【ラグビー/NTTリーグワン】現実を受け入れ、残留を目指す。 いまのGR東葛は下を向かない< GR東葛 vs 横浜E>

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マッチエピソード&記者会見レポート
GR東葛17–45 横浜E


ディビジョン1残留を目指すNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)と、現在4位に付け、プレーオフトーナメント進出圏内の横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)。対照的な立場にある両者の対戦は、7つのトライを奪った横浜Eが勝利を収めた。

「最初の30分は2回しかボールをもらえず、さらにそれをターンオーバーされてしまった」とニック・フィップスが前半を振り返るとおり、GR東葛は試合開始早々に先制トライを奪われると、24分までに0対21と点差を付けられ、防戦を強いられる展開となった。

第13節の東京サントリーサンゴリアス戦で喫した敗戦で、GR東葛は入替戦へ回ることが決まった。ロバート・テイラー ヘッドコーチは「ディビジョン1に生き残るために、すべてを出し切ろうという精神でやっている」とチームの状況を口にした。入替戦に回るという現実は、シーズン前に自分たちが描いていたものとは異なるが、決まった以上は「残留」という新たな目標に向けて前進していくしかない。

前半で横浜Eに点差を広げられ、GR東葛が意気消沈してもおかしくない展開に、ニック・フィップスも「今までならば、チームは下を向いていたかもしれない」という。

だが、前半終了間際、ラインアウトのミスを迅速にリカバーし、そこからカヴァイア・タギヴェタウアのトライにつなげた。後半に入ってからも、51分にはレメキ ロマノ ラヴァ、59分にはタンゲレ・ナイヤラボロがトライを決めて点差を縮めた。終盤は2つのトライを奪われて、ラスト10分間の攻防では横浜Eの実力を見せつけられる形にはなったものの、沢木敬介監督の「バタついた時間もあった」という言葉を踏まえれば、GR東葛はトップ4の相手を間違いなく慌てさせた。

「ディビジョン1のクオリティーの高いチームとやり合い、高いレベルの試合をすることで入替戦に向けての準備になる。ファイトすることやメンタリティーをコーチすることは難しいが、それはできている。あとはブレイクダウン周りやタックルを、もっと賢くやることが必要です」

オーストラリア代表として72キャップを誇る百戦錬磨のニック・フィップスは、チームの課題を明確に述べた。それもまた、彼が示す残留への道筋である。

リーグ戦は残り2試合。生き残りを懸けたGR東葛の熱き戦いは、これからも続く。

(鈴木潤)

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NECグリーンロケッツ東葛
ロバート・テイラー ヘッドコーチ

「まずは来てくださったファンのみなさま、ありがとうございます。あと、横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)は勝利おめでとうございます。横浜Eのプレーを見ていると、トップ4のチームだなと思いました。横浜Eはアタック、ディフェンスともにNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)にプレッシャーを掛けてきました。GR東葛もタイミング的にすごく良いプレーをしていた場面もありました。最後の10分で強く終わることを目指していたんですが、そこでも横浜Eにトライを取られてしまったことが残念なところです。ただ、まだシーズンはあるので、最後まであきらめずにやって、最後は強く終われるように臨みたいと思います」

──失点しても以前のように崩れなくなり、チームのマインドの変化を感じましたが?

「GR東葛は下のディビジョンに落ちないという目標があるので、トップ4を常に狙っている横浜Eと比べたらプレッシャーがまた違う形になっています。そういう意味では、GR東葛は生き残るためにすべてを出し切ろうという精神でやっています。選手たちにすごいファイトを見せてもらえたと、この試合を見て感じます。このリーグは上位と下位でギャップが大きいということを感じているんですが、80分間、GR東葛のチーム全体があきらめずに最後までやり続けたことが良かったと思います。最後は簡単なトライも取られましたけど、そこはあきらめているわけではない中で、そういうことが起きてしまった。しかしここからは集中を切らさずに、次のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦、最終節の花園近鉄ライナーズ戦と、楽しみにしている試合に向けて、しっかり準備をしていきたいと思います」

NECグリーンロケッツ東葛
レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

「今日の試合は良いところと悪いところがありました。試合の流れという意味では、けっこうストップが多かったので、レフリーが止めていく中でNECグリーンロケッツ東葛の流れを立てにくいのはありました。今日はゲームの中で良いファイトを見せたと思うんですが、毎試合そういう場面はあってもなかなか結果につながらないのが正直なところです。入替戦もあるので、そこに向けてチームを立てて、ディビジョン1に残れるようにこれからも頑張ります」

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横浜キヤノンイーグルス
沢木敬介監督

「みなさんおつかれさまでした。バタついた時間もありましたけど、残り10分ぐらいでしっかり勝ち点5を獲得できたことはチームとして成長しているところだと思います。ただ、僕らは先を見ることなく、一戦一戦しっかりと自分たちが成長できるゲームを重ねながら、チームとしても個人としても成長できる、そういうマインドセットで次の東京サントリーサンゴリアス戦にも良い準備をして、良いチャレンジをしていきたいと思います」

──中盤でバタついたときはどうご覧になって、どう手を打とうと思っていましたか?

「今日はラインアウトもコリー・ヒルが組み立てて、良い組み立てでしっかりと制圧できたと思います。あとは庭井祐輔がしっかり自信を持って投げることだと思うので、そういう小さいところですね。やはりペナルティや自分たちのミス、そういうところで自分たちから相手に流れを渡してしまったところが、次に向けて僕らが修正しなければいけないところだと思います。自分たちのインテンシティーやスタンダードでプレーしようという話はしました」

横浜キヤノンイーグルス
コリー・ヒル ゲームキャプテン

「監督がお話ししましたとおり、今日はタフな試合になることを覚悟して挑みました。特にNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)はフォワードが体を張って戦ってくるので覚悟をして試合に入りました。試合は序盤にモールトライを取れて流れをつかめたところは非常に良かったと思います。中盤で若干コントロールを失うところがありましたが、しっかりと勝ち点5を取れて勝利で終えられたことはよかったです」

──試合の中盤に攻め込まれたときにはチーム内で何が起きていたのでしょうか? また、ボーナスポイントを取ることが難しい時間もありましたが、勝ち点5を取ることを意識していたのでしょうか?

「ラグビーなので流れが変わることは多々あると思います。そこで相手のチームに流れが変わってしまいましたが、われわれとしては落ち着いて、やるべきことを明確にしてコントロールを取り戻せたことは良かったです。ゲームプランに忠実にやっていこうということで、そこを意識して最後の10分、15分で得点につながったと思います。GR東葛は非常に優秀なランナーがそろっているので、もしゲームの展開がルーズになれば彼らがしかけてくることは覚悟していたんですが、ゲームの中でもそこを覚悟していた上で勝利できたと思います」

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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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