【Xリーグ】短期集中連載 ライスボウルまであと3日 アメフト日本一への軌跡:富士通フロンティアーズ編(6)

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2022年シーズンのアメフト日本一を決めるアメリカンフットボール日本選手権プルデンシャル生命杯第76回ライスボウル(2023年1月3日、東京ドーム)までいよいよあとわずか。対戦カードは昨年と同じで、2年連続7回目の優勝を狙う王者・富士通フロンティアーズと7年ぶり5度目の日本一奪回を悲願とするパナソニック インパルスの顔合わせだ。前回対戦では二転三転する大接戦の末に富士通が24-18で勝利した。ここまで全勝で勝ち上がってきた両チーム。勝てば「パーフェクトシーズン」の達成だ。富士通の連覇かパナソニックのリベンジか。両チームのライスボウルまでの道のりをシリーズで振り返る。

Vol. 6 RBTクオーターファイナル:攻・守・スペシャルチームの全分野で得点 雨も味方につけて「1回戦」突破

今季からX1 Superのプレーオフは8チーム制の「ライスボウルトーナメント」に再編された。その1回戦にあたるクオーターファイナルで富士通フロンティアーズはアサヒビールシルバースターと対戦。雨の強く降る横浜スタジアムでオフェンス、ディフェンス、キッキング(スペシャルチーム)のすべての分野で得点をする盤石の試合運びでアサヒビールを53-3で下した。

負けたら終わりというプレッシャーの中で行われるライスボウルトーナメントにおいても富士通の戦い方は変わらなかった。ランニングバック(RB)トラショーン・ニクソンのタッチダウンランと、クオーターバック(QB)高木翼からワイドレシーバー(WR)松井理己へのスコアリングパス、さらに高口和起のタッチダウンランによって第1クオーターで早くも21-0とリードを奪った。

大雨にもかかわらずパスで219ヤードを獲得し、2つのタッチダウンパスを成功させた富士通フロンティアーズQB高木翼 【©X LEAGUE】

激しく降る雨の影響か、スコアリングプレーはランによるタッチダウンが多くなったが、それでも高木は25回の試投で17回のパス成功、219ヤード獲得で2つのタッチダウンパスを成功させるパフォーマンスを見せた。大雨の中の試合は第3節のアサヒ飲料クラブチャレンジャーズ戦で経験済みで、この試合は序盤から自分のリズムでパスゲームをコントロールした。

とはいえ、雨が全く影響しなかったわけではない。雨が富士通に味方したプレーも飛び出した。第3クオーター序盤にアサヒビールのRB川村洋志が富士通ディフェンダーのタックルを受けたときに雨で滑ったボールが川村の手から宙に飛び出した。そのボールをディフェンスライン(DL)高橋怜太がキャッチしてそのままエンドゾーンまで走り込んだ。

逆に雨が災いとなりかけた場面もあった。高橋のタッチダウンのあとのトライフォーポイントのキックだ。ロングスナップがやや低い軌道で飛んだため、ホルダーの高津佐隼矢がジャッグルしてしまう。しかし、素早くボールを拾った高津佐は瞬時の判断で自らのランプレーに変更。右方向に走った後、ディフェンダーに囲まれると逆サイドに走路を変えてエンドゾーンに突入、結果的に2点コンバージョンの成功となった。まさに災いが転じて福となった。

この時、右のエッジに入っていたタイトエンド(TE)高谷亮太はキックプレーが崩れたことを知るや、ブロッキングのアサイメントを捨てて自らがレシーバーとなってエンドゾーンに走り込んだ。高津佐がパスを選択した場合にターゲットとなれるようにだ。高津佐は自らのランで局面を打開したが、パスコースに出た高谷も高津佐のランをアシストしたことは間違いない。

2タッチダウンランを決めた富士通RB三宅昴輝(右) 【©X LEAGUE】

ミスが起きた際にもパニックにならずに冷静に次の手を打つ判断力がチームに得点をもたらした。ここでの2点コンバージョンはこの試合に限っては展開に影響はなかったが、これが1点差を争う接戦では決勝点になりかねない。冷静さと瞬時の判断が垣間見えたプレーだった。

富士通はRB三宅昴輝の2つのタッチダウンランを含む攻守合計7つのタッチダウンとキッカー(K)納所幸司の48ヤードフィールドゴールでプレーオフ初戦を危なげなく突破した。
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