところです。さらに昨シーズンのCSで故障のためプレーできなかったロシター選⼿の奮起はホームの島根にとって大きな脅威となりそうです。

 4⽉の上旬に⾏われた広島との中国ダービーで2⽇⽬に劇的なオーバータイムでの勝利を得た島根。しかし、失ったものも⼤きく、その試合以降、ニカ・ウィリアムス選⼿の出場はありません。会場では松葉杖を付く姿も見られており、こちらもCSQFへの出場はかなり厳しい状況とみられます。

 シーズン得点王で、1シーズンでの最多トリプルダブル達成回数をジュリアン・マブンガ選⼿が持っていた7回から10回に更新したシーズンMVP最有⼒候補のペリン・ビュフォード選⼿と、ビッグマンながら3Pシュート王の座に輝いたニック・ケイ選⼿、そして古巣相⼿に滲み出る闘志を抑えることのない“闘将”安藤誓哉選⼿の3⼈を中⼼に凄みを増し進化したBUZZ SAWを⼿にインサイドの強いA東京にどんな戦いを⾒せてくれるのか期待が高まります。

 中盤以降、上記の3名を⽀えるロールプレーヤーのアウトサイドの確⽴も向上し、RS最終節では順位決定後のロードマネジメントを行ったにもかかわらず、北川弘選⼿がビュフォード選⼿、安藤選⼿の代わりを担い、2シーズンぶりのスターティング5として22得点4リバウンド5アシスト2スティールと島根も選手層が厚いことをしっかりと証明して⾒せました。

思い切りプレーできる幸せをかみしめ「共に、こえろ」

 全てのチームにとってコロナ禍以来のフルシーズン消化となりました。声出し応援も解禁となりました。ただ、その代償は多かれ少なかれチームにのしかかっているでしょう。

 しかし、ここまで来たらどんな状況であれ⽬の前の試合、相⼿に打ち勝つのみのチャンピオンシップが始まります。

 RS最⾼勝率チームが未だCS優勝を成し遂げていないジンクスを千葉Jが破るのか。激闘となった⻄地区からの初優勝を成し遂げるチームがあらわれるのか。

 世界中のプロ選⼿限定のNBAドラフトランキングに名前のあがった河村選⼿が快挙を成し遂げるのか。

 6つの星を勝ち取り、最後に頂点に立つのはいったいどのクラブになるのでしょうか。

“WIN OR GO HOME. ”

 極限のプレッシャーの中で常識を打ち破るINSANE(非常識)な活躍に最後まで『ココロ、たぎる』Bリーグチャンピオンシップで暑い夏をスタートさせましょう︕

朴航生(B MY HERO!特派員)

【(C)朴航生】

岡山学芸館高校を卒業後、アメリカ留学を経て、SHIZUOKA GYMRATSの一員としてABAへ参戦。帰国後bjリーグトライアウトの門を叩き、現B1の島根スサノオマジックへ入団、2シーズン在籍した。その後、Bリーグ開幕に伴いご縁を頂き、現在はバスケットボールコメンテーターとして島根のホームゲームを中心に奮闘中。ホーム、アウェーを同様に解説する姿勢、わかりやすい戦術解説に多くのファンを持つ。

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著者プロフィール

B MY HERO!は「あなたのヒーローを見つける1時間」をコンセプトにしたBリーグ公認の応援番組(毎週火曜18時~)です。番組特派員が推しクラブの模様やゲームの演出など、Bリーグの楽しみ方をレポートしていきます。

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