#15竹内譲次 日本を代表するビッグマンが 後半戦への巻き返しを期す

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#15竹内譲次は、エヴェッサに加わって2シーズン目を戦っている。移籍1シーズン目の昨季はクラブでBリーグ連覇を、個人としても長く日本代表で活躍し続けるなど、豊富な経験を持つ彼に大きな期待が寄せられた。しかし開幕当初こそスタメンで起用されるが新しいチームへのフィットに苦心し、1ヶ月が過ぎるころにはベンチスタートになり、やがてプレータイムも減らしていった。

「前のチーム(アルバルク東京)では、ずっとルカ・パヴィチェヴィッチ ヘッドコーチ(HC)のもとでやっていて、自分のなかではそれが基礎としてありました。エヴェッサに移籍して違うことをやるとなって、なかなか移行するのが難しかったですね。体が覚えてしまっているというか……。自分ひとりが違う動きをしてしまって、チームに迷惑をかけてしまったことも、もしかしたらあったかもしれません」

しかしシーズンが中盤を迎えるころにはチームとのアジャストを果たし、プレータイムとともに存在感も増加。今季ももちろん欠かせない中心選手のひとりとして、背番号15の姿がコートのなかにある。

「とくに昨季の最初のころは、変に躊躇してしまうところがありました。今はあまりそういうこともなく思い切りやれていますし、気持ち良くプレーできています。今季は自分のなかではシーズンが進むに連れて、いい感覚でやれてきている。変に考えすぎなくなったことが今、プラスに働いているなと感じていますね」

今季はより積極的にシュートを放つなど、意識の変化はプレーの内容に表れ出ている。

「最初は今季のチームに、自分がどうアジャストするか。それを探っていた状況でしたが、そういうことがわかってきたことがひとつ。それにこのオフシーズンから、外のシュートはとくに意識して練習してきました。シーズンの序盤は、結果として表れなかったですけど(苦笑)。ここ最近はいい形で気持ち良く、打つべきシュートを打てている。しっかり打てていることで、自分のなかでいいリズムが作れているのかなと思っています」

昨季は自身がチームを移籍、今季はHCがマティアス・フィッシャーに交替と、彼の身の回りには2シーズン続けて大きな変化が起こった。

「僕だけじゃなく、とくにベテラン選手ってある程度、自分のプレースタイルが固まってきていると思うんです。経験があるからと思われがちですが、そういった選手ほど意外とチームの新しいスタイルに対して、アジャストが難しい面があったりします。自分も、そういうタイプなのかなと感じましたし。昨季も今季も、最初のほうは苦労しました。でも今はアジャストできていますし、それは昨季より早い段階でやれている。昨季の経験が、今季に生きているなと思います」

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昨季のスタイルと新たに就任したフィッシャーHCのバスケの違いを、コートでプレーする選手としてどう感じているのか。

「昨季はフリーランスのバスケットだったのですが、今季はある程度、決まりごとを重視したなかでのバスケットですね。ヨーロッパはそういうシステマチックなバスケットで、フィッシャーHCもそっちのタイプだと思います。自分も今までは、そういうタイプのコーチのもとでやってきたことが多いんです。自分にとってはそれが、昨季よりも馴染めるのが早かった要因のひとつかな。フィッシャーHCのシステムには特殊な部分も多くて、選手全員がそれに対応するのは、最初はタフだったと思いますね」

今季は開幕前にケガ人が発生して、チームプレーを突き詰められぬままシーズンに突入。序盤に苦戦したのは、そのことも要因のひとつである面は否めない。しかし12月に入って地区上位勢から白星をもぎ取り、現在までに3連勝を飾っているなど、チーム状態が上を向いてきているのは明らか。今季キャプテンを務める視線から、チーム状態が上昇してきた理由と、今後への期待を口にする。

「今まで以上に上手く選手をローテーションしての起用ができていて、ゲームを作れています。これまでは困ったら#25ディージェイ(・ニュービル)が、なにかやってくれるだろうという部分もあったんです。もちろん彼は素晴らしい選手だし、大事なところでいいプレーをしてくれます。でも広島ドラゴンフライズに勝った試合では、なかなかチャンスがなかった#31木下(誠)が活躍してくれたこともありました。日替わりでヒーローが現れるのが、理想ですね」

竹内は自身が培ってきた経験から、スターターだけではなくベンチに控える者も含め、全員がヒーローになれる可能性があるほど駒は揃っていると感じている。だからこそ、とくに若い後輩たちにエールをおくる。

「今のチームは、若くて才能のある選手がたくさんいます。彼らはもっとエゴを出す部分も、必要だと思うんですね。とくに、若い選手は。#31木下も大人しいですし、#3エリエット(・ドンリー)もそう。彼らは開幕前にケガをして出遅れてしまい、焦りもあるでしょう。彼らだけじゃないですが、若い選手は目先のことが気になるとは思います。だけどそれだけじゃなく、長い視点で見ることも大事。彼らがもっと我を出して爆発すれば、チームにとってプラスになりますし、彼ら自身のためにもなりますから。そこのバランスを、自分たちで見極めていってほしいですね」

シーズンは間も無く、折り返し点を迎える。今季のひとつ目の目標であるチャンピオンシップ進出を現実のものにするためには、フルスロットルで上位勢を追撃せねばならない。そんなチームの一員として、経験豊富な男は自らが果たすべきことを、こう理解している。
「フィッシャーHCのバスケットを遂行することと、あと自分の強みのひとつはコミュニケーション。外国籍選手とも、日本人の若い選手とも話します。チームに対してしっかりと発言をしようと考えているので、意識して話すようにしていますね。試合中に通訳を挟んでコミュニケーションがとれない状況でも、自分が日本人選手と外国籍選手の間に入って、両者をつなぐのも役割だと思っています。それに試合中にベンチにいるときも、チームを上手く円滑にする。もちろんプレーで貢献することもそうですが、それ以外の部分ではチームを潤滑に回すことは、自分ができることだと思っています」

今節は今季最多の4連勝、5連勝がかかる。チームをさらに加速させるため、竹内譲次はこのレバンガ北海道戦で、どんな姿を見せるのか。

「変わらずですね。自分が出たときは、チームが上手く回っていくようなプレーができればと思います。『ジョージが入っていると、チームが上手く回ってるね』みたいな、玄人的な目線で見てもらえばうれしいです」

彼はチームのために労を厭わず、チームが勝利するためなら自らの身を投げ出す、根っからのチームプレーヤー。後半戦に向けて追撃を図るには、背番号15の存在は欠かせない。
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著者プロフィール

2005年にクラブ創立。七福神のお一人で商売繁盛の神様である「戎様」を大阪では親しみを込めて「えべっさん」とお呼びするところから、 人情・笑い・商売の街大阪を活気づける存在であることを願い「大阪エヴェッサ」と命名。 同年にスタートしたbjリーグで開幕から3連覇を成し遂げる。 2016年9月に開幕した男子バスケットボールの最高峰・Bリーグでは、ホームタウンを大阪市とする大阪唯一のクラブとしてB1に参戦。

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