「つなぐ」「つたえる」…BREXYディレクターYUKAの秘めた想いから、その魅力へ迫る!【B MY HERO!】

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ディレクターYUKAの栃木、ファンへの想い、そしてチアへの情熱

BREXYオープニングパフォーマンス 【(C)宇都宮ブレックス】

 B MY HERO特派員のやまとです。

 宇都宮ブレックス創設時(2007年)より「BREXY(ブレクシー)」で、チアリーダー、そしてディレクターとして活躍されるYUKAさん。チーム結成から、進化させ続ける彼女のチアへの想い、そしてディレクターへの想いを伺い、BREXYの魅力に迫ります。

チアリーダーとの出会い…これは運命!?まさかのアプローチから栃木のチアリーダーに

――チアとの出会いはいつ頃ですか?

 高校生まではバレーボールをずっとやっていましたが、ケガをしてしまったんです。そこでリハビリとしてジムに通っていたのですが、ヒップホップを踊る人たちを見て「何だこの楽しく踊る人たちは!?」と興味を持ち、リハビリで始めたダンスにどんどんのめり込んで、ダンスで生きていこうと21歳で東京に出ました。

 そんな中、ダンスを通じて出会った方にチアダンスに誘われて、東芝のチアリーダーとして5シーズン活動し、2006年の日本開催の世界バスケ(現ワールドカップ)にも代表のチアとしてパフォーマンスもしました。

――チアダンスのどんなところに魅力を感じたのですか?

 それまでのダンスは、自分が楽しいとか、格好良く踊りたいとか、自分の気持ちの満足が中心だったのですが、チアダンスを始めてから、想いを届ける大切さ、見る人を元気にすることの大切さに気付いて、チアダンスを多くの人に知ってもらいたいという想いが芽生えたんです。

――その後、どのようにBREXYに出会ったのですか?

 チアダンスを広めたいと思い始めた頃、ブレックスが出来る前に「栃木にプロバスケチームを作ろう」という団体の代表の下出さんから、SNSの「mixi(ミクシィ)」を通してお誘いがあったんです。

――SNSで実際には会ったことがない方からのお誘いがきっかけって凄いですね!

 「こういうチームを栃木に作るので、栃木の方にぜひお願いしたいんです」と言われ、私自身も東芝で活動しているなかで「栃木にこんなチームが出来たらいいな」と思っていたので引き受けました。最初はスタッフ2人と私の3人で、鍵も掛からないような事務所で準備したり、ポスターを配ったりしていたので、本当にチームが出来るのかな?と不安でしたね(笑)。

――最初からディレクターの話はあったのですか?

 現役メンバーの一人としてチーム作りがスタートしましたが、進めていくなかで「そういえばディレクターって必要だよね?」ってなって、結果的にディレクターもすることになりました(笑)。

 それでも、東芝時代からダンスの振りを作ることが大好きだったので、その点は問題なかったです。

――チームを1から作るのは大変でしたよね?

 当時はチームの専属チアリーダーとして活動するチームがほとんどなかったので、何が正解かも分からず、東芝での経験をベースに始めました。ただ、東芝時代は1人1人がプロのダンサーで自立している人がほとんどだったのですが、BREXYはそうではなかったので、5年目くらいまではダンスの技術ではなく、1人1人の意識やプロとしてどうあるべきかと、人を育てることを大切にしていました。

 結成当初は、今では考えられないことが毎日のように起こっていました。

――どのように、意識を高めていったのですか?

 BREXYはファンの皆さんとのアイコンタクトや、パフォーマンス後に最後までお顔を見たり手を振ったりと、コミュニケーションを取ることを何よりも大切にしています。でも、それを伝えてもやり方が分からない。ダンスで想いを伝えるってどうやるの?と、形がないから難しい。それを理解するには経験しかないので、出来るだけイベントに参加したり、自信がない人をあえて前に立たせて経験させたりしていました。

――プレーヤーとしても意識していることはありましたか?

