【2023 SEASON PREVIEW】#002 小谷光毅 ー インテルのため、鎌倉のために戦う集団にしていきたい

鎌倉インターナショナルFC
チーム・協会

【DAN IMAI】

 昨シーズン、神奈川県リーグ2部を制して劇的な1部昇格を決めた鎌倉インテル。クラブ創設6年目となる今シーズンは、初めて県リーグ1部を舞台に戦う。ここではチームのカギを握る監督、選手に新シーズンへ向けて話を聞いていく。今回は攻守の要である2年目のMF小谷光毅。

クラブのポテンシャルを強く感じたシーズンだった

加入1年目の昨シーズンは内藤洋平とともにダブルボランチとしてチームをけん引し、昇格の原動力となった 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 小谷光毅にとって昨シーズンは、鎌倉インテルでの1年目であると同時に社会人サッカーで1シーズンを戦い抜いた初めてのシーズンでもあった。

 2018年からの3シーズンはいわてグルージャ盛岡とブラウブリッツ秋田に所属し、J3リーグで計72試合出場9得点。もともとビジネスにも興味があったこともあり2021年からは社会人サッカーでプレーする道を選択したが、1年目は神奈川県リーグと関東リーグに所属する2つのチームでプレーしたものの周囲との価値観やスタンスの違いに苦しんだ。

 社会人サッカーを続ける上で、自分はどんなチームでやりたいのか。熟考した上で選択したのがビジョンに共感できた鎌倉インテルだったが、実際に1シーズンを過ごしてみて改めてクラブの魅力を強く感じた。

「社会人サッカーで初めて1年を通してプレーしたシーズンでしたが、いろいろと難しさを感じる部分はありつつも鎌倉インテルのポテンシャルを強く感じた1年でした。しっかりとした経営陣がいるのが非常に強いなと感じますし、ピッチでプレーしている選手たちも自分の軸を持ちながらサッカーに向き合っている。そういった選手たちが集まっていますし、すごい可能性を秘めたクラブだと思います」

 昨シーズンは開幕から同じくJリーグでのプレー経験があるMF内藤洋平とともにダブルボランチとしてチームをけん引し、昇格の原動力となった。苦しみながら掴んだ昇格決定の瞬間にも、クラブの底知れないポテンシャルを感じたという。

「あれだけ多くの方が見に来てくださって、涙を流しながら喜んでくれる方もいる。僕たちはアマチュアであって、去年に関しては県2部というカテゴリーだったわけですが、こんなにも感動を届けることができているんだなと。そこにすごく感動しましたし、これから一緒に戦ってくれる方たちとどんどん上に上がっていくなかで、クラブが掲げているビジョンもより大きな価値が出てくるのかなと思います」

天王山をきっかけに「昇格できる雰囲気」が生まれた

金城の同点ゴールでFCSCとの天王山は引き分けに 【DAN IMAI】

 最終的には昇格という最高の結果を手にした昨シーズンだったが、小谷はシーズンの終盤までチーム状態に不安を感じていたと振り返る。

「チームの雰囲気がけっこうフワッとした感じがあって、このままじゃダメだなと。みんな昇格を目標にはしていたと思うんですけど、本当に現実的に見ていたのかというと僕の中ではひっかかる部分があったんです。FCSC戦までは、昇格に値するチームじゃないと感じていました」

 10月に行われたFCSCとの一戦は、鎌倉インテルにとってブロックリーグ最終盤の12戦目。序盤からブロック首位を争ってきた相手との天王山だった。その時点で鎌倉インテルは1試合消化数が多い状況で、FCSCと同勝ち点。勝ち点3が必要な試合だったが1対1のドローという結果で、自力優勝の可能性が消えてしまった。しかし、その試合をきっかけにチームは明らかに変化したと小谷は言う。

「僕は0対1で負けている状況でケガで交代してしまったんですけど、その後、金城(光希)が同点ゴールを決めて追いついた。フィジカル的にもかなり負けていて、ボールも握れず厳しい試合だったんですが、必死に食らいついて追いつけたことが自信になったのかもしれません。そこから1カ月半くらいはケガで外から見ていましたが、明らかに練習の雰囲気が変わりましたし、試合も安心して見ていられるようになった。復帰してチームに入った時に、このチームは昇格するなと感じました」

復帰後の昇格決定戦で存在感を見せてチームを逆転勝利に導く 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 同時期に内藤も負傷で戦列を離れ、勝負どころでチームを支えてきた中盤の二枚看板を欠く事態となってしまう。しかし、その逆境を乗り越えてチームは逆転でのブロック優勝を果たし、「昇格決定戦」に進出。小谷はブロックリーグ最終戦でスタメン復帰すると、昇格をかけたエブリサ藤沢ユナイテッドとの運命の一戦でも存在感を見せてチームを逆転勝利に導いた。

「試合前のミーティングでも前半0対1までなら大丈夫だという話をしていましたし、前半で先制されても落ち着いていました。後半に入って50分に追いついたことによって相手がイライラしているのを感じたので、そこはうまく利用しようと。中盤であえてちょっとドリブルを増やしてみたりとか、意識的にプレーしていました。結局、相手の1人がファール後の抗議で2枚目のイエローをもらって退場になり、逆転ゴールが決まった。本当に、最後まで落ち着いてプレーできたことが勝利につながったと思います」

インテルのため、鎌倉のために戦う集団にしていきたい

【DAN IMAI】

 県リーグ1部昇格が決まった時、小谷は多くのサポーターたちの喜ぶ顔にクラブの存在価値を改めて感じたというが、同時に翌シーズンへ向けて危機感も感じていた。

「昇格が決まった瞬間はもちろんうれしかったんですが、同時に『来年はちょっとヤバいな』と。1部を戦うにはまだ全然足りていないところが多いと思っていましたし、いろいろと突き詰めてやっていかないといけない。昇格は通過点でしかないと思っていたので、どちらかというと『うれしい』よりも『来年が大変』という思いの方が強かったです」

 鎌倉インテルが創設6年目にして初めて挑む神奈川県リーグ1部は、全12チームが所属し、前期と後期とに分けて行われる。全チーム総当たりで争われる前期リーグの6位までが後期は上位リーグ、7位以下が下位リーグを戦うというレギュレーションだ。県1部初挑戦の鎌倉インテルとしては、まずは前期6位以内で上位リーグ入りを目指す。

「レギュレーション的に上位リーグに入らないと先につながらないので、まずはそこに入るのがピッチでの短期的な目標です。ピッチ外のところでは、選手一人ひとりが鎌倉という地域に対して何ができるかというところをさらに考える。SNSでの発信だとか、街に出ていろんな方と触れ合うとか、そういったことをしていくことで鎌倉インテルの輪をもっともっと広げていければと。選手一人ひとりがインテルのことが好きで、インテルのために、鎌倉のために戦う集団にしていきたいです」

 小谷にとっては鎌倉インテルでの2年目のシーズン。クラブとして新たなステージでの挑戦となるが、今シーズンもピッチの内外でカギを握る存在のひとりだ。

開幕戦はみんなの鳩サブレースタジアムで4月2日(日)午前11時45分キックオフ!

【4月2日(日)の試合情報は下記の関連リンクをご確認ください。】

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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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