【2023 SEASON PREVIEW】#001 内藤洋平 ー 新たな挑戦、鎌倉の人たちにもっとクラブを知ってほしい

鎌倉インターナショナルFC
チーム・協会

【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 昨シーズン、神奈川県リーグ2部を制して劇的な1部昇格を決めた鎌倉インテル。クラブ創設6年目となる今シーズンは、初めて県リーグ1部を舞台に戦う。ここではチームのカギを握る監督、選手に新シーズンへ向けて話を聞いた。今回は選手兼スタッフとしてチームを支えるMF内藤洋平。

(文・本多辰成/スポーツライター)

昇格という結果を掴みとれたのはクラブとして大きな価値

ピッチ外ではクラブスタッフとして活躍する 【Kotaro Matsuo】

 2020年に8シーズンを過ごしたギラヴァンツ北九州を退団し、翌2021年5月に鎌倉インテルに加入した内藤洋平。長くJリーグでプレーした経験を生かしてピッチでは10番を背負いチームをけん引する一方、ピッチの外ではクラブスタッフのひとりとしてグッズ販売や営業面などを担当している。

 ピッチ内外でクラブに欠かせない存在として活躍する内藤だが、加入1年目は県リーグ1部への昇格を逃す悔しいシーズンを経験した。それだけに自身2年目となった昨シーズン、悲願の昇格を果たした喜びは大きかった。

「シーズンを振り返ればうまくいっていない時期もありましたし、果たして今の自分たちの力で昇格を掴み取ることができるのかと思ったこともありました。でも、終わってみれば昇格という最高の結果で、最高の光景が自分たちの前に広がった。それをこのクラブで掴みとれたというのは大きな価値を持つんじゃないかと思います」

 プロ選手としてJリーグで長くプレーするなかで、内藤は選手たちが戦う舞台を用意してくれる裏方の世界にも興味を持つようになったという。「応援されるクラブ」のつくり方を内側から見てみたい。それが鎌倉インテルに加入した動機のひとつだったが、実際に選手兼スタッフとして2年間を過ごし、Jリーグ時代には感じられなかったものを感じ始めている。

「試合にしてもグッズ販売にしてもそうですが、自分たちで作ったものを人に届けられるというぬくもりや手触り感みたいなものを感じています。Jクラブとは規模感や距離感が違うので、人の顔が見えるというか。近い距離感で仕事ができているので、すごくダイレクトに伝えられるし伝わってくる。そこはすごく充実感があります」

 クラブとして大きな目標であった県リーグ1部昇格を果たした昨年は、内藤にとってもピッチの内外で充実感を得られたシーズンだった。

不安を感じた序盤戦、シーズンを通してチームが大きく成長

不思議と『間違いなくいける』という感覚になった昇格決定戦 【DAN IMAI】

 開幕から5連勝と好調なスタートを切り、最後は「昇格決定戦」に勝利して最高のかたちで締めくった昨シーズン。だが、内藤はシーズンの最終盤になるまで昇格への手応えを感じられていなかったと振り返る。

「僕の中では、本当に確信を持ったのは昇格決定戦の時でした。ブロックリーグを戦っている段階では、昇格できるという確固たる自信みたいなものは僕の中ではなかった。昇格決定戦の当日、その一日の流れというか。みんなが集合してウォーミングアップをして、試合序盤の雰囲気を感じた時、自分の中では不思議と『間違いなくいける』という感覚になったんです」

 昨シーズンは多くの新戦力を加え、新しいチームとしてスタート。開幕から順調に勝ち点3を積み重ねてはいたものの、序盤戦ではまだ「昇格という目標を達成するレベルには達していない」と感じていた。

 しかし、「鳩スタ」というホームグラウンドができたことで練習の量と質が劇的に改善されたこともあり、シーズンが進むにつれて少しずつチームが成熟していく。開幕からの連勝がストップした6月の南FC戦、唯一の黒星を喫した9月の六浦FC戦など苦しい戦いを経て、10月に行われたFCSCとの天王山をきっかけにチームのムードが変わったのを感じた。

