【ヴィッセル神戸】2026年W杯は俺の大会だ!齊藤未月・世代別代表に選ばれ続けてきた男がこの1年に勝負をかける

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齊藤未月、神奈川県藤沢市出身の24歳。小学5年生から湘南ベルマーレのアカデミーに所属し、16歳でトップチームデビュー、17歳でプロ契約を結ぶなど育成年代を一足飛びで駆け抜けてきた。

世代別日本代表にもU-15から選出され続けており、U-20ワールドカップ2019では背番号10を背負い、キャプテンを務めるなどその世代において中心的な存在であった。
「その年代においては早生まれだったし、影山監督(当時)ともチーム立ち上げの時からずっと一緒にやってきたから、最終予選も、その前の予選でも、大事なところは呼ばれていたので、信頼されていたなと思います」と語る。

キャプテンに拘りはなく、湘南ベルマーレのユースでは同級生の石原広教選手がキャプテンを務めていたが、年齢など関係なく誰に対しても必要だと思えば指摘、発言をすることが多く、そういったタイプだと自任しているようだ。
「キャプテン像としてはいろいろなタイプがあると思いますが、コーチング含めてしゃべることが個人的には得意だと思っていることと、負けず嫌いで、雰囲気を締めるのも含め元々というか性格的にもあっているのかな」と思っているそうで、「代表だからといって選手に対して軽い発言ではなく、厳しい発言をすることが多いかなと思いますし、それは年齢関係なく、そうですね。去年のガンバ大阪でも、湘南でもそうだし、神戸でもそういったシーンがあれば絶対に言わないといけないことはあると思うので、そこは変わらずやれることが良いところかなと思います」と胸を張る。

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ロシア移籍は失敗と口にできる強さとJリーグでの価値の証明

2021年1月には、ロシア・プレミアリーグのFCルビン・カザンへの移籍で海外挑戦を果たす。コロナ禍での海外挑戦となり、通常とは違う難しい状況だと思われるが、齊藤には自分の感覚や計画をもとに歩んでいく強さがある。
「イメージとしては東京オリンピックに出て海外挑戦と考えていたが、延期になってしまいました。とはいえ、タイミングとしてはこれだなと感覚的にはあったし、良いオファーが来ていたし、ロシア・プレミアリーグのレベルが高いということも理解していたので、僕みたいな選手がどういう活躍ができるかということを考えて移籍を決断しました」

現実的な目標として東京オリンピックを捉えるからこそ、ロシアの地でより研鑽を積んで挑むというイメージであったが、加入から間もない同年2月のトレーニング中にスライディングを受け、足首の靱帯損傷という全治4カ月のけがを負ってしまう。
「ケガをした瞬間に、ケガの度合いとしても(オリンピックは)おそらく厳しいだろうなという感じはあったので。やるせない思いもありました」
だが自らで考え、言葉にしてコミュニケーションをとることができるからこそ、「けがをしたときはショックでしたけど、起きたことは仕方ないし、そういうことも起きるだろうなと思って海外に行った部分もあるので」と悪い想定もしていた部分があり、「日本にいたとしてもケガをして出られない恐れはあった訳で、それはもう言い訳にするっていうことでもないし、仕方ないと言うと変ですけど、巡りあわせもあると思っていました」と前を向くことができた。

また自身が置かれている状況を冷静に判断、分析することができるからこそ、ロシアでの1年を「全然活躍は出来なかった」し、「いろんなこと含めて失敗だった」と正直に言葉にすることができる。だからこそ学ぶことができ、例え失敗だったとしても「行ってよかったなと思うことは多い」とポジティブに変換できる。
「海外に行ったことで海外だと自分が思っている通りにはコトが進まないというか、だからこそ予想していないこと、イレギュラーなことが起こったとしてもそんなに動じづらくなったというか、そんなこともあるよなって良い意味で軽く考えて頭を変換できるようになったと思います」と振り返り、「この部分は海外に行って、間違いなく良かったと思える点」だと語る。

ロシアではチーム事情や外国人枠などがあり、出場機会を得られない状況だったところにガンバ大阪からオファーがあり、再び自身の価値を証明するためにJリーグ復帰を決意する。
「海外からもオファーがありそうな感覚はあったのですが、やっぱりJリーグでどれだけできるか、そのチームでももちろんそうだし、観てくれているファン、サポーターのみなさん含めてもう一度自分の価値を証明することが自分の自信にもなると考えて帰ってきた方がいいなと判断しました」

そのガンバ大阪では、湘南ベルマーレではやってきていないフォーメーションや戦術、異なる監督でのプレーやクラブの雰囲気を感じて一人の選手としての成長を果たす。

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海外チームにいるような感覚と理想の選手像

そして今年1月4日、ヴィッセル神戸への期限付き移籍加入が発表された。チームが始動して3週間ほど経ち、トレーニングを重ねる中で海外のチームに身を置いているような感覚になったそうだ。
「海外経験の豊富な選手と一緒にやるなかでピッチで輝きを放たないといけないですし、敵からもそうだし、味方からも、観てくれている人からも輝いて光っている、目立っているようなプレーを試合に出続けて、かつそれをし続けないといけないなと思うし、そういったことが簡単かと言うと、今までいたチームと比べて難しくなってくるのだろうなという環境だと思います。それが海外っぽいなと感じる環境だし、経験がある選手が上にいるという部分もあると思うので、だからこそ自分の価値を上げたり、成長するためにベストなチームに来られたなと思います」