 練習や試合時には誰よりも早く行ったり、BREXYは結成2年目から月に1回「体脂肪測定」を実施しているのですが、そこで誰よりも高い数値を出すとか、トレーニングで人よりも多く行ったり、食事面など全てにおいてメンバーに背中で見せるようにしていました。

 その点、ディレクターだけではなく、プレーヤーとしても活動していたので伝えられたのだと思います。

BREXYで活躍するYUKAさん 【(C)宇都宮ブレックス】

ファンに想いを届けるパフォーマンス、BREXYらしさへのこだわり

――YUKAさんは試合中はどこで何をされているんですか?

 3階の正面から動画を撮って次への課題を探したり、2階を回ってパフォーマンス中のファンの皆さんの反応を見てたりします。

――ファンの反応もフォーマンスの参考にするのですか?

 この曲はクラップしてくれるな~とか、手はたたかないけど見てくれているな~とか、ファン目線で「ここはアイコンタクトもっと欲しいな~」なんて思いながら反応をみています。

 第1、第2クォーターは飲み物や食べ物を持っている方が多いのでクラップは少なめで、後半に向けてクラップが大きくなるという私が見てきた中での感覚があったりするので、そういうことも踏まえてパフォーマンスは考えますね。

――音楽や振りはチームの演出担当の方と決めているのですか?

 シーズン前にミーティングがあり、そこでどういうコンセプトにしていくか話し合って決めています。

 BREXYは第1、第2クォーターは明るくて楽しいダンス、第3、第4クォーターはクールで格好良いダンスを初年度から続けてきています。その中で、明るいものでもキレイなダンスなのか可愛いダンスなのか、できるだけ同じ雰囲気にならないよう曲を探しています。

――ダンスのジャンルも決まっているのですか?

 ポンポンを使用するダンス、ヒップホップ、ジャズダンスを16年前の初年度からやると決めています。当初はヒップホップを踊ることは異色でチアリーダーのイメージではないと思われていたかもしれませんが、ファンの方に色々な種類のダンスを見て楽しんでもらうのが1番だと、自分たちの信念を曲げずに続けてきました。

――第3、第4クォーター間のヒップホップは、原曲のアーティストがLIVEでする敬礼ポーズを、BREXYのダンスの決めポーズ後の去り際に取り入れたりと、いろいろな仕掛けが詰まっていますよね。

 今回はMAMIが担当しています。彼女はアイドルやアーティストが大好きで、様々な音楽を聞いて映像を見ているので、たくさんインスピレーションを受けていつも彼女ならではの素晴らしいパフォーマンスを作ってくれます。今回のダンスも「ただじゃ帰らないわよ」っていう遊び心と格好良さがある仕上がりになっていますよね。

――BREXYのパフォーマンスは、暗転時に限らず照明もとても美しい印象ですが、YUKAさんから要望は出されるのですか?

 実は私から要望を出したことはないんです。出来上がったダンスの動画を撮影して、演出の担当者に渡して、そのダンスに合った照明を作り上げてくれるのですが、いつも私たちのイメージしていた通りにしてくれるんです。

 1階で見ても3階で見ても美しい照明には本当に感謝しています。

BREXYのヒップホップパフォーマンス 【(C)宇都宮ブレックス】

――いつどこで曲やダンスを考えているのですか?

 スタジオなどよりも、車や電車の中で思い浮かぶことが多いですね。スーパーやデパートで買い物中などに、この曲いいなーと思ってふとステップ踏んでみたり。
 明らかにダンサーだと分かる服装ではなくて、スーツ姿の女性が急にステップを踏むんですから、完全に怪しいですね(笑)。

――曲を選ぶのにはこだわっていることはあります。

 この曲でやりたいというよりも、この曲で今のメンバーが踊ると素敵だなとイメージできる曲にしています。曲があってのダンスではなくて、メンバーがあってのダンスですね。

――振付で意識していることはありますか?