「南FC戦、六浦FC戦とかで勝ち点を落として、やっぱりチーム全体が危機感を持ったと思います。それをどうしていくかということでいろんなことに着手して、チームは間違いなく成長していきました。その結果、FCSC戦は厳しい展開のなかでもチームとして流れを引き寄せて勝ち点1を掴んだ。勝ち点3がほしい試合だったので最高の結果ではなかったですが、それまでやってきたことがピッチで表現できて、ターニングポイントとなった試合だったと思います」

 首位攻防戦となったFCSCとの大一番をドローで終えたことで、その時点で自力でのブロック優勝の目が消えた。しかし、その一戦できっかけを掴んだチームはそこから勝ち点3を積み重ねると、ライバルのFCSCが勝ち点を落としたこともあって逆転でのブロック優勝を果たした。

ブロック優勝を決めたホーム最終戦では過去最多の約400人が「鳩スタ」へ 【DAN IMAI】

 ブロック優勝を決めたホームでの最終戦では、「鳩スタ」に過去最多となる約400人の観客が来場し、続くエブリサ藤沢ユナイテッドとの「昇格決定戦」にも多くのサポーターが詰めかけた。「応援されるクラブ」のつくり方を内側から見てみたいと考えていた内藤にとっても、それは特別な光景だった。

「応援されることこそがサッカーなんじゃないかと僕は常々思っているので、ありがたい光景を作っていただいたなと改めて思います。まだまだ足りない部分があるのは重々承知していますし、これからも自分たちの力で最大限、人の心を動かせるような努力をすることが一番重要なことなんじゃないかと思っています」

新たな挑戦、鎌倉の人たちにもっとクラブを知ってほしい

鎌倉へやってきて3シーズン目、また新たな挑戦がスタートする 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 間もなく開幕する2023年シーズン、クラブは初めて神奈川県リーグ1部での戦いに挑む。新たなステージを戦うための新戦力も加入し、4月2日の開幕戦へ向けて着々と準備を進めている状況だ。

「サッカーに絞って言えば、今までのようには行かないのはわかっています。現時点で県1部のレベルに到達しているかと言われれば、まだ足りていないと思うので、一回一回の練習を濃くしてやっていくしかない。クラブとしては新しい挑戦になるのは間違いないですが、やるべきことややろうとしていることは変わりません。そこがブレないように、底上げしながら何かを作り上げていければと思います」

 チームの戦力面では新加入選手たちにも期待を寄せる一方で、内藤は昨シーズンを戦った選手たちのほとんどがチームに残ってくれたことにも大きな価値を感じている。

「試合に出れていない選手でもチームに残ってくれているのは本当に大きなことだと思っています。サッカーをすること以上の価値を感じていなければ、なかなかそういうことはできません。既存の選手たちがそういったモチベーションでピッチに立ってくれることはすごく大きいと思いますし、そこはインテルの一番の強みだと思う。ある意味では一番の補強なんじゃないかとも思っています」

 クラブを応援してくれる人たちが少しずつ増えているのは実感するものの、鎌倉市全体で見ればその認知度はまだまだ低いとも感じているという。選手として、スタッフとして、もっともっと多くの人に鎌倉インテルの存在を知ってもらうことが今シーズンの目標のひとつだ。

「『鳩スタ』には多くの人が来てくれて盛り上がっていますが、鎌倉市全体で考えるとまだまだ認知されていません。そこに対して、グッズなどを利用して何かできることがあるんじゃないかと思っています。鎌倉の企業や商店の人たちと一緒になって何かをつくっていく。そういった雰囲気やシーンを生み出していくことにもトライしたいと思います」

 鎌倉へやってきて3シーズン目。内藤にとっても2023年は、また新たな挑戦がスタートするシーズンとなる。

開幕戦はみんなの鳩サブレースタジアムで4月2日(日)午前11時45分キックオフ!

【4月2日(日)の試合情報は下記の関連リンクをご確認ください。】

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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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