ヴィッセル神戸では、キャンプ中の激しいトレーニングにも関わらず、フィジカルコーチが驚くほどの低い心拍数を維持し、中盤でのプレーでは、チームメイトからまるでフランス代表のカンテ選手のようだと声が上がるほどの無尽蔵のスタミナで縦横無尽の動きを見せている。ゲーム形式のトレーニングでは、激しいチャージでボールを奪うだけでなく、すぐさま攻撃に転じ、鋭いシュートを蹴りこむシーンも見られたが、「攻撃の部分はより大事にしていかないといけないなと思います。サッカーは得点を奪わないと勝てないスポーツなので、そこをもっと突き詰めてやらないといけないなと常に思っています。そこでやっぱり差が出てくるかな」と話し、攻撃面を意識していることがプレーからもうかがえた。

チーム内には目指すべき選手像も。
「日本人なら理想のプレーヤーと言ったら変ですけど、山口蛍選手は、今もそうだし、過去の映像を見ても代表で活躍していましたし、目指すべき選手像だと思います。身長もそこまで違いがあるわけでもないし、プレースタイルの部分も似ているところはあると思うので、見て学べる部分や技術的な差の部分はより突き詰めていきたいですし、話しを聞いたりして盗んで行けたらと思います」と語るなど、自身が成長する上での環境があることがこの点からも計り知れる。

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同世代の活躍に覚えた悔しさ

ヴィッセル神戸での成長が日本代表選出にもつながると話し、そのためには全部のレベルをアップする必要があると語る。
「フィジカル的な部分もそうだし、個人戦術の部分もそうだし、技術の部分もそうだし、全部の平均値をまずワンステップ、ツーステップずつ上げていかないといけないのは明らかだし、プラスアルファで自分の得意な部分、自分の特長である守備の部分を突出させてないといけないということは感じているので、そこは神戸だけではなく、例えば代表に呼ばれた時だったり、違う環境に身を置いたときにまずそれを出していかないといけないということは感じるので、攻守においてのアグレッシブさはプラスしていかないといけないなと思います」

今回のFIFAワールドカップカタールでは、同学年の上田綺世選手や田中碧選手が選出され、試合でも活躍する姿を見て、「選ばれて当然という選手が選ばれていたし、急に俺がバンと選ばれるかというとそこまでではないなという自己評価でした」と冷静に捉えながらも「今回のワールドカップを見れば見るほど、勝ってうれしい気持ちもありますけど、悔しい気持ちがすごく強かった」と感じ、「だからこそロシアワールドカップのときは全くそんなことを思わなかったけど、今回のカタールの時はより強く感じたので、プレーヤーとしていいなと思う」と悔しい感情が沸き上がること自体を分析し、具体的な目標として考えていると話した。

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W杯選出に向けて勝負の一年が始まる

これまでのキャリアにおいて逆算することが大切で、それによって目標を達成してきた齊藤にとって、ワールドカップメンバーに選出され、本大会で活躍するためには、今年のパフォ―マンスがより重要で勝負の年になると考えている。

代表選出に向けて「今年は、そこへの目標設定を細かくしていかないといけないなと強く感じていて」、そのためにも「今年代表に入りたいと思っています。今年も代表の活動がないわけでもないし、まず今年どこかのタイミングでJリーグから、神戸から代表に入ることを意識しないといけないので、それは間違いなく思っています。今年代表に入らなくてもいいとは全く思っていないので、今年から(勝負)だと思っています」と力強く話した。

そう語るのは、これまでの世代別代表での経験も含めて、自分の良さを出すためにはチームメイトと時間をかけて積み上げていく必要があるからと自身を分析しているからこそだ。
「僕みたいなプレースタイルの選手は、ポイントポイントで呼ばれてというタイプの選手ではないので、間違いなく早い段階で日本代表に選ばれないといけないです。第一歩としての目標としてはそこがあると思います。それはもう、どのタイミングでもいいという訳ではなくて、早ければ早いほどいいと思っています。そうでないとそこにいる代表監督についてもそうだし、環境や雰囲気にまず入らないと可能性はゼロだと思っているからです。例えば今回の町野修斗選手のようにバンっと選ばれることは中盤の選手としては、そんなに簡単なことではないと思うので。常に選ばれ続けないと難しいとU-20ワールドカップの経験なども含めて感じています」

次回のW杯メンバーに選出され、活躍するためにも勝負の年と話すこの1年、どのように自分を分析した上で逆算し、成長していくのか注目だ。

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