【PREVIEW 2023ノルディックスキー世界選手権・後編】北京五輪に続くメダル獲得をねらう小林陵侑。女子ジャンプは表彰台独占の勢いをつなげられるか

チーム・協会

【写真:アフロ】

 今シーズンは2年に一度のスキー&スノーボード競技の最高峰、FIS(国際スキー・スノーボード連盟)世界選手権が開催されます。ノルディックスキーはプラニッツァ(スロヴェニア)、アルペンスキーはクーシュベル/メリベル(フランス)、フリースタイル&スノーボードはバクリアニ(ジョージア)が舞台。各大会の見どころを、SNOW JAPANの選手たちを中心にお届けします。

※SNOW JAPAN=全日本スキー連盟(SAJ)が統括するスキー・スノーボード競技の選手たちの総称

メダル獲得が期待されるスキージャンプ陣がいよいよ出陣

 前記事(【PREVIEW 2023ノルディックスキー世界選手権・前編】ページ下部リンク参照)にて、先行して代表選手が発表されたノルディック複合、クロスカントリーについてのPREVIEWを掲載しましたが、追ってスキージャンプの代表選手が発表されました(2月13日)。ノルディック世界選手権の舞台はスロヴェニアのプラニッツァ。FISワールドカップやフライングヒル世界選手権の舞台として有名なスキージャンプの聖地です。ワールドカップでもトップ選手をそろえるスキージャンプ大国スロヴェニアのお膝元での開催だけに盛り上がりが期待されます。と同時に、日本のスキーファンにとっては、メダリストの小林陵侑選手(土屋ホームスキー部)や高梨沙羅選手(クラレ※)を擁する日本ジャンプ陣に否が応でも注目が集まります。

※高ははしご高(以下同様)

【スキージャンプ男子】小林陵侑の北京五輪に続くメダル獲得なるか

 スキージャンプ男子の代表に選ばれたのは補欠も含めて5選手。問答無用のエース小林陵侑選手を筆頭に、今やNo.2の成績を残すようになった中村直幹選手(Flying Laboratory SC)、佐藤幸椰選手と小林潤志郎選手(ともに雪印メグミルクスキー部)の実績組、そしてこの夏から成長著しい二階堂蓮選手(日本ビールスキー部)という陣容で臨みます。

1月の札幌大会で復活の狼煙を上げた小林陵侑選手。自身初の世界選手権金メダル獲得が期待される 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 ワールドカップ総合優勝2回、伝統のジャンプ週間総合優勝も2回経験、昨年の北京五輪では金と銀ふたつのメダルを持ち帰った小林陵侑選手ですが、過去3回の世界選手権では2019年大会の男子団体ラージヒルで銅メダルを獲得したほかは、メダルを手にすることができていません。過去の大会では風などのコンディションに泣かされたこともあり、今大会では個人でのメダル獲得にも期待が集まります。

【写真:松尾/アフロスポーツ】

 今シーズンのワールドカップでは、オリンピックシーズンの翌年で調整が遅れたこともあり、序盤から中盤は下位に沈むこともあり苦しみました。しかし、1月の札幌大会で3戦連続の表彰台(うち優勝2回)に上るなど上昇気流に乗り、連勝に次ぐ連勝を重ねていた頃の強さを取り戻しつつあります。世界選手権もおおいに期待できるのではないでしょうか。

海外生活を経てチームの2番手に成長した中村直幹選手。さらなる躍進が求められる 【写真:松尾/アフロスポーツ】

昨夏のサマーシーズンに結果を残し、ワールドカップ転戦をつかんだ二階堂選手。着実に経験を積み重ねている 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 昨年の夏からドイツに拠点を移して本格的にプロアスリートとして活動している中村選手は、今シーズンの第4戦で自身初の表彰台となる3位を記録。大会ごとの成績の上下は大きいものの、今や日本チームの第二のエースに成長しました。中村選手には安定感の向上が求められる一方で、持ち味であるビッグジャンプを、この世界選手権でも見せてもらいたいところです。また、今シーズンから本格的にワールドカップ転戦に参加している二階堂選手にも注目していただきたいと思います。昨年夏のサマーシーズンは国内外で圧倒的な強さを見せた二階堂選手にも、まだまだワールドカップ上位の壁は高いようですが、日本チームのなかでは3番手のワールドカップポイントを重ねています。初参戦の世界選手権でも臆することなく戦う姿を見せてもらいたいところです。

