【2022 SEASON REVIEW】#002 ー ブロック優勝の行方は三つ巴の争い、FCSCとの天王山迫る

鎌倉インターナショナルFC
チーム・協会

【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 創設5年目のシーズンを迎えた鎌倉インテル。昨シーズン途中には待望のホームグラウンド「みんなの鳩サブレースタジアム(鳩スタ)」も完成し、河内一馬監督体制2年目となる今季はなんとしても神奈川県リーグ1部への昇格を果たしたいところだ。

 16チームずつ2つのブロックに分かれて争われる県リーグ2部。鎌倉インテルは開幕5連勝の好スタートを切ったが、中盤戦ではホームで初の黒星を喫するなど勝ち点を落とした。混沌とするブロック優勝争いの行方。ここでは6節から11節までの戦いを振り返りながら、昇格へ向けて佳境を迎える終盤戦を展望する。

(文・本多辰成/スポーツライター)

開幕連勝は5でストップ、「鳩スタ」で初めて勝利を逃す

南FCとの一戦は最後まで攻め続けたがスコアレスドローに終わる 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 神奈川県リーグ1部昇格へ向け、開幕5連勝と最高のスタートを切った今シーズン。しかし、開幕からの連勝記録は6戦目にしてストップしてしまう。開幕5連勝を決めた6月5日の港北FC戦から3週間を空けて行われたホームゲーム。鎌倉インテルはホームの「鳩スタ」に南フットボールクラブを迎えた。

 3週間ぶりのリーグ戦となったが、前週に行われたトレーニングマッチでは東京都リーグ2部のみずほFGサッカー部に4対0で快勝を収めるなどチームは好調をキープ。対する南FCはその時点で1勝3分1敗の成績で中位に位置していたチームであり、ホームの「鳩スタ」で連勝を6に伸ばしたい一戦だった。

 しかし、試合は序盤から一進一退の攻防が続き、鎌倉インテルは何度か相手ゴールを脅かすシーンを作りながらも先制点が奪えない。後半はスタートからFW藤田航規を投入するなどさらに攻撃的に出たが、一方的に相手陣内で試合を進める展開となったものの最後までゴールネットを揺らすことはできなかった。

 6月ながら30度を超える猛暑の中で攻め続けながらのスコアレスドロー。開幕から勝利を重ねてきた今シーズン、初めて勝ち点を落とす結果となったゲームを河内一馬監督はこう振り返る。

「チャンスはたくさん作れていたなかで得点が取れなかったというゲームで、運の悪さもあったと思います。ただ、ずっと勝ちっぱなしで来ていたことで緊張感みたいなものがなくなっていた可能性はあると思いますし、正直、100パーセントの自信を持って臨める準備ができていなかった面もありました。昇格をするためには自分たちはまだまだの力なんだということを、初めてチームで共有できた試合だったと思います」

 昨シーズンは前半戦で苦しい戦いが続いたなかで、10月に待望のホームグラウンド「鳩スタ」が完成してからはホーム開催のリーグ戦は全勝。今季も開幕から白星を重ねてきたため、ドローに終わった南FC戦はクラブにとって「鳩スタ」で初めて勝ち点を落とすゲームとなってしまった。

コロナ感染拡大で試合延期、2カ月間のリーグ戦中断

3ゴールを挙げて快勝となった平塚SC戦を最後にリーグ戦は2カ月間の中断へ 【㋚写真】

 開幕からの連勝はストップしたとはいえ、6戦を終えて5勝1分けは好成績と言える。しかし、神奈川県リーグ1部への昇格は全15節のブロックリーグで優勝することが必須条件であり、取りこぼしの許されない厳しい戦いが最後まで続くことになる。

 南FC戦を引き分けで終えたあとの7戦目は、翌週の7月3日にアウェイの馬入ふれあい公園で行われた。相手はその時点で1勝2分3敗の平塚SC。上位に位置するチームではなかったが、直近の試合では鎌倉インテルとブロック首位を争う無敗のFCSCに0対1と善戦している侮れない相手だった。しかし、試合は開始10分にMF柴野諒貴のゴールで鎌倉インテルが先制すると、後半にも2点を加えて3対0の勝利。無得点に終わった前節の鬱憤を晴らすような快勝だった。

