【2023 SEASON PREVIEW】#004 河内一馬 ー 次の3年に向けた1年、今季は正念場のシーズン

チーム・協会

【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 昨シーズン、神奈川県リーグ2部を制して劇的な1部昇格を決めた鎌倉インテル。クラブ創設6年目となる今シーズンは、初めて県リーグ1部を舞台に戦う。ここではチームのカギを握る監督、選手に新シーズンへ向けて話を聞いていく。今回は鎌倉インテルを率いる河内一馬監督。

(文・本多辰成/スポーツライター)

ピッチ内外で成果のあった昨シーズン

【DAN IMAI】

 2021年シーズンから鎌倉インテルのトップチーム指揮官とブランディング責任者を兼務している河内一馬。監督就任1年目は神奈川県リーグ1部への昇格を逃したが、ホームグラウンド「鳩スタ(みんなの鳩サブレースタジアム)」が完成して迎えた昨シーズンは見事にチームを昇格に導いた。

 ブロックリーグでは一時は自力での優勝の目がなくなる苦しい戦いとなったものの、最終節での逆転でブロックAを制覇。最後は大勢のサポーターたちが見守るなかで「昇格決定戦」を制し、最高の形でシーズンを締めくくった。

「昨シーズンはチームとしてすごく成長した1年でしたし、特に最後の1、2カ月は大きく変化したと思います。もちろんまだまだ伸びる余白がありますし、僕自身も100%満足しているわけではありません。そんななかでも自分たちがアイデンティティとしている『CLUB WITHOUT BORDERS』というビジョンを体現するスタジアムを90分間でひとつにするサッカー、という目標はある意味で実現できた1年でした。その意味ではすごく成果として評価できるシーズンだったんじゃないかと思っています」

 監督としてチームを昇格に導いた一方、クラブのブランディングというもうひとつの仕事においても成果のあったシーズンだった。その象徴的な出来事のひとつとしてあったのが、NIKE JAPAN社の公式メディアで鎌倉インテルが動画コンテンツとして取り上げられたことだ。
「Jリーグクラブではない僕らのようなサッカークラブが大々的に取り上げてもらうのは前例のないことだと思いますし、ブランディングとしてもひとつの成果と言えるので、ある意味では第1フェーズが終わったのかなという認識をしています」

 昨シーズンはピッチの内外で、クラブにとっても河内にとってもこれまでやってきたことがひとつの形となった1年だった。

「インテルらしい」新戦力たちを加えて、新シーズンへ

クラブのビジョンに共感する新加入選手を迎えての新シーズン 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 神奈川県リーグ1部という新たなステージでの戦いが始まる新シーズンは、河内体制で臨む3年目のシーズンとなる。

 上位カテゴリーでの挑戦に向けて新戦力たちも加入し、新たなチームとなって開幕を迎える。とはいえ、開幕戦で7人の新加入選手がスタメンに名を連ねた昨シーズンと比べれば、昨年のベースがある今季はスムーズにチーム作りが進んでいる。

「去年と比べれば圧倒的に準備はしやすかったですし、計画通りに来ています。もちろんクラブとしても新しい領域、今まで戦ったことのないカテゴリーなので、去年結果を残したチームがよりハングリー精神を持って結果を出しに行くという点で難しさはあると思います。やってみなければ分からない面もあるというのが正直なところですが、危機感を持ってスタートした去年とは全く違う心境で開幕を迎えることができます」

 今季新加入の選手たちは上位カテゴリーでのプレー経験のある選手も多く、河内も「クオリティが高く、チームの平均値をグッと上げてくれる存在になっている」と新戦力たちに期待を寄せる。さらに、能力の高さだけでなく、新たに加入してきた選手たちはクラブのビジョンに共感する「インテルらしい選手」が多いと感じているという。

「クラブとして少しずつ形ができて、自分たちとしても『インテルらしさ』みたいなものを感じてきている段階だと思います。僕自身も監督としてチームを作り始めて3年目ですが、今シーズンは特に、すごく『インテルらしい選手』が入ってきてくれたという印象です。インテルでサッカーをすることに価値を感じて望んで入団してくれる選手ばかりなので、何の問題もなく溶け込んでくれています」

 昨シーズンまでのサッカーをベースとしながらも、「変化もしていかないと組織は死んでいく」という認識も持ってシステムの変更なども試みている。昨年のサッカーに変化をもたらしながらチーム力を上げていく上で、「インテルらしい」新戦力たちは心強い存在だ。

次の3年に向けた1年、今季は正念場のシーズン

【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 今季を戦うチームは2月に本格始動し、プレシーズンマッチを重ねてきた。間もなく監督として3度目の開幕を迎えるが、昇格という明確な目標があった過去2シーズンとは心境も異なる。

「県1部での戦いは初めてなのでやってみなければわかりませんが、全てのチームに対して全く歯が立たないということはないはずです。ただ、当然去年よりは難しい試合が続くと思いますし、そこに対しては緊張感とともにワクワク感もあります。その感覚はインテルの監督をやってきて初めてのことですし、勝たなければいけないというゲームがほとんどだった昨シーズンまでとは違う楽しさを個人的には感じています」

 これまでにも県リーグ1部所属のチームとトレーニングマッチをしたことは何度かあったが、大半のチームとは今シーズンが初対決となる。開幕戦で対戦する昨年の県1部優勝チーム、YOKOHAMA FIFTY CLUBを筆頭に強敵との対戦が続くが、目先の勝ち点だけを取りに行く戦い方をするつもりはない。

「守り切って引き分けで勝ち点を取りに行こうとか、そういう戦い方は全く考えていません。それをすることによって得られるのは、勝ち点しかないと思うので。自分たちのスタイルをしっかりと保ちながら正々堂々と戦いに行くことが自分たちがサッカーをしている意味でもありますし、見に来てくれた観客の方たちに楽しんでもらえることにもなる。そういった部分を大切にして、頭を使った戦い方をしていきたいと思います」

 カテゴリーが上がっても自分たちのスタイルを貫きながら、未来につながるサッカーを継続する。その上で「前期リーグが終わった時に、昇格を狙えるポジションにいること」を当面の目標として、もちろん結果も求めていく。

 クラブ創設6シーズン目、河内体制となって3シーズン目。今シーズンもまた、クラブにとって重要な1年になるのは間違いない。

「『鳩スタ』ができてある程度の時間が経ち、僕が監督になってからもある程度の時間が経って、今シーズンはある意味で基盤が出来上がった状態で戦うシーズンになるのかなと思っています。去年以上に勝ったり負けたりとなる可能性もあると思いますが、そうなった時に自分たちの軸みたいなものをブラさずにやっていけるか。ブランディングについても3年がひと区切りと考えていましたし、ピッチの内外でそういったものが試される。正念場のシーズンですし、次の3年に向けた1年になるんじゃないかと思っています」

 監督とブランディング責任者という異例のポジション兼務がスタートして3年目。河内にとっても新たな挑戦のシーズンが幕を開ける。

開幕戦はみんなの鳩サブレースタジアムで4月2日(日)午前11時45分キックオフ!

【4月2日(日)の試合情報は下記の関連リンクをご確認ください。】

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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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