 360度どこから見てもファンの皆さんに楽しんでもらえるように作っています。そして、ダンスの技術をみせることに重点を置くわけではなく、SNS時代ということもあり、ファンの皆さんとつながる1つの方法として、写真を撮りたくなるようなポーズだったり、動きをあえて入れたりしています。

 例えば、バレンタインの時には、色々なハートを10箇所くらい入れて、色々なメンバーの色々なハートを撮りたくなるようなポーズをたくさん入れました。

 次のダンスはこのポーズを撮りたいだろうな~と想像しながら作っています(笑)。

――YUKAさんやメンバーもSNSで見たりするのですか?

 もちろん皆さんの投稿は見ています。あ、このポーズ撮ってくれたんだ!とか(笑)。

 ただ、SNSに載せてもらうのが最終目的ではなくて、SNSを通じて、コロナ禍で会場に来られない方にも魅力を伝えたり、まだ会場でブレックスの試合を見たことがない方に、生でBREXYを見てみたい、会場に行ってみたいと思ってもらえたら良いなと思ってダンスを作っています。

――コロナ禍でマスクをしてのパフォーマンスの機会も多かったですが、大変な点はありましたか?

 気持ちや笑顔を目だけで伝えるのは本当に難しい。だからこそ、手を振ったりポーズをしたり、目を合わせたりと、出来るだけその機会を多くして、ファンの方に「今つながっていますね」と伝わる・感じ合える瞬間をたくさん作ろうってメンバーと話していました。

――確かに今季は特に「つながっている」と感じる機会が多く感じます。

 もしかしたら、「過剰に見えるのでは?」と思い悩んだ時期もありました。パフォーマンスや応援に集中すべきでは?と。それでも、最終的にたどり着いたのは、ファンの皆さんとのコミュニケーションでした。

 また会場に行きたい、BREXYを見たいと思ってもらうことが重要だなと思ったんです。

――BREXYが大切にしていることはありますか?

 ダンスだけではなくて、踊りながらアイコンタクトを取る、ただ笑顔だけではなくて、「今、そこにいるあなたに想いを届けています」という振りの構成にしているので、それが伝わるようなダンスをするように心掛けています。

 技術をダンサーに見せるダンスではなく、ファンの皆さんに「このチアリーダーは素敵だな」と思ってもらえるチアリーダーを目指しています。

――YUKAさんがメンバーに伝えていること、言葉はありますか?

 BREXYメンバーのスローガンで『つなぐ、つたえる』という言葉があります。

 Bリーグで初代チャンピオンになったときに、多くの方から「おめでとう」「ありがとう」という言葉をいただきました。 嬉しいと同時に、これは「今までBREXYとして活動してきてくれたメンバー、応援してくれたファンの皆さんがいたからこそ、つないでくれたからこそ、いま私たちがこうしてパフォーマンス出来ているんだ」ということに気付きました。

 私たちの「今」は当たり前ではなく、つないでくれた多くの方に感謝し、伝えていくことを大切にしようとメンバーには伝えています。

――BREXYは「女性に憧れる存在に、子供たちに夢を与える存在に」と以前よりおっしゃっていましたよね?

 BREXYになりたい、チアリーダーになりたいと思ってもらうこと以外にも、子どもたちに夢を持ってもらうきっかけになれたらと思っています。

 今回、衣装コンテストでデザインを募集して、グランプリの方のデザインで衣装を作ったのですが、この企画は「チアダンス以外でも夢が叶う場所をつくりたい」という想いで行われました。

 衣装をデザインして、それをBREXYが着てパフォーマンスする姿を見られたら、デザインを目指す方にとってはものすごい夢になると思うんです。

 これからも、チアダンスに限らず、誰かの夢の力になれる存在でありたいと思います。

――今までの衣装はYUKAさんが考えていたのですか?