 リーグ戦折り返しとなる8戦目を前に、勝負の後半戦へ向けていい形でスタートを切った7月。7月中にはさらに2試合のリーグ戦が予定されていたが、新型コロナウイルスの第7波の影響で直前になって2試合ともに延期されることが決まった。その結果、リーグ戦が再開される9月までの約2カ月間、チームは予定外の時間を過ごすこととなった。

 リーグ戦が予定されていた7月の週末にはトレーニングマッチを入れ、8月に入ってからは上位カテゴリーのチームともマッチメイク。神奈川県リーグ1部で上位に位置するはやぶさイレブンとの対戦では1対5の大敗を喫する経験もした。

 リーグ戦では対戦できないレベルの相手との試合を通して、チームは貴重な経験を積んだと河内監督は話す。

「関東リーグ昇格を目指しているはやぶさイレブンと対戦できたのは、チームにとってすごくいい経験になりました。個人の能力とかフィジカルの面では差を感じる部分もありましたが、全く通用しないという感じではなくて、チームの完成度の点ではそこまで差はないという感覚が個人的にはありました。昇格して来年、1部で戦うことになった時にはどのくらいのクオリティでチーム作りをしていかなければいけないのかという基準を、クラブ全体としても持つことができたと思います」

 はやぶさイレブンをはじめとして力のあるチームとマッチメイクし、貴重な経験値を得た8月のトレーニングマッチ。しかし、結果は4戦して1分3敗と、勝利することはできなかった。年明けのチーム始動以来、経験したことのなかった3連敗という結果に「チームとして自信を失いかけていた部分もあった」と河内監督は言う。

 リーグ前半戦は6勝1分という好成績で終えたものの、中断期間中のトレーニングマッチでは格上の相手に対して結果を出すことはできず。開幕から積み上げてきた自信と、まだ確かな手応えを得られていない部分の両面を抱えながら、チームは9月のリーグ戦再開を迎えることになった。

「鳩スタ」で初の敗戦、昇格へ負けられない戦いが続く

六浦FCとの一戦は3対4に終わりリーグ戦ではクラブ史上初となる「鳩スタ」での敗戦を喫する 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 9月4日、リーグ戦再開後の初戦の相手はその時点で6勝2分と無敗で暫定2位につけていた横須賀マリンFC。アウェイの横須賀リーフスタジアムで行われた上位対決は難しい試合となることが予想されたが、前半18分にMF内藤洋平のコーナーキックにDF脇本駿がヘディングで合わせて鎌倉インテルが先制。脇本の初ゴールを最後まで守り切り、1対0の完封勝利でリーグ戦再開初戦を飾った。

 ブロック優勝の行方を占う上でも大きな勝ち点3を手にすると、翌々週の次戦はFC ASAHIを迎えてのホームゲーム。大雨の降る悪天候の中で前半に先制点を許す苦しい展開となったが、MF小谷光毅の1ゴール1アシストを含む全3得点に絡む活躍などで3対2の逆転勝利。実に3カ月ぶりとなった「鳩スタ」でのゲームを、苦しみながらものにした。

 リーグ戦再開後も連勝スタートを切ることができ、昇格へ向けて再び連勝街道を進むかに思われた鎌倉インテル。しかし、ホームでの連戦となった次戦に落とし穴が待っていた。その時点で6勝2分1敗の4位につけていた六浦FCを迎えた今季10戦目は、53分までに0対3と思わぬ大量リードを許す苦しい展開に。終盤、MF柴野の2ゴールなどで1点差まで詰め寄る反撃を見せたもののあと1点届かず、最終的に3対4で今季初の黒星を喫してしまった。

 痛い敗戦となった六浦FC戦の敗因のひとつは、好感触だった前節の戦い方に固執してしまった点にあったと河内監督は反省する。

「その前の試合、FC ASAHIとの試合はスコア的には1点差でギリギリの逆転勝利でしたが、僕としてはポジショニングや展開の仕方といった点ですごくいい感触がありました。特にボランチの小谷選手が前線で絡むことが多くて3得点に絡んだ。彼を前線に残したなかでサッカーができればいいなということをその時にすごく思って。状況が少し変わっているにもかかわらず次の六浦FC戦でもその形に固執してしまったところがあったので、僕の責任もすごく大きい敗戦だったと思っています」

