【浦和レッズ】2026年W杯は俺の大会だ!世界を目指す生粋の『浦和っ子』、スケールの大きなプレーに注目
【©URAWA REDS】
見ていたのはもちろん、FIFAワールドカップカタール2022。テレビに映る日本代表の躍進や世界トップレベルのプレーに興奮した。
自身がプロサッカー選手になって初めて開催されたワールドカップ。プロになれば夜中に放送される試合を見る機会はそうないと思っていたが、シーズン終了後のオフ期間中に開催されたため、時間を気にせずに見ることができた。
その場に立っている自分をイメージしていたわけではない。プロ生活は2年目を終えたばかり。今までのキャリアでA代表はもちろん、世代別代表にも選ばれたことはない。昨年はレッズの一員としてパリ・サン=ジェルマン、アイントラハト・フランクフルトと対戦したが、海外の選手と相見える経験も多くはない。ワールドカップはそう近いと感じられる場所ではなかった。
【©URAWA REDS】
でも、大会が終わってみると、ある考えが頭に浮かんだ。
「次のワールドカップは絶対に出たい」
伊藤はレッズのホームタウンである旧浦和市で生まれ育った。実家は浦和駒場スタジアムにほど近い。伊藤が生まれたころ、埼玉スタジアムが完成する前はホームスタジアムが近所という環境だった。
【©URAWA REDS】
【©URAWA REDS】
【©URAWA REDS】
「小さいころはただの夢でした。でも今は、自分次第で実現ができるかもしれません。日本代表は常々入りたい場所です。まだどれくらい離れているか分かりませんが、昨シーズンを通してやっと見えてきた、徐々に近づいてきたという実感があります」
プロ1年目のJ1リーグ開幕戦、FC東京戦で先発出場してプロデビューすると、この2年間で公式戦106試合中95試合に出場した。2021シーズンの天皇杯優勝、2022シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝進出などを果たしたチームにおいて、ボランチのレギュラー格として活躍。その自信が、日本代表との感覚的な距離を縮めていた。
【©URAWA REDS】
【©URAWA REDS】
沖縄トレーニングキャンプを終え、大原サッカー場でトレーニングを重ねていた2月上旬のある日。伊藤は衝撃的なプレーを見せた。
中盤での激しい当たりでボールを奪うと、勢いそのままにドリブルを開始。右サイドで相手がスライディングでボールを奪おうとすると、その瞬間にギアを上げたようにスピードを増して突破する。あくまでトレーニングであることを念頭に置きながらも、まさに世界レベルを感じるスケールだった。
【©URAWA REDS】
最終的には伊藤のクロスに合わせた選手がシュートを外してしまい、絶好機を逃したのだが、伊藤の持ち味が存分に発揮されたシーンだったとともに、今季のJ1リーグ開幕に向けての仕上がりが順調であることも印象付けた。
日本代表で活躍するならば、FIFAワールドカップカタール2022で活躍した選手と勝負しなければならない。日本代表のボランチのレギュラー格として活躍した彼らは、伊藤にとって身近に感じる存在だ。
伊藤が浦和レッズユースに在籍していた際、ボランチではなく3バックの中央ではあったがトップチームで活躍していたのは遠藤航だった。そして流通経済大学に入学した際、4年生で絶大な存在感を発揮していたのは守田英正だった。川崎フロンターレに加入することになる守田は、伊藤にとって尊敬してやまない先輩であり、「こういう選手がプロになるんだ」と身近で実感できた存在だった。
【©URAWA REDS】
「ヒデさんはそこから数ヵ月間で一気に代表に定着しましたよね。数ヵ月でサッカー人生は変わると感じました」
無論、指をくわえているだけでチャンスが来るとは思っていない。
「チャンスをつかむためには、チームで結果を残し続けなければなりません。ヒデさんもそうしてチャンスをつかんでいったと思います。どこかに転機があるはずですし、それをつかめるかどうかで変わってくると思います。まず転機を得るためには、浦和レッズで結果を出し続けることが大事です。それはヒデさんたち先輩を見て思うことです」
日本代表で中心として活躍する先輩にも負けないことはあるか――そう聞かれた伊藤は、少しだけ考える。それは、そう簡単に「勝てる」とは言えない先輩たちに対する敬意。しかし、数秒空けて真剣な表情で発した一言の勢いには、自信が感じられた。
「推進力です」
【©URAWA REDS】
「もし今、日本代表に入るとすれば、ヒデさんや遠藤航さんとポジションを争うことになります。自分の武器で違いを見せなければいけません。そしてそれは当然、日ごろからJリーグで発揮していかなければいけないことでもあります。日本代表やJリーグには自分のようなタイプはあまりいないと思っていますので、その武器を磨いて見てもらえるようになれば可能性はあると思っています。先輩や、現在のチームメートである酒井宏樹選手が出場して活躍したことで、イメージできるようになりました。自分次第で現実になりうることです」
もう、ただの『夢』ではない。その一方で、イメージできるようになったからこそ、まだまだだとも思う。もっと成長しなければいけないというおもいは、むしろFIFAワールドカップカタール2022の大会前よりも強くなっている。
【©URAWA REDS】
奇しくも今季は守田が日本代表に定着したのと同じプロ3年目。レッズで結果を残し、4年後に見る立場から見られる立場になる足がかりとするため、2023シーズンもピッチを駆け回る。
【©URAWA REDS】
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