 8年前までは私が考えていましたが、今は衣装係になったメンバーがデザインを考えてくれて、それを元に作っています。

 BREXYは前半はワンピース、後半はパンツスタイルと決めているのですが、2年に1度モデルチェンジをしています。今季はコンテストでワンピースが新しくなりましたので、来季はパンツ衣装が新しくなる…という感じですね。

コンテストで選ばれたワンピース衣装 【(C)宇都宮ブレックス】

BREXYの進化 そして未来へ

――今季KAORIさん、MAMIさんがアシスタントディレクターとして活動されていますね。

 私だけでは気付けない点を、2人が加わったことでよりフォローしてもらえるようになりました。今までリーダーとして活動していましたが、アシスタントディレクターになって目線が変わり、考え方も変わり彼女たち自身も頼もしく成長してくれています。

 また、今季はYUNA、HIKARIがリーダー、サブリーダーをしてくれていますが、彼女たちも成長して、チームには欠かせない存在になってくれています。

――YUKAさんもアメリカに行かれたと伺いました。

 開幕戦の後、3カ月ほどアメリカに行っていました。

 今回は、何もないところで自分はどう生きていけるのかというのをやってみようと思っていました。午前中は語学学校、午後はダンススクールに行ったり、教えている人に会ったりと自由に過ごしていました。
 
――3カ月のアメリカ生活でYUKAさんにどんな変化がありましたか?

 学校やダンススクールの先生の言葉が、どれだけモチベーションを上げるかと改めて気付きました。また、日本では「察する」ということがありますが、アメリカでは「思いを伝える」ということの大切さを学びました。

 戻ってきてからは、同じ言葉を言うとしても、より責任を持つようになりましたし、「察してほしい」ではなくて、「こう思っている」ということをしっかり伝えるようになったと思います。

――まだまだYUKAさんも進化し続けているわけですね。これからのBREXYでやりたいことはありますか?

 ブレックスは声の応援を大切にしているチームですので、また一緒に声で後押しする応援をしていきたいですし、コロナ禍でより力強くなったクラップの応援も生かして新しいスタイルの応援をチームとファンの皆さんと作り上げて、進化していきたいと思います。

――最後になりますが、YUKAさんがこれから実現したい夢はありますか?

 現在、シニア層やダウン症の方にダンスを教えているのですが、チアダンスを誰でも楽しめる、そして、生涯スポーツとしてもっと広げていきたいです。そして、1年に一度、栃木で大きなチアイベントを当たり前のように毎年行われるくらい盛り上げたいと思っています。

 また、栃木には高校のチアダンス部が少なく、あっても文化祭や野球の応援でパフォーマンスが中心なので、高校のチアダンス部を立ち上げ、「あの高校のチアダンス部に入りたい」そう目指してもらえるような存在にしたいと思っています。

終わりに

「ディレクターはチアチームの魂」

 そのチームを作り上げるディレクターという存在に注目し、ディレクターの目線から、チアリーダーの魅力を伝えたい!そんな想いから、今回BREXYのYUKAさんにお話を伺いました。

 宇都宮ブレックスの皆様にご協力をいただき、今回オンラインのインタビューが実現いたしました。

 本当にありがとうございます。

 YUKAさんをはじめ、KAORIさん、MAMIさん、そしてメンバーが、16年という歴史と想いをつなぎ、伝えることで進化し続けるBREXYの魅力を、ぜひ会場で体験してほしいと思います。

 何よりもファンの皆さんとの繋がりを第一に考え、パフォーマンスをするBREXYの想いが、きっとアナタに伝わることでしょう!

 そうそう、街中で急にステップを踏み出す怪しい人がいたら、それはYUKAさんかもしれません(笑)。

やまと(B MY HERO!特派員)

【(C)やまと】

「田臥勇太が観たい!」がきっかけで、ブレックスにハマり、宇都宮に通い出す。
アウェイの会場に応援に行く度に、様々なチームのチアリーダーの魅力に惹かれ、
今では全国のチアリーダーを全力応援中!!!

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