『西地区強すぎ』『ココロたぎりすぎ』シーズンの前半を総括&後半展望【B MY HERO!】

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激戦の西地区にあって首位に立つ広島 【(C)B.LEAGUE】

かつてない強さを見せる西地区の4チームが前半戦の話題を独占

「B MY HERO!特派員」で島根スサノオマジックのホーム解説にも現れる男、朴航生です。

 今シーズンは新型コロナウイルスの影響での中止試合も昨季に比べて少なく、オールスターゲーム以降は声出し応援が徐々に解禁になり、日常を取り戻しつつあるBリーグも前半戦が終わりました。

 前回、開幕から1カ月が終わった時点でのリーグ全体の様相を私の主観で記させていただきました。そして今回は、ちょうどオールスターが終わったこともあり、 2022-2023 シーズンの前半を振り返っていこうと思います。

 前回の記事で中盤ではどうなっているのかと少し触れましたが、まだチェックしていない方は確認してください。

 あの時の予想は果たしてどうなっているでしょうか?

主力のケガがありながら島根も西地区のトップ4につける(写真はビュフォード) 【(C)B.LEAGUE】

 それでは、タイトルにも挙げている“西地区強すぎ問題”(?)から確認しましょう。

 広島ドラゴンフライズ、島根スサノオマジック、琉球ゴールデンキングス、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの4チームは、CS地区出場枠の2枠を巡って下位にはもちろん取りこぼせない、なんなら上位同士でも勝ち越さないといけないぐらいの熾烈(しれつ)な争いとなっています。

 どのチームも主力選手の離脱などのトラブルがありながらも、とにかく負けない…、いや「負けられない」と言った方が正しいでしょう。

 目の前の試合を勝ちたい、勝たなければいけないというのはプロスポーツである以上、至極当然かもしれませんが、同地区のライバル達がお互いに勝ちを積み上げる事がボクシングで言う所のミックスアップを起こし続けているように感じます。

 ここまでの西地区上位4チームの鬼気迫る接戦の数々は、この時点で既にさながらCS の様なテンションの試合が多く、どの試合もファンのココロをたぎらせた事は間違いないでしょう。

 この4チームがどこまで成績を伸ばすのか、雪が溶けて春が来るころにどうなっているか⁉ この4チームの動向がリーグ全体のCS への盛り上がりを決めるかもしれません。

 個人的には地区の2枠をハイレベルに争う流れは4月までもつれていくような気がしてなりません。

東地区は優勝経験のある2チームが上位に

リーグ全体で首位に立つのが千葉J。今季も富樫が引っ張る 【(C)B.LEAGUE】

 次は東地区を見ていきましょう。

 千葉ジェッツ、アルバルク東京の2強は先に挙げた西地区強すぎ4チームに負けない成績をあげ、千葉Jが全体1位、A東京は全体3位と、かつてのリーグ王者たちはCS地区出場へ一歩リードしています。

 千葉Jはここまで僅かに4敗と、オールスター前までで言えば昨季を上回るペースで勝ち星を積み重ねており、過去最高勝率をあげた2018-19シーズンよりも良い前半戦となりました。大倉颯太選手、二上耀選手と若い有望な選手達が大ケガに見舞われる中、富樫勇樹選手を筆頭に枚数が少ないガード陣の奮闘とジョン・パトリックHC の手腕が光る素晴らしい成績をたたき出しています。ただ、4敗のうちの2つが西地区の広島、そして島根ということが、今季の西地区上位にはそれだけの力があることを表しているように感じます。

 同じくA東京もここまで6敗のみ、12月に入ってからはわずかに1敗と右肩上がりにチームの状態は上がっています。ただ、エースであり大黒柱の田中大貴選手が先日ヘルニアでインジュアリーリスト入りというリーグとしても大ニュースがありました。そこをチームで後半戦カバーしていけるかが成績を維持する上では絶対条件になりそうです。

