【5年ぶりの対戦!!】川崎公式なのにどこよりも詳しい(!?)上海海港プレビュー

川崎フロンターレ
チーム・協会

2020年大会以来6回目のACL出場となる上海海港のキャプテンは、在籍8年目を迎えるオスカル(背番号8) 【(c)AFC】

今シーズンから大会フォーマットが大きくリニューアルされた「AFCチャンピオンズリーグエリート」。ここまで1勝2敗と巻き返しを図る川崎フロンターレは、11月5日(火)に行われるMD4で中国の上海海港をホーム等々力に迎える。上海上港というチーム名だった2019年以来5年ぶりの対戦となる上海海港は、どのようなクラブなのか紐解いてみる。

創設は2005年。昨年の中国超級リーグ王者

上海海港足球倶楽部は2005年に上海東亜足球倶楽部として創設された、中国でも比較的、歴史の新しいプロクラブだ。元中国代表監督である徐根宝(スー・ジンハオ)氏が会長、チェアマン、総監督の三役を兼任する形でクラブをオンオフ両面から強化して、2006年に中国3部にあたる乙級リーグからスタートした。

そこから2年で甲級リーグ(中国2部)に昇格し、2012年に優勝。創設7年目にして、1部リーグである中国超級に昇格を果たす。ちょうど、その年に海上輸送の大企業である上海上港集団とスポンサー契約を結び、上海上港として名を知られるようになっていく。中国サッカー協会がクラブに会社名を入れない方針に転換した2021年から現在の上海海港(上海ポートとも呼ばれる)に変更されたが、上海上港の時代にアジアの舞台を席巻した。

AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に初めて参加したのは2016年だった。ラツィオでイタリアのセリエA優勝を果たすなど、世界的な名将として知られた、スヴェン ゴラン エリクソン監督に率いられた上海上港。前年の国内リーグで2位となり、プレーオフでタイのムアントン ユナイテッドに3-0の勝利。本戦のグループステージではJリーグ勢のガンバ大阪と同じグループGになったが、ホームとアウェイの2試合で勝利し、1位でラウンド16に勝ち進んだ。そこで対戦したFC東京とはホーム&アウェイで1勝1敗だったが、当時のルールだったアウェイゴールの差で準々決勝に進出。しかし、そこで同大会を優勝する韓国の全北現代に2試合の合計スコア0-5という完敗で、ACL初挑戦は幕を閉じた。

両チームの直近の対戦は2019年。左からオスカル、守田英正、フッキ 【(c)KAWASAKI FRONTALE】

その2016年、夏に加入したのが川崎フロンターレにもゆかりのある、ブラジル代表だったFWフッキ。翌年にはブラジル屈指のテクニシャンとして知られていたMFオスカルを獲得し、上海上港は“黄金時代”への地盤を築き上げていく。エリクソン氏の退任を受けて招聘されたのはポルトガル人のアンドレ ビラス ボアス監督。プレミアリーグのチェルシーやトッテナムを率いたことでも知られる“AVB”は4-3-3のシステムをベースに、攻守にバランスの取れたチームを作り上げていった。2017年のACLはラウンド16で江蘇蘇寧(江蘇足球倶楽部に改称後、2021年2月に活動停止)、準々決勝で広州恒大(現在の広州足球倶楽部)と中国のライバルを撃破したが、グループステージでも対戦した浦和レッズに準決勝で敗れた。

2018年には“AVB”を継いだヴィトール ペレイラ監督が、ついに上海上港を中国超級リーグの優勝に導く。この年と2019年にはACLで、川崎フロンターレと2年連続で同じグループに入り、ホームとアウェイで対戦。ともに上海では上海上港の勝利、等々力では引き分けという結果だった。どちらもグループステージは突破したが、2018年はラウンド16で鹿島アントラーズ、2019年は準々決勝でまたしても浦和に敗れており、決勝トーナメントにおけるJリーグ勢はアジア制覇への“鬼門”になっていく。結局、“コロナ禍”によるセントラル開催で行われた2020年のACLもヴィッセル神戸に敗れて、ベスト16で大会を終えることとなった。

監督は2022年に横浜FMをリーグ優勝に導いたケヴィン マスカット

クラブ名を上海海港に変更してから、中国のクラブは防疫の事情でしばらく主力を国際大会に出せなくなり、他の中国勢と同じくACLで苦戦を強いられた。秋春制となった前回のACLではようやく“コロナ禍”の制限が解け、オスカルなど外国籍選手を含む主力選手をACLで起用できるようになった。しかし、2022年のリーグ4位としてプレーオフから出場した上海海港はタイのパトゥム・ユナイテッドに2-3で敗れて、本大会を前にあっさりと敗退してしまった。その一方で、2023年の中国超級リーグでは圧倒的な強さを見せつけて5年ぶり2回目のリーグ優勝を成し遂げる。その時の監督はスペイン人のハビエル ペレイラ氏だったが、2024年に新しくチームを率いることになったのが、横浜F・マリノスを3シーズン率いて、2022年にリーグ優勝を果たしたケヴィン マスカット監督だ。

マスカット監督は2010年にはメルボルン・ビクトリーの選手として、2018年には同チームの監督として川崎Fと対戦経験がある 【(c)AFC】

マスカット監督は4-2-3-1のシステムをベースに、司令塔のオスカルとリーグ20得点の大型FWグスタヴォによる縦のホットラインを軸に、手堅い守備とクリエイティブな攻撃を両立させている。ボランチから攻撃を支えるブラジル人のマテウス フッサは攻め上がりのセンスが抜群。彼と中盤でコンビを組む“レオ”ことレオナルド シッタジーニはボールを刈り取る能力が高く、オスカルを合わせた“ブラジリアン・トライアングル”は対戦相手の脅威だ。そしてもう一人、左ウイングを主戦場とするアルゼンチン出身のマティアス バルガスも要注意。中国超級リーグでは得点、アシストともに2桁をマークしている。

そうした外国籍選手が中心であることは間違いないが、イングランド出身で現在は中国国籍を持つDFティアス ブラウニング(中国名・ジャン グアンタイ/蒋光太)や経験豊富な守護神のヤン ジュンリン(顔駿凌)、左サイドバックからタイミングよく前に駆け上がるリー シュアイ(李帥)といった中国代表のタレントが支えており、中国勢でもバランスの取れたチームだ。連覇を目指す中国超級リーグでは同都市のライバルである上海申花と終盤戦まで優勝を争っている。ACLエリートは開幕戦でジョホールと2-2で引き分け、第2節は韓国の浦項スティーラーズに0-3で敗れた。いきなり苦しい立場になったが、第3節はオーストラリアのセントラルコースト・マリナーズを3-2で振り切っており、1勝1分1敗の勝点4で8位。現在10位の川崎Fとしてはホームで何としても勝利したい勝利したい相手だ。

文:EL GOLAZO
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著者プロフィール

神奈川県川崎市をホームタウンとし、1997年にJリーグ加盟を目指してプロ化。J1での年間2位3回、カップ戦での準優勝5回など、あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきたことから「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、クラブ創設21年目となる2017年に明治安田生命J1リーグ初優勝を果たすと、2023年までに7つのタイトルを獲得。ピッチ外でのホームタウン活動にも力を入れており、Jリーグ観戦者調査では10年連続(2010-2019)で地域貢献度No.1の評価を受けている。

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