 リーグ戦ではクラブ史上初となる、ホーム「鳩スタ」での敗戦。今シーズン10試合目での初黒星によって、昇格の必須条件であるブロック優勝を果たすためにはもう1試合も落とすことのできない状況となった。

ブロック優勝の行方は三つ巴の争い、FCSCとの天王山迫る

脇本駿のハットトリックを含む6ゴール、再び勢いを取り戻してFCSCとの天王山へ 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 ブロックリーグ全15試合中、3分の2を戦い終えて8勝1分1敗の勝ち点25。六浦FC戦の敗戦によって暫定首位をキープしてきた順位は2位となり、ブロック優勝を狙う上位争いは混沌としてきていた。

 10月最初のゲームは、7月に延期となっていたホームでのフットワーククラブ寒川戦。今シーズン、まだ未勝利の相手に対して立ち上がりに先制点を許す嫌なスタートとなったが、その後は怒涛の6ゴールを挙げて最終的には6対3で勝利。チーム不動のボランチでありセットプレーのキッカーも務める10番の内藤をケガで欠きながら、代わりにキッカーを務めた柴野のキックに脇本が頭で合わせる形で3ゴール。脇本はDFながら見事にハットトリックを達成した。

 序盤戦では同じくDFの北村万宙が4得点、中盤戦以降は脇本が4得点と、セットプレーが今季の鎌倉インテルのひとつの得点源となっている。全体としては他のチームに比べて決して高さで優っているわけではないものの、昇格をかけたビッグゲームが続く終盤戦においてもセットプレーは勝負のカギを握る武器のひとつとなりそうだ。

 今シーズン、神奈川県リーグ2部から1部への昇格枠は「1.5」となっている。鎌倉インテルが戦うブロックAと、もうひとつのブロックBの優勝チーム同士が昇格決定戦を行い、その勝者が自動昇格。敗者は1部リーグの下位チームとの入れ替え戦にまわる。いずれにしても、まずは16チームによるブロックリーグを制すことが昇格への絶対条件だ。

 現在、鎌倉インテルは11試合を消化して9勝1分1敗の勝ち点28、得失点差は+23で暫定首位に立つ。2位には試合消化数が1試合少ない状況で同勝ち点(得失点差+22)のFCSC、続いて鎌倉インテルと同じ11試合の消化で勝ち点26(得失点差+15)の六浦FCが3位につけている。ブロックAの優勝の行方は事実上、この3チームによる三つ巴の争いとなっている。

 そして、暫定で首位に立つ鎌倉インテルは10月16日にビッグゲームを迎える。今シーズン、序盤からブロック首位の座を争ってきたFCSCとの直接対決。柳島スポーツ公園で行われる大一番を前に、河内監督も「今シーズンが決まると言っても過言ではないゲーム」と意気込む。

「10月16日のFCSC戦は越えなければいけないポイントになるだろうと、ずっと意識していました。そのゲームがいよいよ来たわけですけど、僕個人の感覚としてはすごくワクワクしていて、心の底から楽しみです。ここまでいろんな失敗もして、負けたりもしながらチームは成長してきた。やれることはやったという自負はありますし、イメージができた状態で試合に臨めるので今はすごくポジティブです。勝つか負けるか、あとはもう思いっきり自分たちのストロングポイントを出すしかないと思っています」

 消化数が1試合少ない状況で同勝ち点で並ぶ相手に敗れれば、昇格への道のりは厳しいものとなる。反対に、勝利を手にすることができれば視界は一気に開けてくることになるだろう。クラブ創設5年目のシーズンも、いよいよクライマックスが迫っている。

【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

FCSCとの天王山は柳島スポーツ公園で10月16日(日)19時05分キックオフ!

【10月17日(日)の試合情報は下記の関連リンクをご確認ください。】

【順位表(上位5チーム)】

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【詳細は下記の関連リンクをご確認ください。】

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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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