【MotoGP】2023年シーズンに挑むHondaライダーたち

Honda/HRC
チーム・協会
1949年に始まったロードレース世界選手権(MotoGP)は、二輪レースのトップカテゴリーであり、その頂点に立つことは、二輪車を生産するメーカー、チーム、そして選手たちにとって最高の栄誉である。

Repsol Honda Team マルク・マルケス 【Honda】

決められた規則の中で、科学技術の粋を集め、速く走るためのマシンが作られる。ロードレース世界選手権で最高峰の「MotoGPクラス」は、4ストローク1000cc、4気筒、ボア81mmという規則が設けられている。HondaのMotoGPマシン「RC213V」は、水冷DOHC V型エンジンで、170kW(230馬力)以上が公表値だが、どのメーカーも正確な数字は秘密である。最高速は360km/hに届こうとしている。

そのマシンを速く走らせるために、またベストなパフォーマンスを引き出せるように、サーキットではエンジニアやメカニックたちが日夜マシンの整備を行い、コース上では世界最高のライディングスキルを持つライダーたちが競う。2023年は3月に行われるポルトガルGPを皮切りに、11月までの9か月間、世界の国々で21戦が繰り広げられる。

RC213V 【Honda】

2ストロークエンジンが主流だった500ccクラス時代は2001年に終了し、2002年から4ストロークエンジン搭載マシンが主流となる「MotoGPクラス」になった。モータースポーツの世界はいつでもそうだが、シーズンを追うごとに開発競争は激しさを増す。MotoGPクラスも例外ではなく、コストやスピードを抑えるために、シーズン中のエンジン開発禁止や使用できるエンジン数を制限するなどさまざまな規則を設けてきた。しかし、こうした厳しい条件の中でも技術革新は続いており、300km/hを超えるスピードで競われるMotoGPクラスは、常に見る者を魅了している。

仮にフィニッシュラインを350km/hで駆け抜けた場合、1秒で約97mも駆け抜けていることになる。そのスピードの中で表彰台に立った3選手の差が0.1秒、0.2秒というのも珍しいことではない。まさに1000分の1秒を競う戦いであり、そうした戦いで得られた技術が、市販される最新モデルに活かされることになるのだ。

こうした世界でHondaは、これまで多くの技術革新を達成し、レース界の流行を生み出してきた。02年にスタートした「MotoGPクラス」では、過去22年間でライダーズタイトル10回、コンストラクターズタイトル12回を獲得している。

今シーズン、最も注目されるのは、これまで8回の世界タイトルを獲得しているマルク・マルケス(Repsol Honda Team)。マルケスは、20年シーズンに右腕上腕を骨折するケガをして以来タイトルから遠ざかっているが、昨年4回目の手術を行い、今年は万全の状態で挑む。

Repsol Honda Team マルク・マルケス 【本田技研工業株式会社】

マルケスは、グランプリ史上で最もすぐれたライダーの一人である。13年にMotoGPクラスにデビューして史上最年少記録の20歳で初優勝を達成し、初タイトルを獲得。以来、HondaのMotoGPマシン「RC213V」のパフォーマンスを存分に引き出し、シーズン最多優勝記録(13勝)など、多くの記録を更新している。今年は、2月に行われたマレーシア・セパン、3月に行われたポルトガル・アルガルベの5日間のテストで、23年型RC213Vの開発に焦点を合わせて走行を重ねていた。

開幕を前にマルケスは、今年の抱負をこう語る。

「長い間、共に歩んできたRepsolファミリーと、こうして一緒に走れるのは、とてもうれしいこと。開幕に向けて最後のテストとなるポルティマオは、とても重要だった。このまま前進し、今シーズンをスタートさせたいと思っている」

ケガと手術のために過去3年間は、精神面でも厳しいシーズンとなり、勝利は3勝。今年は悔しい思いを晴らす一年にする意気込みだ。

Repsol Honda Team ジョアン・ミル 【本田技研工業株式会社】

チームメートには、20年の王者ジョアン・ミルが加わった。新加入のミルは、2月のマレーシア、3月のポルトガルのテストでは、初めて乗るRC213Vに慣れること、そして、シーズンを戦うベースのセッティングを決める重要なテストに取り組んだ。

マレーシア、そしてポルトガルのテストを終えて、ミルはこう語った。

「Repsol Honda Teamのフルカラーを初めて身にまとい、レースに出られるなんて、本当に信じられない気分だ。MotoGPクラスで知らない人がいないこのチームで走れることはとても光栄なこと。その期待に応えたい。マレーシア、ポルトガルといい方向に進んでいる。あとは開幕を待つだけ」

181cmと長身のミルは、169cmと小柄なマルケスとは対照的に、その身体の大きさを存分に活かす走りが期待される。走行を重ねるごとにスピードを増しているミルの存在は、マルケスに勝るとも劣らないもの。お互いに刺激しあい、リザルトを上げていくことになるだろう2人の走りに注目が集まる。

LCR Honda CASTROL アレックス・リンス 【本田技研工業株式会社】

さらに、Hondaのサテライトチーム「LCR Honda CASTROL」に新加入したアレックス・リンスも、新天地となるHondaでの活躍が期待されている。これまでマルケスとは何度も名勝負を繰り広げており、昨年のシーズン終盤には2勝(通算5勝)を挙げる活躍を見せた。普段は物静かなライダーだが、コース上で見せる切れのある熱い走りは、見る者の胸を熱くする。リンスは、マレーシアとポルトガルでは、ニューバイクで徹底的に走り込み、ポルトガルテストでは、より実戦的なテストメニューへと進み、大きく前進した。

「夢はワールドチャンピオンになること。そのために、懸命に働き、そして闘ってきた。世界王者になるためには、優秀な専門家たちと一緒に仕事をし、闘い、すべてをマネジメントする必要がある。今年で最高峰クラス7年目。毎年新しいことを学んでいる。ここ数年間は、プレッシャーの中で冷静に対処することなどメンタル面でも成長したし、コース上で速く走るために多くのことを学んできた。Hondaで戦うというニューチャレンジを楽しみにしている」

LCR Honda IDEMITSU 中上貴晶 【本田技研工業株式会社】

リンスのチームメートで「LCR Honda IDEMITSU」で6年目のシーズンを迎える中上貴晶は、昨年終盤に負った右手小指と薬指の状態も完全に回復し、万全の状態でシーズンを迎える。マレーシアとポルティマオでは、ニューパーツのテストをこなしながらマシンのセットアップに努めた。Hondaでは、マルケスに次ぐ経験値を持つ中上は、心強い存在となる。

「今年の目標は競争力を高めること。今年は土曜日にスプリントレースが開催されるし、これまで経験したことがないシーズンになる。特にスプリントレースではグリッドが重要になるし、これまで以上にスピードが要求される。そのためにどうすればいいのか。それをテーマにテストを行ってきた。戦う準備はできている。自身の走りはもちろんのこと、マシンのセットアップをうまくまとめてシーズンを成功させたい」

今シーズンの開幕戦はポルトガルのアルガルベ・インターナショナル・サーキットで行われるポルトガルGP。今年もHondaは、昨年に引き続き2チーム4台体制で挑む。
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著者プロフィール

本田技研工業株式会社(Honda)の公式アカウントです。Hondaのモータースポーツに関する情報を発信します。 Hondaは、世界最高峰の二輪ロードレースのひとつであるMotoGPを始め、F1や、ダカール・ラリー、ル・マン24時間レースなど、世界を舞台にした2輪・4輪のさまざまなレースカテゴリーに参戦してきました。世界中のモータースポーツファンの期待に応えられるよう、チャレンジを続けています。

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