【スキージャンプ女子】日本スキージャンプ女子初の表彰台独占から世界選手権のメダルへ

 スキージャンプ女子も男子と同様、今シーズン序盤から苦戦が続きました。エースの高梨沙羅選手を中心にひと桁台の入賞までは食らいついていましたが、表彰台には手が届かず。しかし、こちらも男子同様、マテリアルの調整や選手たち自身のコンディションが徐々に嚙み合ってくると、1月後半のワールドカップから復調の兆しを見せ、2月4日のヴィリンゲン(ドイツ)大会で高梨選手が今季初の表彰台(3位)をゲット。さらにその翌日には伊藤有希選手(土屋ホームスキー部)が2017年以来6年ぶりとなる優勝を果たすと、2位には自身初の表彰台となる丸山希選手(北野建設SC)、3位に高梨選手が続き、女子スキージャンプのワールドカップでは初の日本選手による表彰台独占を成し遂げました。この3選手に勢藤優花選手(YAMAtune)、宮嶋林湖選手(松本大学)の5選手で世界選手権に挑みます。

1月後半から復調の兆しを見せている高梨沙羅選手。万全の状態でビッグイベントに挑めるか 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 今シーズンはまだ優勝を記録していないとはいえ、チームの中心が高梨選手であることは間違いありません。苦しい中でも上位をキープしながら、ワールドカップランキングでは日本チーム最上位の9位を記録(2月16日時点)。世界選手権前のルシュノフ大会(ルーマニア)をスキップして調整を図るようで、これまで男女を通じてワールドカップ歴代最多の63勝を挙げた経験の蓄積をフルに活かして、世界選手権に臨んでもらいたいと思います。世界選手権ではこれまで7つのメダルを手にしていますが、金メダルは2013年大会で初採用された混合団体で獲得したひとつだけ。悲願の個人種目での金メダル獲得が期待されます。

伊藤有希選手の6年ぶりの優勝はチームにも力強い推進力をもたらした 【 写真:長田洋平/アフロスポーツ】

オリンピックシーズンのケガを乗り越え、ワールドカップに戻ってきた丸山希選手。とうとう表彰台までたどり着いた 【 写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 伊藤選手の復活の優勝は日本チームにとって大きな追い風です。チームのムードメーカーでもある伊藤選手が上昇気流に乗ることで、チーム全体への好影響が期待されます。丸山選手は表彰台独占の翌週にも自身2度目の表彰台を獲得しており、チーム全体が調子を上げて世界選手権に臨めそうです。個人種目だけではなく、団体戦でのメダル獲得にも期待したいと思います。

【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 スキージャンプは男女合わせて7つの種目が行われます。男子と女子それぞれ2名ずつでチームを組んで臨む混合団体も、日本チームはメダル獲得が期待できる種目。ノルディック世界選手権はNHK BSで生中継を中心に放送される予定です。詳しくは下記のリンクより放送予定をご確認ください。選手たちへのご声援をぜひお願いいたします。

【競技予定】
2月23日 女子個人ノーマルヒル HS-102
2月25日 男子個人ノーマルヒル HS-102
2月25日 女子団体ノーマルヒル HS-102
2月26日 混合団体ノーマルヒル HS-102
3月1日 女子個人ラージヒル HS-138
3月3日 男子個人ラージヒル HS-138
3月4日 男子団体ラージヒル HS-138
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著者プロフィール

公益財団法人全日本スキー連盟は、日本におけるスキー・スノーボード競技を統括すると同時に、普及・振興の役割も担う競技団体。設立は1925年、2025年には設立100周年を迎える。スキージャンプ、ノルディック複合、クロスカントリー、アルペン、フリースタイル、スノーボードの6競技において、世界で戦う選手たち「SNOW JAPAN」の情報や、FIS(国際スキー・スノーボード連盟)ワールドカップなどの大会情報をお届けします。

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