 そして、先に挙げた12月以降に喫した1敗は西地区の琉球という点からは目を背けられません。

 チャンピオン経験があり、今シーズンも返り咲きを狙う仕上がりを見せている東地区の王者たちに土をつける西地区の上位チーム。すでに未だかつてないCSがやってくることは間違いないでしょう。

中地区を席巻する“河村フィーバー”

河村を中心に初のCS進出を目指す横浜BC 【(C)B.LEAGUE】

 全体の成績でいえば東、西に少し遅れをとっているように感じる中地区ですが、『河村フィーバー』と題してここだけ別で語らせてほしいぐらいにハンパじゃない活躍を見せているベイビーモンスター(← 勝手に心で思ってるだけです) 河村勇輝選手率いる横浜BCが地区首位の川崎と同率で並ぶというセンセーショナルな躍進を見せています。

 もしかすると最後までCS 地区出場枠でもつれそうなのも中地区かもしれません。

 中地区の現在3 位の信州ブレイブウォリアーズはオールスターウィークエンドに前後して調子を上げていますし、三遠ネオフェニックスも首位に立った後の8連敗は響いていますが、少しずつ立て直しています。ワイルドカードはこのまま推移すると西地区の3位、4位が滑り込むでしょう。地区出場枠の2枠をかけて最後まで死力を尽くして戦わなければいけないのは中地区の上位チームかもしれません。

 飛ぶ鳥どころか飛ぶ宇宙船まで落とす程のとんでもない勢いで成長を見せる横浜BCの河村選手が、後半戦もどれだけチームをけん引する活躍を見せてくれるか楽しみですし、これまでのBリーグ史上最高のルーキーイヤー(プロ契約後として) になることに疑う余地はないでしょう。

 個人的には彼がCS を経験することは日本代表の大きな財産になる気がしますので、横浜BCのCS初出場にはそんな期待も密かに抱えながら応援しております。

 今回の振り返りを締めくくる前に、後半戦に向けて忘れてはいけないパートがあります。

 今季は降格もあるシーズンです。リーグ全体で下位に沈んでいるチームも懸命に戦っています。応援してくれるファンのため、そして自らのプライドのために。目の前の一戦を貪欲にもぎ取るために、ふるいの縁に手をかけるように必死に喰らいつく姿は最後までココロをたぎらせるでしょう。

 最後に、後半戦の展望になりますが各チームに起きてきているロスターの故障をはじめ、年末年始を終え一段と増えてきたコロナの罹患もリーグ内で今後増えていくかもしれません。

 そういった部分を含め、コートに立つ選手だけでなく、ベンチメンバー、ここから加わる新戦力やチームスタッフなど、関わる人達全員で乗り越えていく総力戦となるでしょう。

 まさに一丸となって戦い抜いたチームが4月にどのような姿を見せてくれるのか、今から楽しみでなりません。

 現在の上位チームは各地区の上位と当たるカードが、多く残しているチームで広島の12試合、少ないチームで横浜BCの5 試合となっています。少ない方が成績が上がるとも限りませんが、カーディングの妙が作るドラマがそこにはあるはずです。そして、横浜BCの快進撃がどこまで伸びるかも楽しみです。

 月並みなことしか私も言えませんが、今季のCSは過去最高の盛り上がりを見せてくれるはずです。いったいどのチームがどのポジションでそこへ辿り着けるのか。後半戦も存分にココロたぎらせていきましょう。

朴航生(B MY HERO!特派員)

【(C)朴航生】

岡山学芸館高校を卒業後、アメリカ留学を経て、SHIZUOKA GYMRATSの一員としてABAへ参戦。帰国後bjリーグトライアウトの門を叩き、現B1の島根スサノオマジックへ入団、2シーズン在籍した。その後、Bリーグ開幕に伴いご縁を頂き、現在はバスケットボールコメンテーターとして島根のホームゲームを中心に奮闘中。ホーム、アウェーを同様に解説する姿勢、わかりやすい戦術解説に多くのファンを持つ。

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